日本初公開作品を多数展示!具象彫刻の最高傑作『ロン・ミュエク』展が東京・六本木「森美術館」で開催中

ロン・ミュエク
実際よりもはるかに大きく造られる彫刻も多く、一作品を制作するのに数カ月、時には数年を要することもあるため、過去30年に制作された作品総数は50点ほどしか存在しない。
ロン・ミュエク《マス》2016-2017 年 合成ポリマー塗料、ファイバーグラス サイズ可変
所蔵:ビクトリア国立美術館(メルボルン)、2018 年フェルトン遺贈
展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026 年
撮影:長谷川健太  画像提供:森美術館

“寡作の作家” として知られるロン・ミュエク(1958年オーストラリア生まれ、英国在住)の初期作品から近作までを、総作品数50点のなかから国内未公開作品を含む11点を展示する大規模個展『ロン・ミュエク』展が、東京・六本木の森美術館で開催されています。

ロン・ミュエクといえば、国内では青森県・十和田市現代美術館に展示されている圧倒的なスケールを誇る作品《スタンディング・ウーマン》(2007年)で広く知られていますが、今回の展覧会は日本では実に18年ぶりとなる2回目の展覧会に。2023年にパリで開催され大きな話題となった本展が、その後ミラノ、ソウルへの巡回を経て、森美術館とカルティエ現代美術財団の共催により開催されるものです。

ロン・ミュエク
今回は、めったに見ることのできないロン・ミュエクが作品を制作する舞台裏の様子を収録した映像作品も公開される。
ゴーティエ・ドゥブロンド 《チキン/マン》2019-2025 年
ハイビジョン・ビデオ

会場には観る者を一瞬にして虜にする数々の具象彫刻をはじめ、フランスの写真家・映画監督のゴーティエ・ドゥブロンドによる、ロン・ミュエクが自身のスタジオで彫刻を制作する過程を記録した貴重な写真も公開。さらに、めったに見ることのできない制作プロセスを追ったムービーも上映されており、ミュエクの比類なき彫刻がどのように誕生するのか、その舞台裏を知ることができます。

開幕直後のゴールデンウィークは入場を待つ来場者で長蛇の列ができるほどの大盛況で、国内でも圧倒的な人気を誇るミュエク作品の魅力がうかがい知れます。会場に足を踏み入れた途端、圧倒される唯一無二の存在感とリアリティを放つ彫刻の数々に、思わず時間の流れを忘れてしまうほど見入ってしまう展覧会について、日本未公開作品など見どころを詳しくご案内します。

ロン・ミュエク《エンジェル》(1997年)…個人所有の貴重な初期作品を公開

ロン・ミュエク
ロン・ミュエク《エンジェル》1997 年 ミクストメディア 110 × 87 × 81 cm  個人蔵
展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026 年
撮影:長谷川健太  画像提供:森美術館

ドイツ系の人形職人を母にもち、テレビや映画業界で造形制作に20年以上携わったミュエクが、1996年から現代美術界で活動をスタートさせた初期に制作された作品《エンジェル》(1997年)。日本初公開となる本作は、背中に大きな翼の生えた小さな男性がスツールに座って物思いに耽っているかのような表情を浮かべています。

個人が所有している作品なので、今回、間近に初期作品を鑑賞できるまたとないチャンスに! 展示されている空間も、自然光が差し込む森美術館が誇る展示室となり、時間と共に移り変わる外光に照らされながら魅せる作品の表情をぜひ、ご自身の感覚で感じ取ってみて。

ロン・ミュエク
ロン・ミュエク《エンジェル》1997 年 ミクストメディア 110 × 87 × 81 cm  個人蔵
展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026 年
撮影:吉村昌也  画像提供:カルティエ現代美術財団

ミュエクが現代美術作家としてキャリアをスタートさせた翌年、初となる個展を開催した際に出品した、ミュエクの原点ともいえるこの代表作。この機会をどうぞお見逃しなく。

ロン・ミュエク《ダーク・プレイス》(2018年)…静寂な闇に包まれた男性の頭部が浮かび上がる

ロン・ミュエク
ロン・ミュエク《ダーク・プレイス》2018 年 ミクストメディア 140 × 90 × 75 cm
所蔵:ZAMU(アムステルダム)
展示風景:「ロン・ミュエク」韓国国立現代美術館ソウル館、2025年
撮影:ナム・キヨン  画像提供:カルティエ現代美術財団、韓国国立現代美術館

今回の展覧会で唯一、暗室のような暗闇に展示された作品《ダーク・プレイス》(2018年)。暗がりのなかに中年男性の頭部が浮かび上がり、鑑賞者が近づくと、静寂な闇に包まれた男性の苦悩を感じさせる表情に、一瞬にして引き込まれてしまうそうになります。

ロン・ミュエク
ロン・ミュエク《ダーク・プレイス》2018 年  ミクストメディア 140 × 90 × 75 cm
所蔵:ZAMU(アムステルダム)
展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026 年
撮影:吉村昌也 画像提供:カルティエ現代美術財団

