80年代を席巻したシティポップスがいま、若い世代を中心に人気を呼んでいる。当時の様々な音楽を巧みに取り入れたサウンドを改めて聴き返すと、確かに新鮮だ。その魅力を編集者の菅原幸裕氏が解説する。

シティ・ポップと「シティな」ポップスの違い

シティなポップスを巧妙なスタンスで表現する、ラッキーテープス。

 国内外のDJによる再発見によって、「シティ・ポップ」という音楽ジャンルが注目を集めている。1980年代に量産された、「都会風」のサウンドや世界観を持つ邦楽を指すが、同時代でそれらに触れた者としては、シティ・ポップがシティ(都市)の音楽かというと、少し違和感がある。例えばいま、渋谷を走り抜けるときどんな音が響くのか。連想されるのはラッキーテープスのようなバンドだ。ブラックミュージックやエレクトロニックミュージック、ロックなどに関する造詣を感じさせながら、あくまでポップスを志向する。その巧妙なスタンスが、東京という街の存在感と妙にシンクロするのだ。
 シティ・ポップと「シティな」ポップスは別物かもしれない。では過去において「シティな」ポップスといえば、シュガー・ベイブやユーミンが挙げられるだろうか。ゆえに彼らは、今なお都市をクルーズする私たちに高揚感をもたらしてくれるのだ。

ドライブで聴くならこの3枚!

『dressing』LUCKY TAPES

高橋海(ヴォーカル、キーボード、中央)、高橋健介(ギター、左)、田口恵人(ベース、右)によるバンドのメジャー1stアルバム。(ビクターエンタテインメント)

『ソングス』シュガー・ベイブ

山下達郎や大貫妙子らが在籍したバンドの作品。大瀧詠一のナイアガラレーベルから1975年に発売以来、幾度も再発されている。(ワーナーミュージック・ジャパン)

『ダイヤモンドダストが消えぬまに』松任谷由実

1987年発表の「純愛三部作」の1作目。シンクラヴィアという、当時最先端の機材を使ったサウンドと描写性の高い歌詞の組み合わせ。(EMIレコーズ)
この記事の執筆者
『エスクァイア日本版』に約15年在籍し、現在は『男の靴雑誌LAST』編集の傍ら、『MEN'S Precious』他で編集者として活動。『エスクァイア日本版』では音楽担当を長年務め、現在もポップスからクラシック音楽まで幅広く渉猟する日々を送っている。