【目次】

【「あかりの日」の由来は?エジソンの発明と記念日の目的】

■「何日」?

「あかりの日」は、10月21日です。

■日付の「由来」は?

1879(明治12)年のこの日、アメリカの発明家トーマス・エジソンが、実用的な白熱電球の開発したことを記念する日、と説明しています。

白熱電球とは、電気を流すと高温になって光を放つ「フィラメント」という細い線を利用した電球のこと。エジソンは、炭素を使ったフィラメントによって、40時間以上も光り続ける電球を実現したといわれています。(※)

実は、白熱電球そのものはエジソン以前にも研究・開発されていました。エジソンとそのチームの大きな功績は、長時間使える電球の実用化を進め、発電や送電の仕組みも含めて、電気の明かりを暮らしに普及させる道を開いたことにあるのです。

※エジソンの研究所・史料を管理する米国国立公園局の年表は、1879年の実験について「13時間以上」と記し、「10月21~22日」という日付は研究により誤りと判明したと明記しています。

■「いつ」「誰が」決めた? 「目的」は?

「あかりの日」は、1981(昭和56)年に制定されました。現在は、日本照明工業会、日本電気協会、照明学会の3団体で構成する「あかりの日」委員会が、照明への関心を高める活動を行っています。

その目的は、普段何気なく使っている明かりに改めて目を向け、暮らしを豊かにする照明の役割や、省エネルギーにつながる上手な使い方について考えてもらうこと。照明は部屋を明るくするだけでなく、交通安全や防犯、防災など、さまざまな場面で私たちの生活を支えています。「あかりの日」委員会では、照明に関する情報発信や、小学生を対象としたポスターコンテストなどの啓発活動を行っています。

■エジソンの電球には、日本の竹が使われていた!

エジソンと日本には、ちょっと意外なつながりがあります。それが、京都の竹です。

白熱電球の寿命を延ばすため、エジソンはフィラメントに使う材料を試行錯誤しました。その研究で優れた性能を発揮したのが、京都・八幡の竹を炭化させたフィラメントだったのです。日本の竹は、その後約10年間、エジソンの電球に使われました。この縁から、1934(昭和9)年に石清水八幡宮の隣接地にエジソン記念碑が建立され、1958(昭和33)年に境内へ移転されました。世界の暮らしを大きく変えた電球の歴史に、日本の竹もひと役買っていたとは、興味深い話ですね。


【ろうそくから電灯へ──暮らしを変えた「あかり」の歴史】

■人類最初の「あかり」は焚火だった

人類が最初に利用した明かりは、焚火(たきび)だったと考えられています。火は暖をとったり、食べ物を調理したりするために欠かせないものでしたが、暗闇を照らす役割も果たしました。夜間にも活動できるようになったことは、人々の暮らしを大きく変えたはずです。

やがて、持ち運びのできる松明(たいまつ)や、動物の脂を燃料にしたランプなど、さまざまな照明具が生まれます。古代エジプトではすでにろうそくが使われ、古代ギリシャやローマではオリーブ油を使ったランプも生まれましました。人々は身近にある材料を工夫して、夜の明かりを確保していたのです。

■日本の暮らしを照らした行灯と提灯

日本でも古くから焚火や松明が使われ、やがて植物の油やろうそくが明かりの燃料として利用されるようになりました。江戸時代の暮らしでおなじみの照明具といえば、行灯(あんどん)です。油を入れた皿に灯芯を浸して火をともし、周囲を紙などで覆うことで、風から炎を守る仕組みになっていました。一方、提灯(ちょうちん)は、竹などの骨組みに紙を張り、中にろうそくを立てたもの。折り畳める提灯は江戸時代には生まれ、持ち運びに便利な明かりとして使われました。現在では、行灯や提灯は和の風情を感じさせる存在ですが、かつては暮らしを支える実用品だったのですね。

■ガス灯から電灯へ──夜の街が変わった

幕末から明治にかけて、日本には石油ランプが広まりました。1872(明治5)年には横浜で日本初のガス灯が点灯し、街の夜景も少しずつ変化していきます。

さらに、1878(明治11)年には日本で初めてアーク灯(電極の間に放電を起こして光を発する照明)が点灯。1890(明治23)年には白熱電球の国産化も実現しました。電気による照明が普及するにつれ、火を使わずに部屋や街を明るくできるようになり、夜の活動もいっそう便利になっていきます。

その後は蛍光灯、そしてLED照明へと技術が進歩。現在は、消費電力を抑えながら、光の色や明るさを調節できる照明も身近になりました。焚火から始まった明かりの歴史は、快適さと省エネルギーを両立させる時代へと続いているのです。