本作も日本初公開となり、入り口に立って鑑賞するスタイルがなお一層、沈思黙考する男性の思考世界へと誘われていくかのよう。その深みにはまってしまいそうな作品がもつ魅力は、ぜひご自身の目でお確かめください。

本展の中核をなす《マス》(2016-2017年)、さらに一度見たら忘れられないインパクトが癖になる《チキン/マン》(2019年)など、注目作品を多数展示

ロン・ミュエク
ロン・ミュエク《マス》2016-2017 年 合成ポリマー塗料、ファイバーグラス サイズ可変
所蔵:ビクトリア国立美術館(メルボルン)、2018 年フェルトン遺贈
展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026 年
撮影:吉村昌也 画像提供:カルティエ現代美術財団

巨大な頭蓋骨の彫刻100点で構成される壮大なスケールを見せる《マス》(2016-2017年)は、今回の展覧会の中核をなす作品。ミュエク自ら、それぞれの美術館の展示空間に合わせたインスタレーションを作り上げるもので、森美術館では約300平方メートルにも及ぶ展示室に、天井高くまで積み上げられたサイトスペシフィックな展示が広がります。

まさに今、ここでしか観ることのできない本作品。この機会を逃したら二度と体験できない圧巻の空間を、ぜひご堪能あれ!

ロン・ミュエク
ロン・ミュエク《チキン/マン》2019 年 ミクストメディア 86 × 140 × 80 cm
所蔵:クライストチャーチ・アートギャラリー/テ・プナ・オ・ワイウェトゥ(ニュージーランド)
Purchased 2019 by Christchurch Art Gallery Foundation with assistance from Catherine and David
Boyer, Friends of Christchurch Art Gallery Te Puna o Waiwhetū, Charlotte and Marcel Gray, Ben
Gough Family Foundation, Jenny and Andrew Smith, Gabrielle Tasman and Ken Lawn, Christchurch
Art Gallery Foundation’s London Club along with 514 other generous individuals and companies.
展示風景:「ロン・ミュエク」韓国国立現代美術館ソウル館、2025 年
撮影:ナム・キヨン 画像提供:カルティエ現代美術財団、韓国国立現代美術館
ロン・ミュエク
ロン・ミュエク《チキン/マン》2019 年ミクストメディア 86 × 140 × 80 cm
所蔵:クライストチャーチ・アートギャラリー/テ・プナ・オ・ワイウェトゥ(ニュージーランド)
Purchased 2019 by Christchurch Art Gallery Foundation with assistance from Catherine and David
Boyer, Friends of Christchurch Art Gallery Te Puna o Waiwhetū, Charlotte and Marcel Gray, Ben
Gough Family Foundation, Jenny and Andrew Smith, Gabrielle Tasman and Ken Lawn, Christchurch
Art Gallery Foundation’s London Club along with 514 other generous individuals and companies.
展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026 年
撮影:吉村昌也 画像提供:カルティエ現代美術財団

さらに、下着姿の老人がテーブルに座って一羽のニワトリと対峙しているという、一度見たら目に焼き付いて離れなくなるほどのインパクトを放つ《チキン/マン》(2019年)など、まだまだ心をわしづかみにされる注目作品が多数展示されます。

ロン・ミュエク
展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026 年
撮影:吉村昌也 画像提供:カルティエ現代美術財団

ミュエクが生み出す彫刻のあまりのリアルさに、今にもこっちに動き出してくるのでは?とさえ、思えてしまうほど、観るものを一瞬にして虜にしてしまう魅惑的な具象彫刻の数々。髪の毛の1本1本といい、皮膚のなめらかさといい、纏う衣服に寄るシワの一つひとつまで、現実世界と見紛うほどの忠実さに溢れたミュエクの作品は、観る側の感覚をいい意味でゆさぶる贅沢な非日常体験をもたらしてくれます。

ロン・ミュエク展
ロン・ミュエク《マスクII》2002 年
個人蔵
展示風景:「ロン・ミュエク」森美術館(東京)2026 年
撮影:吉村昌也  画像提供:カルティエ現代美術財団

時間の経過を忘れてしまうほど “ミュエク沼” に没入してしまうこと間違いなしの展覧会『ロン・ミュエク』展は、東京・六本木の「森美術館」で、2026年9月23日(水)まで開催されています(開催スケジュールの詳細は下記、公式サイトでご確認のうえ来場ください)。

◇『ロン・ミュエク』展

会期:開催中~2026年9月23日(水・祝)まで ※会期中無休
会場:森美術館 (東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階)
開催時間:10:00~22:00 (火曜日のみ17:00まで、ただし8月11日[火・祝]、9月22日[火・祝]は22:00まで) ※入館は閉館時間の30分前まで

『ロン・ミュエク』展
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問い合わせ先

森美術館

TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)

この記事の執筆者
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EDIT&WRITING :
松野実江子(Precious.jp)