煌めきのオーラとともに、歳を重ねる喜びを得る
「書斎は一生をかけて完成させるもの」と思っている。
幸せなことにスタイリストという仕事柄、沢山のものと出合う機会に恵まれてきた。その中から、書斎という私的空間で共存したいと選ぶものは、ライティングによって光り輝くもの、無機質で重厚なものが多い。それぞれのディテールや素材が本物であることが重要だ。
私は、考える時間の多くを書斎で過ごす。たとえば、サンルイのクリスタルのペーパーウェイトを覗き込む。すると、吸い込まれるような透明度に、崇高なほどの技術を感じて時間を忘れてしまう。こうやって、脳を一度リセットする瞬間が、アイディアの起点・原点になることがあるのだ。
クリスタルやゴールド、シルバー、それらの煌めきは、歳を重ねることで、褪せて、穏やかなオーラへと変わっていく。
私は、そのやわらかな変化の中に身を置いていたい。
未完の書斎コレクション
ルイ・ヴィトンのインクボトル
フランスの著名なクリスタル加工職人のアトリ エで制作されたインクボトル。高度な技を要する冷却カ ッティング加工により透明さを増したクリスタルが、愛 用するインクの色を優雅に魅せる。
サンルイのペーパーウェイト
ヨーロッパ大陸最古のクリスタル工房であるサンルイ。19世紀半ばには美しいカラークリスタルや高度なカットの技法を確立。歳月を重ね培われた職人の技は現在へと受け継がれている。クワガタソウが花壇から飛び出したようなペーパーウェイト。
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昭和を代表する文豪たちも自分の書斎を完成させるのに相当な時間を費やしたとか。決して立ち入ることは許されない特別な空間を、あなた自身のセンスで作ってみてはいかがだろう。
※価格は全て税込です。※価格は2016年春号掲載時の情報です。
- TEXT :
- 石川英治 スタイリスト
- BY :
- MEN'S Precious2016年春号「書斎の名品 」より
- クレジット :
- 撮影/戸田嘉昭、唐澤光也(パイルドライバー)、スタイリスト/石川英治(tablerockstudio)構成/堀 けいこ