19世紀末から世の紳士たちにとっての憧れであり続けた、歴史的名靴「ベルルッティ」の『アレッサンドロ』。

数多の芸術家たちをも感嘆せしめた、その絵画的魅力を支えるのが、一枚革で足を包み込むように成形した「ホールカット」と呼ばれるデザインである。「ベルルッティ」が誇る流麗なフォルムや、表情豊かなパティーヌは、このシンプル極まりないキャンバスの上でこそ、最も光り輝くのだ。

オールハンドメイドで実現した究極の『アレッサンドロ』!

「ベルルッティ」最新シームレスヒールの官能

ディープブラックのヴェネチアレザーと、受注生産のみで手に入るエメラルドカラーのアリゲーターという、2タイプのみの展開。販売も「ベルルッティ青山店」だけで行われる、極めて稀少なモデルである。しかもカリグラフィーを施した、木製の軽量シューツリーも付属。そのプレミアム性を鑑みると、この価格はリーズナブルとさえいえる。¥520,000(ベルルッティ・インフォメーションデスク)

そんな「ベルルッティ」の美学を極限まで突き詰めた新作が、この冬誕生した。

いつもの『アレッサンドロ』と見紛うのは早計。まずはそのヒールを見てほしい。そう、この靴にはたとえ「ホールカット」であっても存在するはずの、ヒールの縫い目が一切ない。完璧なるシームレスなのだ。

無垢なる官能美を見よ!

左上/「ベルルッティ」の通常ラインとは異なる、ハンドソーンウェルト製法による底付け。ていねいな吊り込み作業が行われたことがうかがえる。コバの仕上げも非常に美しい。右上/品のよいスクエアトウを特徴とする『アレッサンドロ』だが、こちらはよりキレのよいトウラインで、類い稀な色気を漂わせている。左下/ウッドネイル(木釘)によってフィニッシュされた美しいソール。土踏まず部分に入れられたシャンク(芯材)が盛り上がっており、ハンドメイドらしさを主張している。右下/この靴におけるハイライトが、シームレスのヒールだ。高度な技術力を物語るディテールではあるが、ただ単純に美しい!

靴というものは平面である革を木型にかぶせ、水や熱を駆使しながら丹念に伸ばし、足に沿ったフォルムに成形していく、「吊り込み」という作業によってつくられる。

通常の「ホールカット」ですらその手間や難易度は飛躍的に高まるというのだから、ヒールの縫い目すらないこの靴に、いかなる時間と技術が注ぎ込まれているかは想像もつかない。

ほかにもハンドソーンウェルト製法による底付けや、ウッドネイル(木釘)によるアウトソールの補強など、この靴にはマニアを唸らせる意匠が満載。

実はこの靴は、「ベルルッティ」が擁するフランスの工房で、ビスポーク同様の手間をかけて全工程をハンドメイドしたもの。月産15足という稀少性も手伝ってか、早くも靴好きからの注文が相次いでいるという。

しかしこのゼロカット『アレッサンドロ』の本質は、そんなうん蓄の羅列では語れない。

ステッチによる邪魔を一切排したことによって生まれた、野生動物のようにしなやかな有機的フォルムや、パティーヌが表現する躍動感。人間の手からしかつくりだせないその無垢なる官能美は、男の魂そのものを鷲摑みにするのだ。

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<出典>
MEN'S Precious冬号「今こそ学ぶべき、お洒落・モノ選び・生き方、伊丹十三STYLE BOOK」
【内容紹介】今こそ学ぶべき、お洒落・モノ選び・生き方、伊丹十三STYLE BOOK/この冬、紳士に捧げる究極の「黒靴」&名品「アウター」/幻のエルメス「ロシアンレザー」独占公開/発表!「今年の一本」はこれだ! 第1回 MEN'S PreciousWATCH AWARD 2018
2018年12月6日発売 ¥1,200(税込)
この記事の執筆者
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MEN'S Precious編集部 
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MEN'S Precious2018年冬号ベルルッティ最新シームレスヒールの官能より
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クレジット :
撮影/戸田嘉昭(パイルドライバー)構成/山下英介(本誌)
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