皆様、もうお手にとっていただけたでしょうか?

メンズプレシャス2012年春号。

こんな素敵な表紙が、ドン!と。

「このスーツスタイル、最近のメンズファッション誌の傾向とは

ちょっと違うな・・・?」と思われた方は上級者。

そう、この号のスーツ特集では、ここ約10年ファッション界を席巻してきた

イタリア的スーツスタイルと並び、メンズファッションの原点、

英国的スーツダンディズムを提唱しているのです。

個人的に、イタリアのスーツスタイルの美学とは

「抑制」にあると思っております。

ネイビーのタイを締めたらベルトも靴も同色で揃えたり、

ピンクのチーフと靴下の色を揃えたり、

一見派手に見えてもその着こなしは完璧に「編集」

されているわけで、正直ライターとしては原稿に起こしやすいのです。

それに対してイギリスのスーツ美学は、非常に原稿で表現しにくい!

なぜならその色使いに、まったく「編集」の痕跡が感じられないから。

ネイビースーツにブルーのクレリックシャツで

美しくまとめたグラデーションに

唐突にパープルとグリーンのレップタイがやってきたり、

どこにも使っていない色のサスペンダーが現れたり、

そこから「計算」が読み解けないのです。

いわば「乱調の美」

きっとイギリスの伊達男たちは、そんな編集的作為を

無粋だと思っているのでしょう。

そして「キレイ」だったらいいじゃん、と・・・。

そう、「キレイ」

あまりにプリミティブすぎて使うのが気恥ずかしいこともあり、

ここ数年のファッション雑誌では見かけなくなった言葉ですが、

私は最近、この言葉に注目しています。

「ロロピの素材が云々」「運針が云々」

「このブランドは○○のファクトリーで・・・」

もちろんそれはファッションの楽しみですが、

「これ、キレイだね!」

そんな素直な感覚で洋服を楽しみたいものです!

ということで最近は80年代のファッション誌に夢中。

今でも十分イケるような気がする「ポール スミス」

モーレツであります!

伝説のブランド「グラスメンズ」!

これらをそのまんま取り入れるかどうかは別として、

デザイナーズがもっとも元気だった

80年代のスタイルは、着こなしに無限のヒントを与えてくれます。

そして自分自身の買い物も、最近はこんなちょっとキワどい色ばかり。

左からエルメス、エルメス、アルニス、カンティーニのネクタイ。

アリストクラティコのベージュシャツ、

ジョン スメドレーのニットポロ、

ハバ--ザックのオレンジシャツ、

ラグビーのベルベットルームシューズ、

カモシタのシルクカーディガン。

周囲の目なんて気にせず

こんな「キレイ」な色で、

私は春を満喫したいと思います。

この記事の執筆者
MEN'S Preciousファッションディレクター。幼少期からの洋服好き、雑誌好きが高じてファッション編集者の道へ。男性ファッション誌編集部員、フリーエディターを経て、現在は『MEN'S Precious』にてファッションディレクターを務める。趣味は買い物と昭和な喫茶店めぐり。
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