私の大切なもの──日常でも旅先でも、さまざまに使える「スカーフ」が欠かせません
首が寒いのが苦手なので、スカーフは外出時の必需品です。旅先でも、スカーフが2、3枚あると落ち着くんですよね。色合いやバリエーションの多さが好きで、エルメスのものはたくさんもっています。
このブルー系の一枚は、夫からのプレゼント。家族旅行で私のストールを夫が失くしてしまって悲しんでいたら、ラスベガスのお土産に買ってきてくれました。夫は好きなものにこだわりがあって、何を選ぶのにもそれが現れています。プレゼントの場合でも、私が好きなものというより、自分の好きなものを選んでいるのですが、センスがいいので信頼できるんですよ。
普段から日常使いしていて、ちょっと肌寒いときに子供にかけたり、実は旅先で困ったときに、子供のよだれかけにしたこともあります。その場ですぐに、チャチャッと洗って干しておけば大丈夫(笑)。夏のバカンスではビスチェ風にしてみたり、ちょっと服と合わないバッグの日に巻いてごまかしたり、さまざまな使い方をしていますね。こういった淡いニュアンスカラーのスカーフは日本には少ないので、とても重宝しています。
写真はすべてエルメスのものなのですが、中央は第2子の長女が生まれたときに、夫が韓国で買ってきたもの。スカーフをつくる工程が描かれたスカーフで、かわいい色合いなのに大人っぽい。ふだんは娘がぬいぐるみをダッコするのに使ったりもしています(笑)。彼女に似合うスカーフだと思うので、いずれは額を買って、子供の部屋に飾っておこうかな…とも思います。今はあまり使っていないスカーフも、そうしてアートとして楽しんだり、ふろしきのように使ったりしてもいいのかな…と。
いちばん左は、姉の弥生が誕生日にプレゼントしてくれたものですね。細長い形が使いやすくて、出番が多い。プリントって洋服だと、その日の体調や気分によっては、強すぎてちょっとつらいな…ということがありませんか? そういうとき、服は今着ているように無地のシンプルなものにして、プリントのスカーフで華やかさをプラスします。
ちなみに小雪さんのお姉さん、弥生さん曰く「毎年、こゆ(弥生さんが小雪さんを呼ぶときの呼び方)の誕生日にはエルメスのスカーフをプレゼントしています。その年によって、彼女の気分やコンディションも変わっていきますよね。だから『今はどういう気分か』を察知して選んでいます。最近の彼女はスモーキーカラーをグラデーションで着ることが多いのですが、これはヨーロッパのアンティーク調の色調で、主張しすぎずポイントになるかな…と。ふだん使っている正方形の『カレ』とは違う、細長い形のものをあえて選ました」
私の大切なもの──ともに生き、いつか娘に譲りたいブルガリのジュエリー
ブルガリの『セルペンティ』コレクションを最初に手に入れたのは、つけ心地に魅了された時計でした。ブルガリのジュエリーの優美さは仕事で身につけて知ってはいたのですが、若いころは「数ある美しいジュエリーのひとつ」としてしか見られなかった。
それが今、40代目前になって、つけ心地や使い勝手のよさと美しさの両立を実感できるようになり、改めて素晴らしさに目覚めたんです。ヘビってどこか大げさな印象があったのですが、娘がヘビ年に生まれたこともあって、つけるのに気負いがなくなってきた気がします。
指輪とピアスは、去年の誕生日に、この時計に合わせて夫が選んでくれたもの。最初に指輪を買って、これをつけるならピアスもセットのほうがいいだろうと、一緒にプレゼントしてくれました。男性で、ピアスまで気が行き届く人は多くないですよね。ふだん、私ががんばっているのを見て、お礼の気持ちもあったんじゃないかな(笑)。
身につけるものを選ぶときは、そのブランドに着られていないか? ということを、つねに意識しています。なかでもジュエリーこそ、自分らしさが大切ですよね。ブルガリは今の年齢になったから、しっくりきたように思います。ジュエリーに関しては、つけ心地も大切。ブルガリのジュエリーのコンセプトは「二枚目の肌になること」というだけあって、身につけていて本当にストレスフリーなんです。うっかりアクセサリーを忘れたり、急にパーティやディナーに行くことになったときでも、この時計があるだけで様になるので、私のライフスタイルとぴったり。ずっと、ともに生きていける存在だと思っています。
ちなみに3歳の娘は『セルペンティ』に興味津々で、ジュエリーボックスから勝手に出して遊んでいます。パールと『セルペンティ』だけに興味があって、ほかのものには見向きもしないんですよ(笑)。いくつになったら、この時計の本当の価値に気づくのかわかりませんが、いつの日か、譲れるといいなと思っています。
