【目次】
- 「おだしの日」はいつ?10月28日になった理由
- 「だし」を「出汁」と書くのはなぜ?言葉の意味と表記
- 「だし」と「うま味」は同じもの?知っておきたい違い
- 「一番だし」「二番だし」「合わせだし」を使い分ける
- 「だしが利く」と「だしに使う」。だしにまつわる表現
【「おだしの日」はいつ?10月28日になった理由】
■「おだしの日」とは?
兵庫県宝塚市に本部を置き、「だし」にこだわった飲食チェーン店を展開する株式会社太鼓亭が制定し、日本記念日協会に認定されているのが「おだしの日」です。
■10月28日の日付の理由
和食の要である「だし」の正しい情報の提供と、おいしくヘルシーで体にもよい「だし」の魅力を知ってもらうのが目的です。日付は、かつお節の「燻乾かび付け法」(※)を考案したと伝わる紀州印南浦(現在の和歌山県印南町)の漁民、二代目角屋甚太郎の命日とされる1707年10月28日(旧暦・宝永4年10月4日)に由来します。
【「だし」を「出汁」と書くのはなぜ?言葉の意味と表記】
■「だし」とは
さまざまな食材のもつ「うま味」を浸出させた液のこと。だしの材料の代表的なものは、昆布、かつお節、煮干し、干ししいたけなどがあります。昆布にはグルタミン酸、かつお節にはイノシン酸、干ししいたけにはグアニル酸が多く含まれています。
■漢字で「出汁」と書く理由
「煮出して抽出した汁(エキス)」という言葉の意味を、そのまま漢字に当てはめた「当て字」です。「出し汁(煮出し汁)」と呼ばれていたものが略されて「だし」になったと考えられています。
【「だし」と「うま味」は同じもの?知っておきたい違い】
「だし」はうま味成分を含んだ液体であり、「うま味」は味覚で感じる基本味のひとつです。
具体的に言うと、昆布やかつお節などの素材を煮出して抽出した汁が「だし」。一方の「うま味」は甘味や酸味と並ぶ“基本味”のひとつで、だしに含まれるグルタミン酸やイノシン酸といった成分によって引き起こされるものです。
つまり、「うま味」を引き出すための手段として「だしをとる」ということですね。
■だしによるうま味の効果
昆布(グルタミン酸)やかつお節(イノシン酸)などでとっただしのうま味は、塩や動物性油脂の使用量を押さえながら料理のおいしさを保つ工夫に役立つことから、だしを利かせるとカロリーオフや減塩にも繋がります。
【「一番だし」「二番だし」「合わせだし」を使い分ける】
■「一番だし」とは?つくり方と活用
一番だしは、素材から最初にとるだしのこと。昆布とかつお節を材料にしてとる場合は、水からじっくりうま味を引き出した昆布だしを沸騰直前に取り出します。その後、かつお節を加えてだしをとり、こして仕上げます。
透明感があり、かつお節の上品な香りや華やかな風味が際立つので、吸い物や蒸し物などだしそのものを味わう料理や、繊細な味付けの料理に用います。
■「二番だし」とは?つくり方と活用
一番だしをとった後の昆布やかつお節に水を加え、再び煮出してつくるだしです。風味を補いたい場合には、新しいかつお節を少量加える「追いがつお」をすることもあります。
時間をかけて煮出すことで、素材から深いコクと力強いうま味が抽出されます。味噌汁や煮物、鍋料理のベースなど、ほかの食材と合わせて煮込む料理に向いています。
■「合わせだし」とは?
一番だしと二番だしを合わせたもの…は間違い! 「合わせだし」とは、2種類以上の素材を用いてとっただしをいいます。「一番だし」も「二番だし」も、2種類以上の素材を使えば「合わせだし」というわけ。
代表的なうま味成分には、アミノ酸系のグルタミン酸と、核酸系のイノシン酸やグアニル酸があります。昆布に多いグルタミン酸と、かつお節に多いイノシン酸を組み合わせると、単独の場合よりもうま味が強く感じられます。これを「うま味の相乗効果」と言います。
全体のうま味物質の濃度を一定にした官能評価では、グルタミン酸とイノシン酸を1対1で組み合わせると、単独の場合に比べて約7〜8倍のうま味を感じるとされています。
【「だしが利く」と「だしに使う」。だしにまつわる表現】
■「だしが利く」の意味
「だしが利(き)く」の「利く」は、そのものの効能など本来もっている働きや効果が十分に現れる、発揮できるという意味。「だしが利く」は、だしの効果がある(味や香り、うま味を感じる)というだけでなく、その機能が料理の風味を活かす役割を存分に果たしている状態を表しています。
一方の「だしに使う」は、「だしを料理に使う」という意味のほか、比喩的な表現にも用いられます。
■「だしに使う」はネガティブワード?
日常会話でもビジネスシーンでも、「だしに使う(使われた)」「だしにした(された)」と表現することがあります。この場合は、「目的を達成したり、利益を得たりするために、他者や特定の事柄を口実・手段として利用する(された)」という意味。
この慣用句は、だしを取り出して本体(だしがら)を捨ててしまうことや、だしは料理のうま味を引き出す手段として用いられることが転じたもの。自分を良く見せたり目的を果たしたりするために、相手を手段や道具として利用するというニュアンスが含まれます。ズルさや不誠実さを示す文脈で使われることが多い表現です。
■なぜ「だしを引く」という?
「だしを引く」は「だしをつくる」や「だしを取る」と同義。日本料理の料理人や板前さんなどが使う言い方です。素材のうま味を引き出すというニュアンスが込められているからとされています。
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地域によって好まれるだしにも違いがあります。関東ではかつお節を使っただしがよく用いられる一方、大阪では昆布を主に、かつお節を組み合わせただしが好まれます。これは江戸時代に、物流の拠点だった大阪には北前船で北海道産の昆布が集まり、関東には太平洋沿岸の海路で枕崎(鹿児島)や土佐(高知)のかつおが届きやすかったためといわれています。お吸い物やお雑煮、おでんなどに東西のだしの違いがよく表れますね。「おだしの日」には好みの素材を贅沢に使って、だしを引いてみませんか?
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉プラス』(小学館) /『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館) /株式会社太鼓亭( https://taikotei.co.jp/ )/農林水産省( https://www.maff.go.jp/ )/文化庁 食文化ミュージアム( https://www.bunka.go.jp/seisaku/shokubunka/foodculture/foodculturemuseum/ ) :

















