「憐憫」ってなんと読む?「りんもん」ではないですよ!

明日、8月27日は『男はつらいよの日』『寅さんの日』です。日付は渥美清さん演じる「寅さん」こと「車寅次郎」が主人公の映画シリーズ『男はつらいよ』の第一作が、1969(昭和44)年のこの日に公開されたことにちなんでいます。

同シリーズは大人気を博して長寿シリーズ化され、「ひとりの俳優が演じた最も長い映画シリーズ」としてギネス認定もされております。作品を視聴したことがない方でも「寅さん」といえば、ベージュ系のスーツに腹巻と、首からさけたお守り袋、ハットをかぶってトランクを持った男性の姿…と、なんとなくイメージできるのではないでしょうか?

それほど広く認知されている「寅さん」とはどんなキャラクターなのか、日本語クイズと共にふれてまいりましょう。

【問題1】「憐憫」ってなんと読む?

「憐憫」という日本語の正しい読み方をお答えください。

ヒント:「かわいそうに思うこと。あわれむこと」という意味です。

<使用例>

「『寅さん』の映画を見ると、自由な生き方への憧れと、その生き方しか選べない人の切なさに対する憐憫の情が、絶妙なブレンドでわいてくるのよ」

かな4文字です。
かな4文字です。

…さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。

正解は↓に‼
正解は↓に‼

正解は…  憐憫(れんびん) です。

難しい字の熟語ですが、大人の教養として読めるようにしておきたい熟語です。
難しい字の熟語ですが、大人の教養として読めるようにしておきたい熟語です。

「憐憫(れんびん)」は「あわれむ」の言い換えとして使用される頻度の高い熟語なので、正しく読めるようにしておきましょう。『寅さん』は自分を「フーテンの寅」と名のります。「フーテン」とは「通常の社会生活からはみ出して、定職を持たずにぶらぶらと日を送っている人」を指しており、同時に『男はつらいよ』が大ヒットした昭和当時の感覚では「精神の状態が正常でない人」という意味でも使われます。

終身雇用制が通常であったその時代、サラリーマンも経営者たちも猛烈に働き、高度経済成長期からバブルへの道のりをひた走っていました。そんな時代背景の中、香具師(やし=露店商人)として日本中を移動しつつ、気が向くとふらりと、葛飾区柴又の家に戻ってくる…寅さんの気ままな生活を、ある種の憧れをもって眺めた観客も多いでしょう。同時に、そのような時代に社会からはみださざるを得なかった寅さんの生い立ちや性質への同情や切なさも胸を打つ、温かさと切なさが同居している作風が『男はつらいよ』のシリーズを通しての大きな魅力です。

では2問目にまいりましょう。

【問題2】「御仁」ってなんと読む?

「御仁」という日本語の正しい読み方をお答えください。

ヒント:「他人を敬っていう語。おかた。おひと」を言う言葉ですが、現代では「ひやかしの気持ちを含んで用いる」例が多いです。

<使用例>

「おやおや、珍しい御仁がやって来られましたよ」

かな3文字です。
かな3文字です。

…さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。

正解は↓に‼
正解は↓に‼

正解は… 御仁(ごじん) です。

「人」をていねいにいう「御人(おひと)」の同義語です。

「仁」という字の構成は「人+二(ふたりの人)」。「思いやり。慈しみ」「徳」「ひと」を意味する字です。「御仁(ごじん)」という言葉は、もとは「人を敬って言う語」で美しい言葉ですが、現代的な使い方に関しては、複数の辞書に「ひやかしの気持ち」「からかいの気持ち」を含むことも多い、と加筆されております。

別の言葉で似たニュアンスですと「(理屈っぽい人に関して)あのお方様は、大変に頭がおよろしいから」など、過剰に尊敬語を使用して、言外のからかいを込めるイメージです。

「寅さん」のお話に戻りますと、寅さんは人情家で惚れっぽく、大切だと想った相手に心を尽くす一面をもっていますが、その想いが成就しそうになると自分から身を引いてしまう…というような行動が、シリーズを通して大変多いです。その裏には、孤高の生き方への自尊心と、そのようにしか生きられない自分へのコンプレックスとが同居しています。「御仁」という言葉の二面性、使い方を選ばなければならない危うさと、どこかリンクしているように感じます。

「寅さん」のフーテンな、一見して自由すぎる勝手な行動の裏にある人間味に、視聴者たちは同情したり、ひきこまれてしまう…そのユーモアに大笑していたはずが、いつの間にか感情移入し泣かされてしまう…そんな魅力を持つキャラクターです。

「御人」は「おひと」と読むのが一般的ですが、意味合いとして「ごじん」と呼んでも不正解とまでは言えません。しかし「ごじん」は「御仁」と表記するのが一般的です。

***

本日は、8月27日『男はつらいよの日』『寅さんの日』の話題から、

・憐憫(れんびん)

・御仁(ごじん)

の読み方、意味、言葉の背景についておさらいいたしました。

この記事の執筆者
TEXT :
Precious.jp編集部 
BY :
参考資料:『日本大百科全書(ニッポニカ)』『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』(小学館)/東洋経済オンライン/松竹CINEMA CLASSICSホームページ/映画『男はつらいよ』公式X/『漢字ペディア』(日本漢字能力検定協会)
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
ILLUSTRATION :
小出 真朱