私の大切なこと──「食」で体を癒やすことは、今を生きる女性に必要なこと
今、健康への意識が世の中全体に高まっていますが、あれを食べなきゃ、これを食べなきゃと、決めすぎるのではなく、すべての女性が自分らしく、簡単につくれるものを見つけられるといいな…と思っています。
今回、出版した『美の養生訓』は、長男を産んだときに産後の養生の本がないことに気づき、それから約3年かけて準備したもの。出産は体調の変化がいちばん大きいという点から、産後の養生を切り口にしましたが、すべての女性に、食事で自己免疫力のセルフケアができることを知っておいてほしいという気持ちがありました。もともと人間の体に興味があり、看護学校にも通っていたので、医学書に書いてあるような専門的な内容も考えたのですが、多くの女性に手に取っていただきたくて、入門編のような内容にしています。
すべての女性にオススメな食材をひとつあげるなら、なつめ(棗)です。なつめは体を温め、緊張を緩和する効果があります。ほかには、小豆もむくみを取る効果がありますね。風邪をひいたとき、妊娠中で薬を飲めないときにも、体を癒す食材を知っていると、とても便利なんですよ。また、なつめや小豆をコトコト煮込むような、時間をかけて生みだされるものを眺めていると心が安らぎます。休日にそういうことをしてみるのも、食と体を考えるきっかけになると思います。
こうした食生活をしていると、子供も自分の体が何を欲しているのか、わかってくるみたいですね。子供の味覚は6~7歳で決まるといいますし、食育はしたほうがいいと思っているのですが、頑張りすぎないようにしています。ひとりのときは好きなだけ時間を使えていたのが、子供ができて自分の時間がもてなくなり、苦しかった時期もありました。
でも、ちゃんと、きちんとやらないと…って頑張りすぎるのをやめたら、ふっと気持ちが楽になって。毎日、頑張って、凝った料理をつくらなくても、簡単な日もあってもいいじゃない? と考えるようにしています。子供が食べたくないと言ったら、無理に食べさせたりしないし、トータルでバランスが取れていればいいかな…と。こうしないといけないっていう観念から離れることも、大切なことだと思うんです。
私の大切な時間──リスペクトしている心豊かな「北欧の暮らし方」を、我が家にも
5、6年前から北欧系の家具が好きになりました。完全に北欧スタイルというわけではないのですが、インテリアに多く取り入れています。
北欧家具が好きになったきっかけは、デンマークへの旅。仕事や旅行でヨーロッパに行くことが多いのですが、デンマークの国民の幸福度の高さに驚かされたんです。人の豊かさというのはどこから来るのか、自分なりに調べたり考えたりしてわかったのは、北欧は社会福祉が充実していて、小学校から大学までの公立の学校の授業料が無料だったり、老人ホームにも入りやすいような環境が整っているということ。
そのぶん税率も高く、たくさん収入を得ても税金でもっていかれてしまうので、みんな16時には仕事を終えて家に帰ってしまいます。だから夕食も週に6~7回、ほぼ毎日、家族全員で食べるのがあたりまえ。私が感銘を受けたのは、家族団らんを大切にし、何が幸せか、ということをみんなが自然にわかっていること。お宅に行くと、どの家にもお花と手づくりのビスケットが用意されていて、中学生や高校生になって彼氏や彼女ができると、自分の家に呼んで、家族に紹介するそうです。コペンハーゲン市内では、多くの人が車ではなく自転車に乗っています。
そういった心豊かなライフスタイルに共感したこともあって、インテリアに北欧スタイルを取り入れてみたくなりました。北欧は靴を脱ぐ習慣があるので、椅子や机の高さも日本人の暮らしに合うんですよね。探究心が強いのかもしれませんが、単純にデザインだけで好きになるのではなく、どうしてそれが好きなのか、どうしてそうしたいのか、突き詰めるのが好き。北欧のインテリアに囲まれながら、家族との時間を大切に、自分たちらしく心豊かに過ごす方法を、いつも考えています。
家族が一番集まるダイニングはピンクがキーカラー。明るい雰囲気になるよう、壁をペールピンクに塗り替えました。椅子はフリッツ・ハンセンの『セブンチェア』です。壁の絵皿はロイヤル コペンハーゲンのイヤープレート。子供たちの誕生年に友人からいただいたものを、壁に飾っています。
