美しく、美味しく、リュクスでトラディショナル、モードでいてロマンティック。大人の女性が憧れ続ける街「パリ」で暮らす3人の素敵なお宅にお邪魔しました。

アートや自然、古きよきもの、美しいものを愛する3人のそれぞれのこだわりが詰まった家は自分らしく人生を楽しむ、生きるスタイルそのものといえます。

今回はその中から、経営者・コンサルタントソフィ・ヌヴゥーさんのご自宅をご紹介します。

ファビアーニ・美樹子さん
アートエデュケーター・プロデューサー
(Fabiani Mikiko/ファビアーニ・みきこ)大学卒業後、銀座の画廊に勤務したのち、筑波大学大学院で芸術教育を研究。結婚を機にパリへ移住。現在は「株式会社アトリエ・エトワール」のCOOとして、子供から大人まで幅広い世代が芸術に親しむ機会をつくることを目指し、パリのみならず日本においても、芸術教育を基盤とした活動を展開している。https://www.atelieretoiles.com/

アートエデュケーター・プロデューサー ファビアーニ・美樹子さんの「アートと暮らす家」

「好きなものに囲まれて美しく暮らすにはどうしたらいいか。アートと暮らす、本当の豊かさを追求しています」

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アートエデュケーター、プロデューサーのファビアーニ・美樹子さんは、'25年3月パリ左岸7区へ引っ越した。書店や出版社、ギャラリーなどが立ち並ぶエリアで、大好きなアートに囲まれて、アートと共に暮らす。
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リビング窓側の白黒抽象絵画は中村穣二「Beautiful Black Flower」。暖炉上のブルーと白の作品はMaaya Wakasugi「巳」。共に、美樹子さんが一緒に仕事をしている画家。

画廊一家の長男である旦那様と結婚しパリへ移住。アートエデュケーター、プロデューサーとして活躍するファビアーニ・美樹子さん。結婚当初は右岸16区、次いで8区で暮らし、'25年3月、左岸7区のこの家へ。

「コロナ禍や昨今のパリの情勢を鑑みて、パリの喧騒を離れ静かで緑豊かな場所で暮らしたいと思うように。また、長女の学校に近い左岸で住まいを探したく、一年かけて理想のアパルトマンに出合いました。ライフスタイルを変えたいという思いから、パリから車で1時間40分ほどのノルマンディに別荘も建設中です」 

一年半のリノベーションを経て完成した家は、“アートと暮らす”をテーマに、棚や壁の色、照明や天井のデザインなど細部にまで、美樹子さんのこだわりが詰まっています。

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書斎奥の黄黒色の絵画は大澤昌助「黄色い大きな像」。練馬区立美術館での回顧展の際に展示されていた作品。右側の丸いセラミックの作品はジャック&ダニ・リュエラン。窓際のデスク&椅子は“Hans Wegner”「エリック・フィリップ」で購入。

「以前の家はプライベート・ビューイング・ギャラリーとしての機能もあったので、家というプライベート空間でありながら、アートを“見せる”“魅せる”ことにも注力していました。でもこの家は、完全なプライベート空間です。より生活を重視し、暮らしやすさのなかにアートをどう取り入れるのか。大好きなものに囲まれて美しく暮らすには? アートと暮らす、本当の豊かさって? そんな視点で家づくりをするのは、私にとって新鮮で貴重な経験でした」 

アートが“映える”空間でありながら、家族とくつろぎ、居心地よく暮らす生活空間。それをイメージしながら、建築家や壁面装飾家に相談し、スクエアな印象にならないよう、天井や壁、棚などに立体的な装飾を施したり、壁やドアをアーチ状にして丸みを加え、全体的に柔らかい印象を加えたとか。

「アートを飾ると、どうしても、その大きさやインパクトで空間がシャープになりがちです。白を基調としながらも、どこか視覚的に柔らかな印象になるよう工夫しました」

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赤い肘掛け椅子は、アクセル・アイナル・ヨルト「Lovö」。「5年間憧れ続けていたもので『エリック・フィリップ』で購入。ここに座って本を読む時間がなによりも好き」。後ろの赤い絵は近藤亜樹「アーティスト」。「大好きな近藤さんの作品のなかでもこの力強さに強く惹かれて」 

「アートとの距離感の変化を感じながら手掛けた家づくり。生活の場に、アートが美しく共存できたように思います」

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明るい光が差し込むダイニング。こちらの棚もオーダーメイド。立体作品が美しく収まっている。テーブルセットは“Kaare Klint”、「エリック・フィリップ」で購入。絵画はモイズ・キスリング「ドミニク・ファビアーニの肖像」。「画商の義父の肖像画ですが、この絵の唇が気に食わないと言ってどこかへ売ってしまい、夫が探し出して日本から買い戻したという縁ある作品」

インテリアのポイントは、光の取り入れ方と、色使い。特に、リビングや書斎、ダイニングや寝室、すべてに取り付けたオーダーメイドの陳列棚は、棚自体をアートとして見せられるよう額縁のようなデザインを施す一方で、側面はベージュやグレーなど色を微妙に変えることで、温もりと柔らかさを演出しました。

「この家には、取り扱いのあるなしにかかわらず、自分が本当に好きな作品だけを飾っています。それらが映えるよう、白を基調としつつも、赤やブラウンなど、以前の家では取り入れなかった色を使い、生活の場としても、リラックスできる空間を目指しました」 

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ダイニング

家づくりと並行して、自身の仕事にも変化が訪れた、と美樹子さん。

「アーティストの作品を、多くの人に知ってもらう、買っていただくというギャラリストの仕事も大好きなんですが、それに加えて今は、子供も大人も、もっとアートに親しみ、身近に感じてもらえるような、芸術教育の活動にも注力しています。日本ではまだ、美術館やギャラリーに気軽に立ち寄って鑑賞し、フランクに語り合う習慣が根付いていないように思います。アートってもっと楽しいものなんだよ、ということを多くの人に知ってもらいたい。今回の家づくりは、そんな心境の変化、アートとの距離感の変化を感じながら手掛けたので、生活とアートが美しく共存できたように思っています」

また、左岸7区は、書店や出版社、ギャラリーなどが多い地区。

「日本では見られないようなアートが展示されていて、ご近所を歩くだけで刺激を得られます。一方で家に帰ったら、自分のお気に入りの作品があってリラックスできる。そんなアートとの距離感が今、心地いいんです。好きなものに囲まれた空間は心が休まります。歳を重ねるにつれ、家は少しずつ育てていくものということを実感しています。楽しみながら、自分の居場所を美しく心地よく育てていきたいですね」

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階段の壁には近藤亜樹の赤い花の作品
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ベッドルームの椅子は、ご主人がひと目惚れしたアクセル・アイナル・ヨルト。「エリック・フィリップ」で。
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印象的な横顔は近藤亜樹「教育ママ」。白い陶器は陶芸家・奈良祐希。カラフルなラグはElsa Kallio。こちらも「エリック・フィリップ」で。
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バスルームはタイルや蛇口など細部までこだわった。
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寝室。壁のアーチ装飾が印象的。

【美樹子さんのHouse DATA】

●場所…パリ左岸(7区)
●間取り…リビング、ダイニング、キッチン、寝室、子供部屋、バスルーム×2、クローゼット×2、バルコニー
●広さ…約200平米
●家族構成…夫、⻑女、愛犬オルガ
●住んで何年?…約半年

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PHOTO :
篠あゆみ
EDIT :
田中美保
取材 :
鈴木ひろこ