どんなに時代が進んでも、モーターショーは楽しいもの。マニアの方ならメーカーの今後を推察することができるだろうし、そうでない方も、新鮮な思いでクルマへの夢を抱くことができるだろう。今回は1月にデトロイトで開催された北米自動車ショーのダイジェストだ。
スープラ・イズ・バック!
スポーツマンシップというと英国人のライフスタイルが思い浮かぶ。じっさい、クルマでいっても、スポーツカーは英国で多く生まれ、愛され、世界中に影響を与えてきた。
ベントレーやアストンマーティンやジャガーといった英国を代表するブランドの数々も、モータースポーツで名を馳せ「一流」となっていったのはご存知のとおり。
2019年1月に米国デトロイトで開催された北米自動車ショーの出展車を見たとき、SUVとスポーツモデルが多くて、いまもクルマ好きのあいだで、クルマの根本的な魅力は薄れていないのだと感じた。
2019年のショーの大きな目玉のひとつは、トヨタ自動車が初お披露目した「GRスープラ」だ。BMWとの共同開発ということで話題になっているモデルである。BMWはフルオープンだが、モータースポーツへの参戦を視野に入れているトヨタはクーペというのが大きな違いだ。
プレスデイでは豊田章男社長も姿を見せ、「スープラ・イズ・バック!」と、高らかに声を上げたのだった。2リッター4気筒と3リッター直列6気筒が用意され、後輪駆動の2人乗りだ。日本でも春には発売される予定とか。
スバルは北米でも人気の高い「WRX STI」の最新モデルである「S209」を発表した。S207、S208に続くスポーツモデルで、スバル・テクニカインターナショナル(STI)と共同開発により341馬力ものハイパワーを誇る2.5リッター水平対向4気筒エンジンを搭載する。
米国勢も注目モデルを出展!
米国勢ではシボレーが最強のパワーを謳う755馬力の「コーベットZR1」の最新モデルを発表するいっぽう、フォードモーターカンパニーは700馬力超の「フォード・シェルビー・マスタングGT500」で観客を集めたのだった。
スポーツユーティリティビークル(SUV)は2019年も人気が続くと業界では見ている。ショーには展示が多く、新車も話題のものが投入された。ひとつはキャデラックによる3列シートの大型ボディ「XT6」だ。もうひとつはフルモデルチェンジした「フォード・エクスプローラー」である。
コンセプトモデルとしては、「インフィニティQXインスピレーション」が電気モーターによるSUVの提案として話題を集めた。スタイリングも大胆で、ちょっとゴツいテイストのSUVやピックアップトラックが並ぶなか、目立っていた。
スポーティな雰囲気はほかにも多い。ひとつは「レクサスLCコンバーチブル・コンセプト」である。これはエレガントな雰囲気とのバランスもよく、米西海岸などでは大きな人気を呼びそうだ。
いっぽう日産は「将来のセダンの方向性を感じさせる」(広報担当者)と謳う「IMs」という4ドアクーペのコンセプトモデルをブースに並べた。これも動力はピュア電気である。詳細は不明だがインテリアにもさまざまな新技術が採用されているようだ。
デトロイトでの北米自動車ショーは、伝統的に年初に開催されてきた。しかしこのところ、近辺に米国でいくつもの大事な自動車ショーがあることから展示に新味がなくなったり、あるいは参加を取りやめるメーカーが出てきたりという問題を抱えてきている。そこで2020年は夏に開催時期をズラすなどの対策が講じられるようだ。
- TEXT :
- 小川フミオ ライフスタイルジャーナリスト