休日のスーツこそ円熟の境地

スーツ発祥の地、英国では、その昔、スーツ姿で馬に乗り、テニスやゴルフに興じ、ヨットで海にも出ていた。つまり男の万能着だったわけだ。

 スーツといえば仕事用と、短絡的に結び付けるのではなく、緩く「上下そろいの服」と捉えればよい。そういう柔軟さもまた東京ジェントルマンの持ち味であると思うのだ。

 リアルなビジネスシーンではブレーキがかかりそうなコットンや麻素材のスーツやセットアップでも、休日ならだれはばかることがあろう。また、首まわりやベルト、靴などのアクセサリー使いの選択も自由度が圧倒的に高い。コーディネーションの腕の見せどころである。デイとイブニングをそういう小物のあしらいで変化をつけるのも楽しい。

 Tシャツにショーツの若者たちを尻目に、気分は映画『ベニスに死す』のダーク・ボガード。いやというほど「大人の円熟」を見せつければよろしい。

リラックスした休日でもエレガントな着こなしを!
休息を得たひとりのウイークエンド、一気に緊張を解放する、リネンスーツを味わう

Brunello Cucinelli ブルネロ クチネリ

スーツ¥466,000・シャツ¥59,000・ニット¥157,000・ストール¥70,000(ブルネロ クチネリ ジャパン) 帽子¥81,000(ボルサリーノジャパン)

リネン、ウール、シルクを混紡した、3種混の爽やかな素材を使用した軽快なスーツを、週末にさらりと着用できるのも、東京ジェントルマンにとっての余裕である。オンのスーツスタイルにこだわることはもちろん、オフのシーンにこそ、リラックスしてスーツを着用できれば、知的で品のよさがにじみ出る。ベージュのスーツに、カシミア&シルクのニットとコットンシャツを合わせ、リネンのストールでアクセントを。

Stile Latino スティレ ラティーノ
厚手のコットンからにじみ出る懐かしいスーツの趣

スーツ¥260,000〈スティレ ラティーノ〉・シャツ¥24,000〈エリッコ フォルミコラ〉・タイ¥16,000〈フランコ バッシ〉・ベルト¥10,000〈サドラーズ〉/以上ビームス ハウス 丸の内 チーフ¥5,000(バーニーズ ニューヨーク カスタマーセンター〈バーニーズニューヨーク〉) 靴¥230,000(ジョン ロブ ジャパン)

ナポリの巧みな仕立て技を駆使して仕上げた、肉厚の感触が絶妙なコットンスーツ。シングル3ボタン段返りのノッチドラペル、パッチポケット仕様のサイドポケットのディテールから、正統ながらも洒脱な香りが漂う。白のシャツにブラウンベースのレップタイが洒落ている。

Stile Latino ベルヴェスト
リラックスした休日でもエレガントな着こなしは忘れない

スーツ¥241,000(八木通商〈ベルヴェスト〉)シャツ¥27,000(ビームス ハウス 丸の内〈ジョン スメドレー〉)ストール¥25,000(ストラスブルゴ〈ピエールルイマシア〉) ベルト¥12,000(シップス 銀座店〈サドラーズ〉) 靴¥86,000(バーニーズ ニューヨーク カスタマーセンター〈クロケット&ジョーンズ〉)

薄手のホワイトコットン素材を使った、一枚仕立てのシングル2ボタン。3パッチポケットのディテールで、カジュアルな雰囲気をかもし出している。ネイビーのクラシックなポロシャツを合わせ、プリントのストールをアクセントにして着こなしたい。足元は、コンビのローファーで。

※価格はすべて税抜です。※価格は2016年春号掲載時の情報です。

この記事の執筆者
TEXT :
林 信朗 服飾評論家
BY :
MEN'S Precious2016年春号『東京ジェントルマン50の極意』より
『MEN'S CLUB』『Gentry』『DORSO』など、数々のファッション誌の編集長を歴任し、フリーの服飾評論家に。ダンディズムを地で行くセンスと、博覧強記ぶりは業界でも随一。
クレジット :
イラスト/緒方 環 撮影/熊澤 透(人物)、川田有二(人物)、篠原宏明(取材)、戸田嘉昭・唐澤光也・小池紀行(パイルドライバー/静物)、小林考至(静物) スタイリスト/櫻井賢之、大西陽一(RESPECT)、村上忠正、武内雅英(code)、石川英治(tablerockstudio)、齊藤知宏 ヘア&メーク/MASAYUKI(the VOICE)、YOBOON(coccina) モデル/Yaron、Trayko、Alban レイアウト/澤田 翔(H.D.O.) 文/林 信朗 構成/矢部克已(UFFIZI MEDIA)、鷲尾顕司、高橋 大(atelier vie)、菅原幸裕、堀 けいこ、櫻井 香、山下英介(本誌) 撮影協力/銀座もとじ、マルキシ