ディオールとロジェ・ヴィヴィエがコラボした靴をまとめた本が発刊!  

写真集「Dior by Roger Vivier」

たった10年間だけの貴重なコラボレーション

ともに20世紀を代表するエレガント・スタイルの高級メゾン、ロジェ・ヴィヴィエとディオールがコラボしたとしたらどうなるのか…。夢のような話ですが、実は、1953年から63年までの10年間だけ、ロジェ・ヴィヴィエその人がまさにディオールのオートクチュールの靴をデザインしていた時期があるのです。

この10年間は、クリスチャン・ディオール本人が「クーポールライン」「チューリップライン」など新しいシルエットを次々発表した時期です。ロジェ・ヴィヴィエとクリスチャン・ディオールは友人関係だったそうです。

1957年、ディオールが心筋梗塞で急逝し、その跡を継いだのがイヴ・サンローランでした。つまり、ロジェ・ヴィヴィエはイヴ・サンローランともコラボしていることになるわけですね。

彫刻を学んだロジェ・ヴィヴィエが生み出した完璧な曲線

このほど、リッツォーリ社からその当時のコラボ靴の写真を納めた写真集「Dior by Roger Vivier」が発行されました。パリの名門芸術学校ボザールで彫刻を学んだヴィヴィエだけに、とにかくフォルムが今見ても斬新かつ美しい。また、本物のジュエリーを使って製造したその装飾の見事なこと!

ディオールは新しいシルエットの服を生み出しましたが、ロジェ・ヴィヴィエもまた、「プラットフォーム・シューズ」「スティレット・ヒール」という新スタイルをクリエートしました。

宮廷人が履いていそうなサテンのイヴニング・パンプス。今見ても新しい「ニュー・スタイル」ヒール。1962年 Christian Dior by Roger Vivier. The Metropolitan Museum of Art collection, New York. ©︎Gérard Uféras
イヴ・サンローラン時代の最強のエレガンス、刺繍入りチュールのミュール。サテンで覆ったスレンダーな「ルイ15世」ヒール。1958年秋冬 Christian Dior by Roger Vivier Musée Yves Saint Laurent collection, Paris ©︎Gérard Uféras
華麗な刺繍入りレースのイヴニング・アンクル・ブーツ。「ルイ15世」ヒール。1961年秋冬 Christian Dior by Roger Vivier. The Metropolitan Museum of Art collection, New York. ©︎Gérard Uféras

このディオールとのコラボシューズは、マレーネ・デートリッヒ、グレース・ケリー、エリザベス・テーラら、名だたる女優たちが夢中になったそうです。靴とはいえ、芸術作品の域に入っていますものね。

やはり、往年の女優たちの御御足(おみあし)にこそふさわしい名品です。

不思議な青い光沢のカワセミの羽根つきパンプス。「クロック」ヒール。1959年 Christian Dior by Roger Vivier. The Metropolitan Museum of Art collection, New York. ©︎Gérard Uféras 
赤いサテンにビーズや刺しゅうがふんだんについたイヴニング・パンプス。「ニードル」ヒール。1962年ごろ Christian Dior by Roger Vivier. Anouschka Private Collection, Paris ©︎Gérard Uféras
シルクサテンに雫のようなビーズがついたイヴニング・パンプス。「ルイ15世 」ヒール。1960年 Christian Dior by Roger Vivier. The Metropolitan Museum of Art collection, New York. ©︎Gérard Uféras
キャンバス地のインディアン・パンプス。斬新なプラスティックボールのヒール。1955年 Christian Dior by Roger Vivier. The Metropolitan Museum of Art collection, New York. ©︎Gérard Uféras

天才たちがつくり上げた究極のエレガンス。いつの時代でも女性の永遠の憧れです。いまでは実現不可能な、稀代の感性が作り出した奇跡の美の世界には、時間を忘れて見入ってしまいます。

この記事の執筆者
某女性誌編集者を経て2003年に渡仏。東京とパリを行き来しながら、食、旅、デザイン、モード、ビューティなどの広い分野を手掛ける。趣味は“料理”と“健康”と“ワイン”。2013年南仏プロヴァンスのシャンブル・ドットのインテリアと暮らし方を取り上げた『憧れのプロヴァンス流インテリアスタイル』(講談社刊)の著者として、2016年から年1回、英語版東京シティガイドブック『Tokyo Now』(igrecca inc.刊)を主幹として上梓。