ジョルジオ・アルマーニ氏が「素晴らしいジャケットをつくることにより、女性の社会進出を応援したい」という思いのもと、女性用のジャケットデザインを始めたのは、今ほど女性の社会進出が進んでいなかった1970年代のこと。40年以上経つ現在では、女性の社会進出も進み、ジャケットもキャリア女性の定番アイテムとして、幅広いシーンで着る時代へと変化しました。
時代の変化とともにブラッシュアップしながらも、ブランドのアイコンアイテムとして支持され続けているジョルジオ アルマーニのジャケット。いつの時代にも「一流」と呼ばれる人たちに選ばれてきた、そのジャケットの魅力を、改めて紐解いていきます。
アルマーニ哲学が投影された「ジャケット」の魅力とは
以前「ジャケットをデザインする際にイメージする女性像とは?」という問いかけに対し「あらゆる女性を想定しています」と答えていたジョルジオ・アルマーニ氏。「当初は仕事を持つ女性のためのジャケットをイメージしていましたが、現在ではマスキュリンな女性からフェミニンな女性、オフィスで働くシーンからパーティーシーンまで、あらゆる女性や着用するシチュエーションを想像しながらジャケットをデザインしています」。
そんなアルマーニ氏がジャケットをデザインするときに気をつけているのは、「着る人の個性を奪わないようなデザインにすること」だといいます。「洋服(特にジャケット)は、着る人自身を際立たせるものであり、洋服自体が主役になってはいけないのだということを常に意識しています」。
■着る人に寄り添ったジャケットデザイン
一見シンプルながら、見た目には気づきにくい細部まで、アルマーニ哲学が投影された「計算しつくされたシルエット」は、着る人のみ知ることのできる、このジャケット最大の魅力といえます。具体的には、着るだけでスタイルアップできるよう緻密に計算された立体的なシルエットや、長時間着ても疲れないようストレッチを効かせた素材へのこだわり、ジャケットを脱いだときにも美しくあるよう配慮されたライナーデザインなど、着る人に寄り添ったアイディアが満載です。各界の著名人や女優、モデルなど、いつの時代でも「一流」と呼ばれる女性たちから支持されている理由はきっと、こういった心遣いにあるのでしょう。
■アルマーニのファッション哲学
「いい洋服とは何か?」という質問に対しては「洋服が全面的に主張するのではなく、その人自身を素敵に見せるもの」だと、ブランド設立当時から終始変わらぬ回答を続けているアルマーニ氏。「今日出会った人を思い出すときに、『あの人は青いJKを着ていた』というふうに、真っ先に着ていた洋服を思い出すのは、良い洋服でない証拠。『あの人は素敵な雰囲気の人だった。そういえば、青いJKを着ていたような気がする』というふうに思い出せるのならきっと、いい洋服なのだと思います」。
「最高のわき役に徹し、着る人自身を最大限に美しく魅せてくれる」。それこそが、アルマーニ氏のファッション哲学であり、ジョルジオ アルマーニのジャケットの最大の魅力といえます。この機会に、人生を豊かにしてくれる「目には見えない仕掛けの数々」を、袖を通して感じてみていただければと思います。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- EDIT&WRITING :
- 石原あや乃