クォーツのレボリューションが時計シーンを席巻した1970年代。アバンギャルドなデザインで、世界の注目を集めたのがフランス時計製造の聖地、ブザンソンで1867年に創業されたLIPだった。
1970年代の名作「マッハダイオード」が現代に蘇った!
長きに渡り、クラシカルな時計作りに取り組んでいたが、1950年代に、エレクトリックムーブメントを開発。創業者の孫フレッド・リップがデザインした「パノラミック」、登山でも使用されたパワーリザーブモデル「ヒマラヤ」が話題を呼び、1968年にはフランスのグルノーブル冬季オリンピックに合わせ、フランス初の機械式200m防水のダイバーズウォッチ「ノーティック・スキー」が登場した。
1970年代に入ると、フランスの高速列車TGVなどを手掛け「インダストリアルのエステティシャン」と称されるデザイナー、ロジェ・タロンを起用。1975年に左右非対称のマッハ2000シリーズを発表すると、翌年には、後にフレンチデザインを象徴するプロダクトとなる、腕時計の表示に発光ダイオードを用いた「マッハ2000 ダイオード」がリリースされた。
2017年に創立150周年を迎えた現在も、LIPのコレクションはフランス国内の工場で、スイス製や日本製のムーブメントを使い、一つ一つ手作業によって組み上げられている。近年はパリを中心にヘリテージコレクションが再評価される中、2018年「マッハ2000 ダイオード」の復刻モデルが登場した。
LIP 「マッハ2000 ダイオード」(ブラック)
LIP 「マッハ2000 ダイオード」(オレンジ)
1976年の発売当時、ダイオードのカラーはレッドオンリーであったが、復刻モデルでは現代のLED技術を取り入れ、ブルーとオレンジの2色を採用。
ケースにはダイオードカラーと同色のロゴマークがあしらわれている。デザインは現代的にリファインされながら、時代を経ても色褪せないスクエアフォルムのフレンチデザインを踏襲。
時分秒とカレンダーのみの表示機能や、ボタンを押した時だけ発光する操作システムなど、当時とほとんど変わらない仕様も大きな魅力だ。
レトロフューチャー・モダンと呼ぶにふさわしいガジェットスタイルに刺激され、ブザンソン出身の世界的デザイナー、クリストフ・ルメールがコラボレーションモデルを製作したのも納得できる。
2モデルともレザーストラップが装着され汎用性の高いスタイリングが可能。フィールド系アウターとの相性にも優れている。
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- TEXT :
- 安藤政弘 ライター
- WRITING :
- 安藤政弘