雑誌『Precious』2月号では、【三者三様!暮らしの美学にこだわったパリ・ライフ・ドキュメント】と題して、大人の女性が憧れる街「パリ」で暮らす3人のお宅に伺いました。

アートや自然、古きよきもの、美しいものを愛する3人のそれぞれのこだわりが詰まった家は自分らしく人生を楽しむ、生きるスタイルそのもの。

そのなかから今回は、ガーデンデザイナーのシャンタル・ギルマンさんのシャンペトル・シャビーの家をご紹介。毎日、刻々と変わる植物の色や表情を見飽きることがない、大好きな場所だそうです。

シャンタル・ギルマンさん
インテリアデザイナー・ガーデンデザイナー
(Chantal Guillemain)インテリアデザイナー、ガーデンデザイナー、デコレーター。個人宅のインテリアデザインやガーデンデザインを多く手掛け、著名人からの信頼も厚い。レストランや施設の庭やインテリアデザインを手掛けるほか、映画のデコレーターも。

〈インテリアデザイナー・ガーデンデザイナー〉シャンタル・ギルマンさんの「シャンペトル・シャビーの家」

「ずっとこもっていても飽きないくらい大好きな場所。毎日、刻々と変わる植物の色や表情を見飽きることがないから」

パリから車でわずか20分。イル・ド・フランスのムードンは、ルイ14世の別荘があった王家ゆかりの地。豊かな自然の森を有し、美しい庭や公園、美術館などがあり、ルソーやバルザック、マネら、文人や芸術家たちが愛した文化と芸術の町です。 

パリに長年住んでいたインテリアデザイナー兼ガーデンデザイナーのシャンタル・ギルマンさんは、広い土地を求めて郊外で物件を探し、自然と芸術の町・ムードンに移住。

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ガーデンデザイナーのシャンタル・ギルマンさん。植物に囲まれ、四季折々の自然の色や姿を身近に感じたいと、パリ郊外へ移り住んだ。

「半年で20軒ほど内覧し、この家に出合ったときは興奮しました。もとは、映画の美術装飾をつくるためのアトリエとして建てられた古い家があり、そこに残っていた家具や建材もそのままで、実に魅力的! ただし、住むためにはまず、水回りからの大工事が必要でした」 

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庭づくりからこだわった一軒家は、室内と庭がつながっているような一体感が心地いい。
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庭づくりはまず、最初にポイントとなる大きな木を植えてから小さなグリーンを足していく。
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赤い実の植物をアクセントに。

さらに敷地の形状も独特で、庭が家よりも高い位置にあったため、穴を掘って傾斜を低くしたり、土を運んで、新たに庭をつくったり。大掛かりな工事は一年ほどかかったとか。

「完成してみれば、パーフェクト! 土地の傾斜を生かして、キッチン、リビング、寝室を程よい段差で配し、とりわけキッチンとリビングは、大きな窓から庭を見渡せ、中と外がつながっているような一体感が得られるよう設計しました。ひなびていながら味わいのある、シャンペトル(田舎風・田園風)な家を目指していたので、とても満足。リビングのソファに座って、ジャズやソウルミュージックを流しつつ、庭の植物を眺めながら、読書する時間は最高に幸せ。ずっと家にこもっていられます。植物って、毎日、毎時間、違うんです。見飽きることはありません」 

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キッチンとダイニング。シャンタルさんが最もインスピレーションが湧く場所。ダイニングテーブルや椅子は昔の家で使っていたものを大切に使用。
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キッチン
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壁には、森など自然を描いたアートがずらり。義理の父が描いたものと蚤の市で手に入れたものが混ざっている。
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エントランスの一角。アンティークのオブジェやアーティストの息子さんの作品などが並ぶ。
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リビングにある暖炉。

「本やアートと同じくらい、植物も心に栄養を与えてくれます。感覚が研ぎ澄まされていくのがわかります」

20歳の頃から7年ほど、パリの18世紀のクラシカルな家に住み、結婚直前に夫が住んでいたペニッシュ(船の家)での船上生活を経て、結婚後はパリ郊外の歴史ある高級住宅地ヌイイへ。その後17区の緑豊かなバティニョールのアパルトマンで暮らしたあと、今の家へ。

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圧巻のリビング。イサムノグチの和紙の照明が、鮮やかな緑と好相性。家の中には、随所に庭の植物がディスプレイされている。ソファやクッションはインテリアショップ「カラバン」で購入。藤のチェアはスカンジナビアのアンティーク。ローテーブルは1940年代の工場で使われていたものを蚤の市で。

「郊外といっても車で20分。カフェやシネマ、テアトルやギャラリーなどアーティスティックなパリの魅力は存分に味わえます。家は、ファミリーとの時間、友人を招く時間、ひとりの時間と、すべて心地よく過ごせる場所でないと。この家は、すべてがパーフェクトです」 

個人宅の庭やインテリア、レストランや映画のデコレーターも務め、その卓越したセンスで著名人の顧客も多いシャンタルさんのインスピレーションは、この家で、建築関係やアート、インテリアや庭園の本を眺めながら生まれるのだとか。

「本やアートと同じくらい、植物も心に栄養を与えてくれます。自然と共に暮らすと、毎日を丁寧に生きることの大切さに気付きます。好奇心のアンテナも磨かれ、感覚が研ぎ澄まされていくのがわかります」

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リビングの一角、暖炉前のスペースにはナポレオン3世様式の肘掛け椅子と、スカンジナビアミッドセンチュリーのチェアが。

何気なく置いているように見える古い椅子だが、そのバランスが秀逸。座るため、棚として、オブジェとしてなどさまざまに使い分けている。

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こちらもリビングの1角、事務仕事用のデスク。額装されたアートと共にすべて各地の蚤の市で集めたもの。
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リビングから寝室へ向かう廊下のワンコーナー。左のスツールに置かれているのは18世紀の作家ものの彫刻作品。それ以外は蚤の市で手に入れたものをオブジェに。
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キッチンには、昔の貯蔵用ビンが。「こういった工業デザインアイテムも好き」とシャンタルさん。
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蚤の市でゲットしたもの。
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息子さんの友人アーティストのワイヤー作品
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「本やアートと同じくらい、植物も心に栄養を与えてくれます。感覚が研ぎ澄まされていくのがわかります」
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壁や棚に何気なく置かれたオブジェ。魅せる収納のお手本。
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リビングの壁には天井まで届く本棚を、暖炉を挟んでシンメトリーに配置。寝室も同様に、天井までの本棚が。コレクションしているアートや建築、庭の本、写真集はシャンタルさんの貴重なインスピレーション源。仕事ごとに、必要な関連本の配置を入れ替えている。

【シャンタルさんのHouse DATA】

●場所…パリ郊外(ムードン)
●広さ…建物300平米、庭300平米
●間取り…1リビング、2ダイニングキッチン、寝室×4、バスルー ム×4、仕事部屋
●家族構成…夫、長男
●住んで何年?…20年

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PHOTO :
篠あゆみ
EDIT :
田中美保
取材 :
鈴木ひろこ