80年代を席巻したシティポップスがいま、若い世代を中心に人気を呼んでいる。当時の様々な音楽を巧みに取り入れたサウンドを改めて聴き返すと、確かに新鮮だ。その魅力を編集者の菅原幸裕氏が解説する。
シティ・ポップと「シティな」ポップスの違い
国内外のDJによる再発見によって、「シティ・ポップ」という音楽ジャンルが注目を集めている。1980年代に量産された、「都会風」のサウンドや世界観を持つ邦楽を指すが、同時代でそれらに触れた者としては、シティ・ポップがシティ(都市)の音楽かというと、少し違和感がある。例えばいま、渋谷を走り抜けるときどんな音が響くのか。連想されるのはラッキーテープスのようなバンドだ。ブラックミュージックやエレクトロニックミュージック、ロックなどに関する造詣を感じさせながら、あくまでポップスを志向する。その巧妙なスタンスが、東京という街の存在感と妙にシンクロするのだ。
シティ・ポップと「シティな」ポップスは別物かもしれない。では過去において「シティな」ポップスといえば、シュガー・ベイブやユーミンが挙げられるだろうか。ゆえに彼らは、今なお都市をクルーズする私たちに高揚感をもたらしてくれるのだ。
ドライブで聴くならこの3枚!
『dressing』LUCKY TAPES
『ソングス』シュガー・ベイブ
『ダイヤモンドダストが消えぬまに』松任谷由実
- TEXT :
- 菅原幸裕 編集者