エレガントなルーシー・リーのうつわの数々を旧朝香宮邸の建築空間とともに楽しみたい
イギリスの陶芸家、ルーシー・リー。優美で洗練されたうつわは、日本でも高い人気があります。この夏、国内では約10年ぶりとなる回顧展が、アール・デコ建築で知られる東京都庭園美術館で開催。バーナード・リーチやハンス・コパーなど関連作家の作品も展示される、見応えのある展覧会になりそう!
【今月のオススメ】ルーシー・リー《青釉鉢》
現在、私たちがルーシー・リーの作風として知っているスタイルは、1970年代以降に確立されたもの。この《青釉鉢》は、高台から口縁にかけてなめらかに大きく広がっていく朝顔形のうつわで、全体にかけられた深く美しいブルーの釉薬に、マンガン釉のブロンズのような縁取りが映える代表的作品のひとつ。フォルムと色彩が完璧に呼応している。
ルーシー・リー。好きな方も多いのではないでしょうか。この「小さすぎるのでは?」と感じる高台とか、「細すぎるのでは?」と思う花器の首とか、その華奢で繊細な造形を見ていると、地面が揺れる国で生まれ育った私はついハラハラしてしまいます(笑)。
オーストリア・ウィーンで生まれた彼女は、同地で陶芸を学び、作家として活躍をしていましたが、1938年、ナチスの迫害を逃れるために亡命し渡英、活動の場をロンドンに移します。そして当時のイギリス陶芸界の中心的存在だったのが、バーナード・リーチ。民藝運動で知られる柳宗悦や濱田庄司とも親交の深かった作家で、作品は肉厚でどっしりしている。そして、この頃のリーの作品にも、厚みがあり、純朴な雰囲気があります。
戦時中には生計を立てるために陶製ボタンの制作も手掛けていて、これらのボタンがとてもかわいらしいのですが、一方できっとリーは、バーナード・リーチという大きな存在の近くにいて、自らの作風について深く思い悩みながら、毎日毎日、ひとつひとつボタンをつくっていたのだろうなと…。そんなリーに「あなたはあなたの陶芸をすべき」と励ましたのが、後に制作パートナーとなる青年、ハンス・コパーだったわけで、「コパー、本当にありがとう!」です。
ろくろによって薄く引き上げられた優美なフォルム、ブルーやピンクなど釉薬による豊かな色彩は、洗練の極み。アール・デコ建築の東京都庭園美術館本館での、特別な鑑賞体験にも期待が高まります。たっぷり時間をとって訪れたい展覧会です。(談)
<Information>ルーシー・リー展 ― 東西をつなぐ優美のうつわ ―
国立工芸館(金沢)に寄託された井内コレクションを中心に、初期から円熟期までの国内のルーシー・リー作品が一堂に会する。東京都庭園美術館本館は、1933年に朝香宮家の自邸として竣工した、国の重要文化財でもあるアール・デコ建築。邸宅での展示で、うつわがもつ本来の魅力が引き出される。
会場/東京都庭園美術館
会期/開催中〜2026年9月13日(日)まで ※三重、大阪に巡回
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- EDIT :
- 剣持亜弥、喜多容子(Precious)

















