オープンカーは夜が気持ちいい。できればひとりではなく、後席にも仲間を乗せて走ろう。風がうるさくて声がよく聞ききとれなかったり、女性の髪が乱れても気にしない。クルマはエンターテインメントなのだから。シボレー・カマロ コンバーチブルは、我々が忘れかけていたクルマの本質的な楽しさを教えてくれる。

ナイトクルージングはオープンカーで!

リアフェンダーの盛り上がりがグラマラスで格好いい。夜の街に映えるメタリックカラーもGOOD!
幌を閉めた状態での静粛性に優れる。普段使いでも快適だ。

 1980年代半ば頃が西麻布&六本木ディスコの全盛期とするなら、80年代終わりから90年代初頭は、いわゆる「ウォーターフロント」時代。芝浦の倉庫街にできたライブハウス「インクスティック」、日本のクラブシーンを切り開いた「GOLD」、そしてヤナセ本社のそばにはディスコ時代の総決算ともいえる「ジュリアナ東京」があり、未整備の台場を木場方面に向かったところに「エムザ有明」(ディファ有明)があったことも忘れられない。

 あえて交通の便の悪いエリアに箱をつくり、ちょっとした非日常性を強調したこの手法は大いに当たった。なぜなら、クルマがあると格段に便利であるがゆえに、ヤンエグや大学生はマイカーがあるだけで淑女を誘いやすかったからだ。サーブ・900カブリオレに男女4人が乗り、イケイケムードで夜の海岸通りを流す「バブル乗り」(勝手に命名)光景が懐かしい。

 オープンカーの場合、2座は荷物を置く隙間さえ厳しいクルマが多く、あくまでもストイックに走りを楽しむためのもの。その点、4座のオープンカーはたとえ狭くても後席があるというだけで精神的なゆとりが生まれ、屋根を開けたときの姿もエレガントだ。そのうえデザインや駆動系に個性があれば、同乗者も楽しめる。シボレー・カマロ コンバーチブルに乗って、在りし日の「バブル乗り」の光景が浮かんだのは、このクルマがもつエンターテインメント性に惹かれたからだ。

窮屈だけど楽しい!

思った以上に狭い後席。でもこれがいい!
近年のアメリカ車に共通する特徴として、内装の質感が格段に良くなった点が挙げられる。日本仕様は快適装備も充実している。

 コルベットと並び、長い歴史をもつカマロは、2015年に最新世代(通算6代目)が登場。先代まではV6やV8エンジンを積んでいたが、現行型から新たに直列4気筒ターボが加わった。さすがにかつてのような咆哮は聴けないものの、サウンド、加速は期待を裏切らないレベルで迫力があり、オープンで走るとそうしたキャラクターがダイレクトに伝わってくる。

 乗り味も現代的な快適性を保ちながら、スポーツカー的な個性を程よくブレンドしたもの。ボディ各所にアルミを多用し、軽量化と剛性の向上を果たしたことも軽快な走りに寄与しているのだろう。そして押し出しの強いスタイリング。昔の曲線主体のデザインと比べると随分モダンになった感はあるが、それでも日本車と間違われることはまずないし、子供っぽくないところがいい。

 後席は正直いって狭い。全長が4,780ミリとそれなりにあるにも関わらず、だ。そこはデザイン重視と割り切って、広い荷物置き場があることを喜びながら乗るべきである。そして仲間を乗せるときは、有無をいわさずに幌を開けよう。きっと、窮屈だけど生き生きとした時間が過ごせるはずだ。

 景気は一向に上向く気配すらないけれど、みんなで乗っているときだけは、幸せな気分に浸れる。カマロ コンバーチブルには、スペックだけで測れない魅力があるのだ。

〈シボレー・カマロ コンバーチブル〉
全長×全幅×全高:4,780×1,900×1,350㎜
車両重量:1,670kg
排気量:1,998cc
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
最高出力:275PS/5,500rpm
最大トルク:400Nm/3,000〜4,000rpm
駆動方式:2WD
トランスミッション:8AT
価格:558万円(税抜き)

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この記事の執筆者
男性情報誌の編集を経て、フリーランスに。心を揺さぶる名車の本質に迫るべく、日夜さまざまなクルマを見て、触っている。映画に登場した車種 にも詳しい。自動車文化を育てた、カーガイたちに憧れ、自らも洒脱に乗りこなせる男になりたいと願う。