購入したては未完成品。10年は使い倒して、自分にとっての完成品に近づく……。男にとっての逸品とはそういうものだと思う。

男の重さが溢れる「ヴァレクストラ」

革製品は、何十年も使い続けてこそ魅力が増すもの。80年代にミラノの「ヴァレクストラ」のショップで購入したブリーフケース。※私物

写真の「ヴァレクストラ」のブリーフケースは30年ほど使い込まれたものだ。持ち主いわく「ようやく一丁前の顔つきになってきた」。素材はチンギアーレ。猪革である。

表面には独特の毛穴が残り、野趣に富む。そのおかげで少々のキズがついても気にならない。むしろ、勲章のように見える。男気のある革だ。そして、重い。当世は機能重視で軽いナイロンバッグが流行るが、その対極。しかし、30年使っても魅力を増し続けるなんていう芸当は、重さをいとわない丈夫な革でなければできやしない。ましてや、バッグが己の生き様を表すなんてことも。

どこにもまねのできない究極のレザーバッグ

今なおひとつのバッグを仕上げるために、全工程をひとりの職人が担当するイタリアの「ヴァレクストラ」。その熟練した技術は、現行のブリーフケースにおいても存分に味わえる。ベジタブルタンニンのなめし技術の誕生によって、最高級カーフもより自然で上品に。W440×H320× D160mm『DIPLOMATICA』(ヴァレクストラ・ジャパン)※参考商品

1937年ミラノで創業した「ヴァレクストラ」は完璧主義と洗練デザインで知られ、近ごろはフェミニンな雰囲気が人気を呼ぶ。しかし、30年モノを見て思う。男の鞄だと。そして男の鞄のあるべき姿だと。

名品DATA
1937年に、イタリア・ミラノで創業。写真のドクターズバッグのようなマチが魅力的な「ヴァレクストラ」のブリーフケースは、80年代製。本体は、ヨーロッパでは古くから手袋や靴などに用いられる、やわらかで強固なチンギアーレ(猪)レザーが採用されている。使い込むほどに味わいが増す革の経年変化に、本物としての風格が感じられる。
※2011年夏号取材時の情報です。
この記事の執筆者
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パイルドライバー