ピッティの会場を巡るなかで、真っ先に目に入ってきたのがヴィヴィッドな色合いである。イエロー、オレンジ、ピンク、グリーンといった、いわゆる「ビタミンカラー」と呼ばれる鮮やかな色の提案だ。ここ数年、英国調のトレンドを背景に、落ち着いた色調が秋冬、春夏を問わず、主流の色彩提案になっていたが、いよいよ来年は春夏らしい、強い日射しの下に映える鮮やかな色が到来した。「ビタミンカラー」と呼ぶ以外に、いくつかのブランドでは、オーガニックなイメージの「ジャムカラー」や、気分が高揚するような「ハッピーカラー」というキャッチで、冴えた色のアイテムを提案した。
ヴィヴィッドな色のアイテムが到来!
入荷が待ち遠しい「PT01」の2019年春夏の新作パンツ
まず、パンツのトレンドを左右するトップブランドの「PT01」。2017~18年秋冬コレクションから、クリエイティブディレクターにドメニコ・ジャンフラーテ氏が就任し、クラシックな路線だけではなく、ややモードな雰囲気を加えたデザインやシルエットのパンツを展開するようになり、より注目が集まる存在となった。
目立っていたのが「ビタミンカラー」の一群。『ジェントルマンフィット』『EVOフィット』『プレッピーフィット』など、「PT01」を代表する多彩なラインからヴィヴィッドなカラーを集めたパンツの集合体が、実に新鮮に映った。カラードパンツは、来季の着こなしを一新させるアイテムになるに違いない。
バリエーションが豊富な「アイセア」のエスパドリーユ
次は、夏の足元を軽快に飾るエスパドリーユだ。バッグを中心としたレザーアイテムを展開する「アイセア」が、好評のレザースニーカーに追随する爽やかな靴として新たに投入した。見るからに心が躍るヴィヴィッドな色彩のイエロー、オレンジ、ピンクなどのほかに、ブルーのバリエーションが豊富だ。
レザーブランドでありながら、エスパドリーユを提案したきっかけは、ブランド「アイセア」誕生の背景にある。創設者のひとり、ホアキン氏は、エスパドリーユの発祥地であるバスクの出身。地元の技術を世界に発信するためにエスパドリーユをコレクションに加えたのである。24色ものカラーバリエーションをそろえるうえ、ストライプ柄も用意する。本場のエスパドリーユならではの、足になじむジュートの感触も抜群である。
ヴィットリオ矢部の第94回ピッティ・ウォモレポート公開中
- TEXT :
- 矢部克已 エグゼクティブファッションエディター
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