2019年春、伊勢丹新宿店メンズ館が全館リモデルオープンした。メンズプレシャスはフロアごとの詳細を徹底取材、第2回となる本記事では、いち早くリモデルを果たした地下1階の紳士靴売り場を取り上げる。

「おしゃれは足元から」を地で行く豊かな品揃えとサービスに、メンズプレシャス・エグゼクティブファッションエディターの矢部克已も思わず唸った。

 

リモデルの先陣を切って売り場を拡大!

ますます品揃えが充実したハイエンドオーダーサロン。取材時は「ジェイエムウエストン」のイベント展示が行われていた。
ますます品揃えが充実したハイエンドオーダーサロン。取材時は「ジェイエムウエストン」のイベント展示が行われていた。

 伊勢丹新宿店メンズ館を語るうえで、とりわけ、力を込めて描写しなければならないのが、地下1階の紳士靴である。なにせ、2003年メンズ館のオープン時から多くの来客を動員し、高級紳士靴のブームに拍車をかけたのは、間違いなく地下1階からの発信だったからだ。

 たとえば、ヨーロッパやアメリカ、日本の一流どころの靴を選りすぐるほかに、イギリス・ノーザンプトンに生産拠点を構える、伝統的な靴ブランドの名職人などを招聘し、毎週のようにトランクショーを開いた。

 靴づくりの実演やフィッティングの的確なアドヴァイスもあり、さながら靴の一大専門店と化したのである。凄腕のマエストロたちの技に見惚れるお客さんたちのそばで、私も、英国ブランドのパターンオーダーをお願いしたのである。当時の熱気ある催事を振り返ったが、実は今も、その光景が続いているから末恐ろしい。

 その後、紳士靴のエリアは、‘05年に上質なブランドを厳選したハイエンドコーナーを設け、ステイタスのある高級紳士靴に一層のラグジュアリー感を演出。昨年‘18年9月には、70㎡に拡充し、今回のリモデルの先陣を切った。上質な革からかもし出される香りや、多数並んだ紳士靴のレイアウトは、靴好きならずとも、欲望を掻き立てる特別な空間に進化した。

注目のハイブランドがプレタポルテに加わった

ハイエンドオーダーサロンの座り心地のいいソファでリモデルの狙いを語る、バイヤーの福田隆史氏(左)。
ハイエンドオーダーサロンの座り心地のいいソファでリモデルの狙いを語る、バイヤーの福田隆史氏(左)。

 リモデルの2本柱は、ハイエンドサロンで楽しめるパターンオーダーの常設と、シューケアコーナーの嬉しいサービスだ。

 ハイエンドオーダーサロンの紹介の前に、まず、注目のブランドがプレタポルテに加わったことをお伝えしたい。昨年秋冬から始まったのが、英国の「ガジアーノ&ガーリング」、オーストリアの「サンクリスピン」。この春夏からは、3シーズン目の新しいブランドながら、ラインナップの展開に十分なポテンシャルを感じさせるイタリアの「エドアルド ジャルディーニ」が、新たに棚を飾る。靴づくりに秀でた話題のあるブランドは、絶対に逸らさない姿勢が伝わってくる。

 入口からハイエンドオーダーサロンを見ると、右側に世界トップクラスの靴を整然と並べた棚があり、正面は靴ブランドの企画イベントが展開されるスペース。取材時には、「ジェイエムウエストン」の180シグニチャーローファーのイベントで、アーティスティックディレクター、オリビエ・サイヤール氏が手がけた新作が展示されていた。

 そして、左側は重厚なソファが並び、ゆっくりとくつろぎながら靴選びができる。透明のガラスがはめ込まれた壁は、サロンの外側から、靴のイベントや高級靴で満たされた、壮観な棚を覗き込めるデザインだ。

世界でも類を見ない、贅沢な環境が完成!

プレタポルテコーナーで矢部が注目したのは、「エドワード グリーン」。アッパーは春にも合う、品のあるライトブラウンのスウェード素材だ。
プレタポルテコーナーで矢部が注目したのは、「エドワード グリーン」。アッパーは春にも合う、品のあるライトブラウンのスウェード素材だ。
購入した靴をメンテナンスしてくれるシューケアコーナー。自分で磨くのも楽しいが、プロの技を拝見しながら過ごす時間は格別だ。
購入した靴をメンテナンスしてくれるシューケアコーナー。自分で磨くのも楽しいが、プロの技を拝見しながら過ごす時間は格別だ。

 随時注文できるパターンオーダーは、「ジョンロブ」「エンツォ ボナフェ」「コルテ」「ステファノ ベーメル」など、全12ブランド展開。ソファに座り他のブランドの靴を眺め、革の素材や色、デザインなどを比較しながら注文できる。目当てのブランドを基に、インスピレーションをパターンオーダーに反映する。世界でも類を見ない贅沢な環境であり、格別なサービスである。

 一方、シューケアコーナーは、靴のアフターサービスの充実を狙う。カウンターに立つ腕自慢のスタイリストが靴を磨き上げる。ドレスシューズをよりエレガントに見せる、靴のつま先を鏡のように磨く「鏡面磨き」もお手のもの。さらに嬉しいことに、この紳士靴コーナーで靴を購入すれば、いつでも無料で磨きのサービスを受けられる。これでは、ますます地下1階に通い詰めそうだ。

 スタイリストが背にした棚には、クリームやブラシなど、各種シューケア用品が並ぶ。靴の手入れに疑問があれば、いろいろと質問してみるのもいい。

 手入れを重ねた靴は、唯一無二の味わい深い表情を宿す。10年、20年と、人生を共にした愛着のある靴を所有することは、紳士としての生き方にも通じる。地下1階、紳士靴のコーナーは、そんな時間も支える「大人の空間」といえるのだ。

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この記事の執筆者
ヴィットリオ矢部こと本誌エグゼクティブファッションエディター矢部克已。ファション、グルメ、アートなどすべてに精通する当代きってのイタリア快楽主義者。イタリア在住の経験を生かし、現地の工房やテーラー取材をはじめ、大学でイタリアファッションの講師を勤めるなど活躍は多岐にわたる。 “ヴィスコンティ”のペンを愛用。Twitterでは毎年開催されるピッティ・ウォモのレポートを配信。合わせてチェックされたし!
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