あの菊池武夫さんが、この5月にマガジンハウスから

その名も『菊池武夫の本』を出版されました。

菊池武夫=TAKEO KIKUCHI。

70年代には「ビギ」を立ち上げDCブランドの寵児として活躍。

80年代にはワールドに移籍、「TAKEO KIKUCHI」を立ち上げる。

90年代には浅野忠信やクリストファー・ドイルとムービーを製作。

そして00年代には新規ブランド「40ct&525」を設立・・・と、

約50年に渡って第一線で活躍してこられた、

言うまでもなくメンズデザイナーとして、日本で最も有名な方です。

菊池先生本人を知らない20代の若者たちが、

今もこぞってTAKEO KIKUCHIのスーツを選び、袖を通す・・・。

これってすごいことですよね。

この本は、そんな菊池武夫先生のデザイナー人生を

 

アーヴィング・ペンや植田正治が撮った広告写真など

豊富な写真資料とともに振り返った、とてつもなく豪華な一冊。

裕福な子供時代やモダンジャズに耽溺した学生時代、

クリエーターとしての苦悩、そしてビジネス観にいたるまで、

なんと菊池先生自身が筆をとっておられます。

しかし、今も見果てぬ夢に向かって突き進む先生の文章には

懐古的なムードなど一切ありません。

その危うさと紙一重の繊細な魂は、

読む者の心をギュッと鷲掴みにするのです。

それにしても菊池先生の73歳とは思えない溌剌とした輝き・・・!

以前「ピッティ」や「ホワイト」で買い付けをされている様子を

拝見したことがあるのですが(声もかけられず、遠巻きに眺めていました)

その若々しさ、格好よさに衝撃を受けたことを思い出します。

日本には数少ない「格好いい大人」の作り方。

ぜひこの本で学び取りたいと思います。

そして・・・さらにディープに菊池先生を知りたい人には、

こんな本もおすすめです。

『乾杯! ロストジェネレーション』

(86年・講談社)※amazonなどで購入可能。

こちらはバブル経済真っ盛りの86年の発行。

しかし『菊池武夫の本』と読み比べても、

全くその生き方にブレがないことに驚かされます。

それにしても、菊池先生の文章の上手さ!

編集者・ライターとして正直、やられました。

まだまだ修行が足りませんね!

この記事の執筆者
MEN'S Preciousファッションディレクター。幼少期からの洋服好き、雑誌好きが高じてファッション編集者の道へ。男性ファッション誌編集部員、フリーエディターを経て、現在は『MEN'S Precious』にてファッションディレクターを務める。趣味は買い物と昭和な喫茶店めぐり。
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