日々の食卓で、一番使うダイニングテーブル。子供のときから家族円満になるよう円卓で育ったので、そのコンセプトを大切にしています。ルイスポールセンのライトとテーブルは、フリッツ・ハンセンの『セブンチェア』と合わせて、デンマークのアンティーク家具を扱うショップ「ルカスカンジナビア」で購入。新しいものと古いものを組み合わせると、空間に温もりが生まれますよね。
友人など大勢が集まるときに使う、ハンス J. ウェグナーの長テーブルはリビングに。この部屋はブルーをキーカラーにしているので、椅子もブルーグラデーションに。
リビングに置いてある子供用テーブル。遊びや宿題で使ったり、お友達が来たときには子供用食卓にすることも。子供用でも、部屋と統一感が出るよう色をブルーで合わせています。デザインを選び、オーダーでつくっていただきました。
私の大切な時間──自分がどうありたいか?「考える時間」を毎日、見つけています
家族との時間、夫との時間、自分ひとりの時間、すべてが「自分の時間」だと思っています。どれが欠けてもおかしなことになってしまうので、そのバランスに気を付けています。ただスケジュールによっては、比重が偏ることもありますよね。そんなときは、あえてメリハリをつけて時間を割り振るようにして、いちいち気にしたり、後悔したりしないように心掛けています。
たとえば今の生活スタイルでできる範囲で、家族との時間をより深めたいときは、長めのバカンスを田舎で一緒に過ごすようにしたり。今年(2016年)は夏にポルトガルへ行く予定。子供を毎日海に入らせて、借りた家で料理もします。
子どもにとっても、学校だけがすべてじゃないと考えているので、どういう時間の過ごし方をするかは、家庭環境が大きく左右すると思います。たとえば長期の撮影で子供が寂しがっていると感じていても、働いていると時間の調整が難しいときもある。
そうしたときは、仕事の場に連れていくこともありますね。家で一緒に過ごせなくても、別の空間で一緒に過ごすこともできますし、親として以外の姿を見せたいという気持ちもあります。
「ママはああいうところに行っているんだな」と理解できるよう、子供にとっては楽しくないであろう場にも連れていったりしますよ。先日は打ち合わせに連れていったら、さすがに面白くなかったようで、すぐに帰ってしまいましたが(笑)。周りの大人が構ってくれる一日社会見学のようなときもありつつ、そういう楽しいときばかりではないことも、理解してくれたんじゃないかと思います。
自分ひとりの時間のためには、部屋の角や狭い空間にコーナーをつくると落ち着けます。デスクエリアも家具で仕切り、ミニ書斎風にして、自分の好きなものを置く場所に。
机、絵画、本棚は「ルカスカンジナビア」で見つけたアンティークのもの。椅子はフリッツ・ハンセンの、ナチュラルレザーの『スワンチェア』。4年ほど使っていますが、レザーに風合いが出て馴染んできました。アンティークライトはレ・クリントです。
3人の子供たちは年も近いので、お互いを対等と思っていて、いつもケンカをしています。きっと中学生くらいまでは、そんな感じでにぎやかなんだろうな。
30代後半で子供を産んだせいか、いろいろ俯瞰して見ることができるようで、毎日が戦争のような幼少期を経て、終わったら寂しくなるのかな…と思ったりもします。とはいえ今は渦中だから“いつ、この状態が終わってくれるんだろう”と思う気持ちのほうが強いですね(笑)。
3人の子育てをしていると、自分の時間を捻出するのは難しいものです。ベビーシッターさんが気を遣ってくれて、出かけてきていいですよ、と外に出してくれるときくらい。自分が人としてどうありたいかをしっかりもっていないと、子育てにすべてをもっていかれそうです。
でも子育て自体に依存しすぎると、子供たちにもよくないと思っているので、自分がひとりの人間としてどうありたいかをつねに考えるようにしています。そのビジョンは、節目節目で変わるんですが、何をしているときでも、その時点でのビジョンが頭のかたすみにあります。
コンスタントにもてる唯一のひとり時間、午前中のコーヒータイムなどに、その頭の中のビジョンを整理することが多いかな。そう考えると、私はふわーっとしているタイプじゃないんですよね。たぶん、欲張りなんだと思います(笑)。
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- TEXT :
- 小雪さん 女優
- クレジット :
- 撮影/神谷愛実(TRIVAL) スタイリスト/門脇淳子(impress+) ヘア&メイクアップ/小田切ヒロ(LA DONNA) 構成/安念美和子