日本全国に温泉宿は数多あれど、情報の海のなかから本当に満足度の高い一軒を見つけ出すのは至難の業。そこで、本連載では、国内外の温泉を巡りその神髄を知り尽くした温泉ジャーナリスト・植竹深雪さんに、自ら足を運び五感で確かめた上質な宿をピックアップしてもらいました。
極上の湯に癒されるのはもちろん、その土地ならではの美食やホスピタリティで心ゆくまでリフレッシュしたい! そんな大人の女性のニーズに応える至福の旅をナビゲートします。10月は、九州の観光を応援する「九州ふっこう応援割」を利用して訪れたい温泉宿をピックアップ。お得に旅を楽しみながら、九州各地の魅力を再発見してみませんか? 今回ご紹介するのは、佐賀県・有田町にある「宿坊 心月」です。

公式サイト
日本磁器発祥の地で出合う有田焼の美意識と心地よい美肌の湯
佐賀県西部に位置する有田町は、400年以上にわたって磁器づくりの歴史を紡いできた“やきものの町”。1610年代半ばには日本で最初の磁器生産が始まったとされ、17世紀後半には海外にも輸出されるなど、有田焼は世界にもその名を知られるようになりました。
現在も窯元や商店が軒を連ね、焼き物の文化が息づく有田町。その一画に佇む「宿坊 心月」は、日本料理の名店「保名」が手掛ける、1日3組限定のラグジュアリーなオーベルジュです。館内の随所に有田焼や古伊万里などの骨董がしつらえられ、滞在を通して有田の歴史や美意識に触れることができます。
3つの客室「暁」「曙」「天宮」は独立した戸建てで、各棟に源泉かけ流しの温泉(内湯)を完備。「暁」の浴室は、あえて視線を低く抑えた落ち着きのある空間であるのに対し、「曙」や「天宮」では、大きな窓を備えた開放感ある空間での湯浴みを楽しめます。
「離れの客室は、プライベートな空間で敷地内から湧く自家源泉をかけ流しで満喫できるのが魅力です。泉質は、ナトリウム—炭酸水素塩冷鉱泉。重曹の成分を含み、古い角質を落としてつるつるすべすべ肌に近づけてくるクレンジング効果が期待できます。浴槽に浸かるととろりとした保湿美容液のような浴感の湯が実に心地よく感じられました」(植竹さん)
美しい器で味わう季節の食材を生かした会席料理
ディナーは、宿の母体である日本料理店「保名」が手掛ける会席料理。毎日の仕入れによって内容は少しずつ変わり、季節の食材を取り入れた料理が並びます。
ある日の献立には、赤鮭の燻製や鮑、鰻、甘鯛などの魚介をはじめ、ツルムラサキや白茄子、蓮芋といった季節の野菜が登場。メインのステーキに加え、締めの十六穀米御飯にも佐賀牛をあしらうなど、海の幸、山の幸、地域のブランド食材をバランスよく組み込んだ内容です。
そして、「宿坊 心月」ならではの楽しみが、料理を彩る器。歴代の柿右衛門・今右衛門の器を使用した「柿右衛門・今右衛門プラン」や、幻ともいわれる「明治伊万里」の器でいただけるプランなど、器の種類にフォーカスしたコースがあるのがユニークです。器と料理が互いを引き立て合うよう盛り付けにも工夫が凝らされ、視覚と味覚の両面で美食を享受することができます。
朝食は、素材の持ち味を引き出すことを重視したシンプルな構成の和食膳です。目覚めの体に合わせた野菜とフルーツのスムージーから始まり、メインの御膳は、ふっくらとした焼き魚や職人の技が光るだしまき玉子、にがりを使わず葛やでんぷんで固めた有田の郷土料理「呉豆腐(ごどうふ)」など。名湯とアートに満たされた旅の余韻のなかで、有田焼の器に端正に盛り付けられた一品一品をゆっくりといただくことができます。
以上、佐賀県・有田町「宿坊 心月」をご紹介しました。有田焼の世界観に触れながら、自家源泉の湯と美しい器で会席料理を堪能したい人は、次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。
問い合わせ先
- 宿坊 心月
- 住所/ 佐賀県西松浦郡有田町本町丙799-1
客室数/全3室
料金/朝夕2食付き 2名1室1名 ¥109,000~(税込) - TEL:0955-42-2733
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 中田綾美
- EDIT :
- 谷 花生(Precious.jp)

