【「明かり」「灯り」「光」はどう使い分ける?】

■「明かり」…明るさも、ともしびも表す

「あかり」は、漢字で「明かり」「灯り」と書きます。『デジタル大辞泉』によると、「明かり」は「光。明るさ」と「ともしび(ろうそくやランプなどにともす火の明かり)。灯火」という意味。「明かり」と「灯り」は意味が重なる言葉ですが、例えば、「窓から明かりが差し込む」「部屋の明かりを消す」など、「明かり」は自然の光にも人工的な照明にも使える言葉です。

なお、「灯」を「あかり」と読むのは常用漢字表にない読み方です。一般的な説明文では「明かり」を基本とし、情景を表す文章では「灯り」を選ぶなど、臨機応変に使ってみてください。

■「灯り」…照明やともしびを表すときに

「灯り」は、ろうそくやランプ、電灯など、火や照明器具による明かりを表すときによく使われる表記です。「ろうそくの灯り」「街灯の灯り」「窓にともる灯り」などと書くと、光を放つものや、その明かりがともる様子を思い浮かべやすくなります。

ただし、「明かり」と「灯り」は意味が重なるため、「部屋の明かり」「部屋の灯り」のように、どちらも使える場合があります。自然な文章にするには、どんな情景を伝えたいかによって選ぶとよいでしょう。

■「光」…太陽から希望まで、意味が幅広い

「光」は、太陽や星、電球などから出て、私たちの目に明るさを感じさせるものを指します。「太陽の光」「電灯の光」「光が反射する」など、光そのものを表すときに使われます。

さらに、「光」には、希望や明るい見通しを象徴する意味もあります。「未来に光が見える」「希望の光が差す」といった表現がその例です。「親の七光り」のように、権威や勢いを表す言葉にも使われています。

つまり…
・日常の明るさを幅広く表すのが「明かり」
・ともしびや照明を印象づけるのが「灯り」
・光線そのものから比喩的な意味まで含むのが「光」

それぞれの特徴を知っておくと、情景や気持ちをより的確に伝えられそうですね。


【「灯火親しむ」「蛍雪の功」…光にまつわる表現と意味】

■「灯火親しむべし」…秋の夜長は読書にぴったり

「灯火親しむべし(とうかしたしむべし)」とは、秋の涼しさと夜の長さは、明かりの下で読書をするのに適している、という意味の言葉です。「灯火親しむ」は秋の季語としても使われています。

由来は、中国・唐の詩人、韓愈(かんゆ)の詩「符読書城南詩(符、書を城南に読む)」にある一節です。秋になって涼しくなり、明かりの下で本を読むのにふさわしい季節が訪れたことを表しています。1908(明治41)年に発表された夏目漱石の小説『三四郎』にも「燈火親しむべし」という表現が登場します。今もよく使われる「読書の秋」という言葉とともに、秋の夜長を楽しむ気持ちが伝わってきますね。

■「蛍雪の功」…蛍と雪の光で勉強した故事から

「蛍雪の功(けいせつのこう)」とは、苦労して学問に励むこと、また、その努力によって得られた成果を意味する言葉です。由来は、中国・晋の時代のふたりの人物にまつわる故事。車胤(しゃいん)は、貧しくて明かり用の油を買えなかったため、夏には蛍を集め、その光で本を読んで勉強しました。一方、孫康(そんこう)は、冬に雪の反射光を頼りに読書を続けたと伝えられています。ふたりは苦学の末に出世したと伝えられ、この故事が「蛍雪の功」という言葉の由来となりました。ひとりの人物が「夏は蛍の光で、冬は雪の明かりで勉学に励んだ」と勘違いしていた人も多いのでは?

卒業式で歌われる唱歌『蛍の光』の「蛍の光、窓の雪」という歌詞も、この故事を踏まえたものです。身近な光を頼りに学び続けた人々の姿が、長い年月を経て、今の言葉や歌にも残っているのですね。

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10月21日の「あかりの日」は、エジソンが白熱電球の実用化に向けて大きな一歩を踏み出した日に由来します。焚火やろうそく、行灯やガス灯を経て、電灯、そしてLEDへ。人類の「あかり」の歴史を振り返ると、夜でも当たり前のように活動できる現代の暮らしが、いかに便利なものかを実感します。

ところで、エジソンの電球に日本の竹が使われていたことや、「蛍雪の功」がふたりの人物の故事に由来することは、ご存じでしたか? 何気なく使っている「あかり」にも、意外な歴史や物語が隠されているのですね。

「あかりの日」には、部屋の照明を少し落として、秋の夜長をゆっくり過ごしてみるのもよさそうです。もちろん、読書をするときは手元を十分に明るくして。「灯火親しむべし」の季節ですから!

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館) /『世界大百科事典』(平凡社) /『数え方の辞典』(小学館) /環境省「あかり未来計画」(https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/akari/archives/20161028.html) /一般社団法人 照明学会(https://www.ieij.or.jp/index.html) /一般社団法人 日本照明工業会(https://www.jlma.or.jp/index.htm) /一般社団法人 日本電気協会(https://www.denki.or.jp) :