【目次】

【「テディベアの日」は10月27日。誰が、何のために定めた記念日?】

■「何日」?

「テディベアの日」は、10月27日です。

■「いつ」「誰が」決めた? 制定の「目的」は?

「テディベアの日」は、1998(平成10)年に日本テディベア協会が制定しました。大切な人に感謝の気持ちを込めて、テディベアを贈ることを提案する記念日です。

テディベアといえば、子どもの頃に大切にしていたぬいぐるみを思い浮かべる人も多いでしょう。ふわふわとした手触りやどこか人懐っこい表情には、年齢を問わず心を和ませる魅力があります。実は「テディベアの日」は、第26代アメリカ大統領セオドア・ルーズベルトの誕生日にちなんだ記念日です。なぜアメリカ大統領の誕生日が、クマのぬいぐるみの記念日になったのでしょうか? その意外なつながりについて、次の章で詳しくご紹介します。


【「テディ」は誰の名前?テディベアとアメリカ大統領の意外な関係】

■「テディ」はルーズベルト大統領の愛称だった!

「テディベア」の「テディ(Teddy)」は、アメリカ第26代大統領、セオドア・ルーズベルト(Theodore Roosevelt)の愛称に由来します。ルーズベルトは1858年10月27日生まれ。1901(明治34)年から1909年(明治42年)まで大統領を務めた人物です。日露戦争の講和を仲介し、1906(明治39)年にはノーベル平和賞を受賞したことでも知られています。

そんな歴史上の人物の愛称が、愛らしいクマのぬいぐるみに付けられたのには、ある出来事がきっかけでした。

■名前のきっかけとなった、熊狩りの逸話

1902(明治35)年、ルーズベルト大統領はアメリカ南部のミシシッピ州で熊狩りに参加しました。しかし、大統領はなかなか獲物を仕留められません。そこで同行者がクマを捕らえ、大統領に撃つよう勧めましたが、ルーズベルトはそれを拒んだと伝えられています。

この出来事は、政治風刺画家クリフォード・ベリーマンによって新聞の風刺画に描かれ、広く知られるようになりました。大統領の狩猟中のエピソードが、クマのぬいぐるみの名前につながったのです。


【アメリカとドイツで生まれた、テディベアの歴史】

■アメリカでは…風刺画からクマのぬいぐるみが誕生

ルーズベルト大統領とクマを描いた風刺画は、ニューヨークで菓子店を営んでいたモリス・ミッチトムの目にも留まりました。モリスは妻のローズにクマのぬいぐるみをつくってもらい店頭に飾ったところ、これが評判になったのです。

夫妻は大統領の愛称にちなんで、このぬいぐるみを「テディズ・ベア(Teddy's Bear)」と名付けました。大統領本人に名前の使用許可を求め、承諾を得たというエピソードも伝わっています。クマのぬいぐるみは瞬く間に人気商品となり、夫妻は1903(明治36)年ごろに玩具会社「アイディアル・ノベルティ・アンド・トイ・カンパニー」を設立※。小さな菓子店から始まったテディベアは、アメリカ中で愛される玩具へと成長していきました。

※スミソニアン国立アメリカ歴史博物館の公式解説。オドア・ルーズベルト大統領図書館の公式解説では1907年とされる

■ドイツでも…ほぼ同時期にクマのぬいぐるみが誕生!

一方、ドイツでも同じころ、クマのぬいぐるみが誕生していました。その中心となったのが、現在も高級テディベアで知られる「シュタイフ社」です。

創業者のマルガレーテ・シュタイフは、1880(明治13)年にフェルト製のゾウをつくったことをきっかけに、動物のぬいぐるみの製造を始めました。その後、事業に加わった甥のリヒャルト・シュタイフが、1902(明治35)年にクマのぬいぐるみ「55PB」を考案します。このクマの特徴は、頭や手足を動かせること。毛足の長いモヘア素材を使い、本物のクマを思わせる姿に仕上げられていました。

1903(明治36)年、ライプツィヒのおもちゃ見本市に出品されると、アメリカのバイヤーから3000体もの注文が入り、アメリカ市場でも人気を集めるようになります。1903年といえば、ミッチトム夫妻が玩具会社「アイディアル・ノベルティ・アンド・トイ・カンパニー」を設立したとされる時期ですね! こうして20世紀初頭、アメリカとドイツでほぼ同時期に生まれたクマのぬいぐるみは、ルーズベルト大統領の愛称に由来する「テディベア」という名前とともに、世界へ広がっていったのです。


【英語ではどう書く?「テディベア」の意味と表記】

■英語ではどう書く?

