自宅でも、自室でもジェントルマンは服装に気を抜いてはいけない。かつてのイギリス紳士は、外出先よりも、家族と過ごす屋敷内での服装にこだわりをもっていたものだ。Tシャツと短パンで事足りているからなどと、宣うなかれ。ここでは、奥深い部屋着の魅力について紹介する。部屋着と寝間着を兼用しているのが当たり前では、ジェントルマンとは言えない。
求む、美意識のある部屋着
日本、特に東京のような劣悪な住宅事情の、つまり、狭い家に住んでいると、自宅のすべてがベッドルーム化しかねない。
実際、夜家に帰るなり、スーツからパジャマに着替えてしまう男性は多いのである。その姿で食事をし、そのままベッドに突入してしまう。
できることなら、パジャマの前にもうワンクッションおいてほしい。春夏なら夕食のテーブルにふさわしいコットンのニットウエアなどどうだろう。そして自室に入ったときはじめてパジャマを着、ドレッシングガウンをはおる。これも、贅沢ではあるが、毎晩フレッシュなパジャマというわけにはいかないだろうか。
夕食という家での生活の最も大切な時間のために毎晩ホワイトタイを着用する貴族も戦前の英国には多かった。いやむしろ屋敷内での生活のほうに彼らは力を入れていたのである。
いかがだろうか? ここでは快適に過ごせる部屋着アイテムを紹介した。外出用のスーツやジャケットだけではなく、自宅の部屋着にこだわることこそ、ジェントルマンへの第一歩なのだ。
※価格はすべて税抜です。※価格は2016年春号掲載時の情報です。
- TEXT :
- 林 信朗 服飾評論家
- BY :
- MEN'S Precious2016年春号『東京ジェントルマン50の極意』より
- クレジット :
- 撮影/唐澤光也(パイルドライバー/静物)