「ディーゼルこそ最良」という価値観 

最新世代のクリーンディーゼルが日本へ!

プジョーの「508」

環境性能に優れたクルマの代名詞は、ガソリンエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドカー......というのはおおむね日本だけの話で、ヨーロッパでは昔も今もディーゼルエンジンが主流だ。近年はドイツブランドを中心にプラグインハイブリッドカーが増えているが、その狙いは技術革新だけでなく、CO2排出量の総量規制対策としての側面もある。一般的には依然としてディーゼルが最良の動力機関と捉えられていて、とくに合理的価値観が支配するフランスでは、同じクルマでガソリンとディーゼルが選べるとすれば、多くの人が悩むことなくディーゼルを選ぶという。

フロント

フランスを代表する自動車ブランドのプジョーも、長らくディーゼルを作ってきた。最初のモデルは1955年にデビューした「403」。イタリアのデザインスタジオ、ピニンファリーナがデザインした古典的で品格あふれるスタイリングは評判を呼び、60年代にかけて販売打数を伸ばした名車だ。有害物質の排出量を減らした現代的なクリーンデイーゼルエンジンは2013年にモデルチェンジした中核モデルの「308」から搭載が始まったが、それがようやく2016年夏から日本でも手に入るようになったのが、今回のニュースだ。なぜもっと早く日本へ導入しなかったのかと思うだろうが、これにはヨーロッパと日本の計測方法の違いなど、諸問題をクリアするために時間がかかったためだ。

フレンチGTに過剰な主張は不要!

「BlueHDi」と呼ばれるディーゼルエンジンは、前述の「308」とフラッグシップの「508」に搭載され、とくに「508」は今回の導入に合わせてディーゼル1本に絞られることになった。GT(グランドツアラー)の名を冠したフラッグシップセダンとはいえ、車格はメルセデス・ベンツ「Cクラス」やBMW「3シリーズ」と同じクラスであり、ドイツブランドの全長5メートルを超えるプレミアム・カーにはパフォーマンスでも装備でも遠く及ばないが、過剰な主張を好まない層には、実に心地よいクルマだ。なによりも装飾的なディテールを配した、シンプルで洗練されたスタイリングがいい。ディーゼルユニットを搭載した走りもスタイリング同様、心地よさが際立つ。カーペットの上を走っているようなドイツ車と比べて、より路面の状態が伝わってくるものの不快な印象はなく、中低速でしっかりストロークするしなやかな身のこなしとレスンポンスに優れたディーゼルエンジンのたくましさが、ドライビングにメリハリを与えてくれる。ヨーロッパの文化を肌で知る紳士なら、このクルマをかっこよく"着崩す"ことができるだろう。

〈プジョー・508 GT BlueHDi〉
全長×全幅×全高:4830×1855×1435㎜
車両重量:1650kg
排気量:1997cc
エンジン:直列4気筒DOHCディーゼルターボ
最高出力:180PS/3750rpm
最大トルク:400Nm/2000rpm
駆動方式:2WD
トランスミッション:6AT
価格:434万円(税込)
(問)プジョーコール ☎0120-840-240

この記事の執筆者
TEXT :
櫻井 香 記者
2018.2.11 更新
男性情報誌の編集を経て、フリーランスに。心を揺さぶる名車の本質に迫るべく、日夜さまざまなクルマを見て、触っている。映画に登場した車種 にも詳しい。自動車文化を育てた、カーガイたちに憧れ、自らも洒脱に乗りこなせる男になりたいと願う。