「テディベア」は、英語で「teddy bear」と書きます。「teddy」と「bear」の間にスペースを入れた2語の表記が一般的です。「bear」は英語で「クマ」、「テディ」はセオドアの愛称です。

『ランダムハウス英和大辞典』にも「teddy bear」はぬいぐるみのクマを指す言葉として掲載されています。また、『ケンブリッジ英語辞典』には 「teddy」だけでもクマのぬいぐるみを意味すると説明されています。ちなみに、複数のテディベアを指す場合は「teddy bears」。最後の「bear」に「s」が付きますよ。

■「テディベア」と「テディーベア」、どちらが正しい?

日本語では「テディベア」という表記が広く使われていますが、「テディーベア」と書くこともあります。実際に『デジタル大辞泉』では「テディーベア」の見出しで掲載されています。どちらも同じクマのぬいぐるみを指す言葉で、意味に違いはありません。なお、英語の「teddy bear」は一般名詞なので、通常は小文字で表記します。


【贈り物に想いを込めて。「テディベアの日」が伝えるメッセージ】

■言葉にしにくい気持ちを、テディベアに託して

誕生日や記念日、お祝い事など、誰かに贈り物をする機会はさまざま。花束やお菓子も素敵ですが、テディベアには、贈られたあとも長く手元に残り、ふとした瞬間に贈り主を思い出させてくれる魅力があります。例えば、お世話になった人へのお礼や、離れて暮らす家族への贈り物。親しい友人への励ましや、これから新しい生活を始める人への応援にも、テディベアはよく似合います。

■大人にも似合う、テディベアの贈り物

「テディベアのプレゼントなんて、子どもっぽい」? いいえ、テディベアは子どもたちだけのものではありません! クラシックなデザインや落ち着いた色合いのもの、手仕事の温かみを感じさせるものなど、大人の暮らしにもなじむテディベアが数多くあります。

贈る相手の好みを思い浮かべながら、表情や大きさ、素材を選ぶ時間も、贈り物の楽しみのひとつ。相手が好きな色を選んだり、思い出のある場所にちなんだ一体を探したりするのも素敵ですね。「ありがとう」「おめでとう」「いつも応援しているよ」。そんなひと言をカードに添えれば、贈り物に込めた気持ちが、よりはっきりと伝わるのではないでしょうか。

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テディベアは、大切な人への贈り物としてはもちろん、自分自身へのプレゼントにもぴったりです。何も言わず、ただそこにいてくれる…忙しい毎日のなかで、ふと目が合うだけで心が和む。そんな存在が身近にあるのも素敵です。

名前の由来はアメリカ大統領という、ちょっと意外な経歴の持ち主ですが、120年以上たった今も、その愛らしさは健在。「テディベアの日」には、そんな小さな相棒を迎えてみてはいかがでしょうか。

この記事の執筆者
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参考資料:参考資料:『デジタル大辞泉プラス』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)/『日本国語大辞典 第二版』(小学館)/『岩波 世界人名大辞典』(岩波書店)/『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)/日本テディベア協会「テディベアの日について」(https://www.jteddy.net/teddy-bears-day/)/アメリカ国立公園局「The Story of the Teddy Bear」(https://home.nps.gov/thrb/learn/historyculture/storyofteddybear.htm)/シュタイフ日本公式サイト(https://www.steiff.co.jp/)/ケンブリッジ英語辞典「teddy」(https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/teddy) :