紳士必須のアイテム、スーツに関する新しいニュースで見逃せないのが、イタリア・ブランドの“エルネスト”と“ラルディーニ”である。これからのクラシックスタイルを牽引する、個性的な色で表現した“エルネスト”とオリジナルの素材を巧みに仕立てた“ラルディーニ”が、エレガントなスーツを発表した。

イタリアを代表する2大スーツブランド

80年代の雰囲気が漂うエルネストのスーツ

スーツの紹介をするエンリコ・メッザードリ氏。
スーツの紹介をするエンリコ・メッザードリ氏。

 パルマに工場を構える“エルネスト”は、エスニックな色合いのオリジナルの生地で存在感のあるジャケットを展開する。ここ最近、メンズのファッション・マーケットを熱くするブランドのひとつである。クラシックなスーツづくりの生産背景もあり、昔ながらの重量感のある生地で仕立てるブランド、“パイデア”も手がけている。

 “エルネスト”が投入したのは、テロテロとしたしなやかな生地で表現したスーツ。どこか1980年代のイメージを漂わせる質感だ。レーヨン75%とリネン25%を混紡した生地は、オーナーのエンリコ・メッザードリ氏のアイディアから誕生した。「リネンを加えたことで、生地の表面にサラッとした質感が生まれ、レーヨンの強い光沢感を適度に抑えた、独特の質感になった」と言う。

 流れるようなドレープに加え、テラコッタやワインカラーによる美しい色彩のスーツの登場で、さらに奥行のあるスーツのバリエーションを表現した。

軽快かつ色気のあるラルディーニのスーツ

ラルディーニ「クラブ サルトリア」ライン
ラルディーニ「クラブ サルトリア」ライン

 “ラルディーニ”は、地中海リゾートのリッチな世界観をイメージした「サントロぺのイブニングスタイル」をテーマに、ブランドのなかでも、最も手の込んだつくりの「クラブ サルトリア」ラインから、軽快かつ色気のあるスーツを投入した。

 写真左のダブルのヴェストを合わせたスリーピーススーツは、イギリス産のシワを生かしたリネン生地を使用。ジャケットのデザインをパッチポケットにして、リゾートにふさわしいリラックスした雰囲気をかもし出す。パンツは注目のベルトレスタイプ。サイドアジャスターをバランスよく取り入れたディテールだ。

 “ラルディーニ”でもう1着注目したいのが、写真右のダブルスーツだ。糸がほつれたように見えるウール×シルク×リネンの生地は、洒落者好みのヴィンテージの匂いを漂わす。大きなラペルを配した6つボタンのエレガンス極まるスタイルだ。2着のスーツには、洒落たヴィンテージ柄のタイをポイントにVゾーンを演出する。

 “エルネスト”と“ラルディーニ”は、スタイルやテーマを明快に表現したスーツをつくることで、一歩先ゆくブランドに進化し得るのだ。

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この記事の執筆者
ヴィットリオ矢部のニックネームを持つ本誌エグゼクティブファッションエディター矢部克已。ファション、グルメ、アートなどすべてに精通する当代きってのイタリア快楽主義者。イタリア在住の経験を生かし、現地の工房やテーラー取材をはじめ、大学でイタリアファッションの講師を勤めるなど活躍は多岐にわたる。 “ヴィスコンティ”のペンを愛用。Twitterでは毎年開催されるピッティ・ウォモのレポートを配信。合わせてチェックされたし!
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