今回のピッティでも、カジュアル化はさらに進んでいた。「より快適により軽快に」というキーワードは、メンズファッションのつくり手たちが、今最も意識していることである。ひとつの例がシャツのブランドだ。カジュアルなシャツの強化。そして、シャツよりもニットやTシャツを愛用する人が増えるなか、その着こなしに合ったデザインのシャツを展開する。老舗のシャツブランドも投入したのが、オーバーシャツである。ニットやTシャツの上に羽織る、ジャケット感覚で楽しめるオーバーシャツは、シャツブランドにとってこれからの主軸アイテムになりうるだろう。

 まず、北イタリアのシャツブランド「オリアン」。オーバーシャツをいち早く展開しはじめ、このところのピッティで必ず新しいデザインを打ち出している。

イタリアを代表するシャツブランドが提案する紳士のための新しいカジュアルアイテム

1枚あればジャケットやアウター代わりにもなる!

オリアンのスポーティーなオーバーシャツ

 新作は、春夏のコットン素材に対して、ウールを採用。シャツのブランドらしく、薄手のウールでしなやかなドレープ感が備わる生地を選ぶ。グレンチェックをベースに、ジャカード織りでフラワー柄をアレンジした生地だ。トレンド色のひとつ、ブラウン系のトーンが上品な雰囲気をつくり、軽快なジャケットに落ち着いた表情を加えている。両胸両脇のポケットが機能的なうえ、象徴的なデザインにもなっている。フロントはボタン留めで、ベルトでウエストを絞るタイプ。スポーティなジャケットらしく、短めの着丈のバランスが絶妙だ。インナーのシャツの襟を出して着るのもいいし、ラウンドカラーのニットには、オーバーシャツの襟を立てると粋である。

 一方、ナポリの名門シャツブランド、「フィナモレ」が遂にオーバーシャツを提案した。

ジェントルマン御用達の名門シャツブランド「フィナモレ」が提案するオーバーシャツ

 爽やかなブルーのグレンチェックが何よりも印象的で、デザインは、アメリカのワークウエアをベースにした。少しゆったりとしたシルエットにリラックス感が備わり、使い勝手のよさそうな、大きな両脇ポケットも効果的なアクセントを生む。

「オリアン」のフィールドジャケット由来のデザインに比べ、ベルトのない「フィナモレ」のオーバーシャツは、よりカジュアルな味わい。写真のように、インナーにプリントシャツを合わせるコーディネートのほか、Tシャツを合わせて、より軽快な着こなしも楽しめる。

 カジュアルなスタイルにシックな雰囲気をも演出するオーバーシャツは、テーラードが好みの紳士も、週末などのスタイルに見逃せないアイテムとなるだろう。

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この記事の執筆者
ヴィットリオ矢部こと本誌エグゼクティブファッションエディター矢部克已。ファション、グルメ、アートなどすべてに精通する当代きってのイタリア快楽主義者。イタリア在住の経験を生かし、現地の工房やテーラー取材をはじめ、大学でイタリアファッションの講師を勤めるなど活躍は多岐にわたる。 “ヴィスコンティ”のペンを愛用。Twitterでは毎年開催されるピッティ・ウォモのレポートを配信。合わせてチェックされたし!
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