今回は、この春私が感銘を受けた
"オシャレな"本や映画をご紹介します。
まずは
「小津ごのみ」(中野 翠著・ちくま文庫)

中野さんの文章やイラストは、清潔感があって大好きです。
これはファッション、映画、インテリアから役者たちの演技にいたるまで
徹底的に追求された小津映画の美意識について
エッセイストの中野翠さんが解き明かす、斬新な小津論です。
「小津映画を見るのは、他の映画を見るのとはちょっと違う、
何か小さなコレクションをするような気持ちだったと思う。
アンティックショップで古い絵ハガキや雑誌を買い集めるのと似た気持」。
中野さんは小津映画の魅力をこう語ります。
そして小津映画のタイトルバックに決まって使われている
ドンゴロス(ダンガリー)生地から、
不自然なまでに趣味のよい女優たちのファッションなど、
「リアリズム」の言葉で括られがちな小津監督が、
いかに自らの好悪の感覚を大切にしてきたかを突き止めていきます。
ファッションを知らない評論家たちの映画論に、
時として違和感を抱いていた方は多いのでは?
そんな方なら思わず快哉を叫びたくなる、そんな1冊です。
挿絵や写真で触れられている、戦前小津映画の恐るべき
ハイカラ趣味についても興味深々。ぜひ一度チェックしたいものですね!
そしてお次は、
「PAPA&CAPA ヘミングウェイとキャパの17年」
(山口 淳著・阪急コミュニケーションズ)

メンズプレシャスの連載でもおなじみのライター、山口さんの著!
『ヘミングウェイの流儀』(日本経済新聞出版社)で
アーネスト・ヘミングウェイのモノへの偏愛を解き明かした山口氏が、
ロバート・キャパとヘミングウェイのふたりを串刺しにしたノンフィクション。
ふたりの貴重な写真をふんだんに使ったビジュアルブック的な
体裁をとったこの本は、「ヘミングウェイは読んだことないなぁ」
なんていうアメカジ好きにもおすすめです。
実際、ビームスプラスなどセレクトショップにも置かれているんですよ。
それにしても、近頃はこの本でも描かれている
20~30年代の洒落者たち、所謂「ロストジェネレーション」の
世界に惹かれてなりません。
ヘミングウェイ、キャパ、セシル・ビートン、ココ・シャネル、
ジャン・コクトー、藤田嗣治、ウィンザー公・・・。
男が、そして女が最もエレガントだったこの時代。
写真集や映画などで、彼らの素敵な着こなしを、
もっともっと見たいですね!
ということで、次回は映画について語らせていただきます。