高級ホテルでは、フロントやスタッフの方に依頼すれば、さまざまなサービスを行ってくれることがありますが、慣れていないと、なかなかその依頼できる内容やお作法は分からないものです。
そこで今回は、高級ホテルに依頼できることについて、元ホテルのウエディングプランナーで、現在はブライダル企業でコンサルタントを務める岡澤ひとみさんと、ホテルルームライターの二松康紀さんに教わります。
高級ホテルのフロントに頼めること~基本編
高級ホテルでは、基本的にどんなお願いができるのでしょうか? かつてはリーガロイヤルホテルやザ・リッツ・カールトン大阪のウエディングプランナーを務め、現在はブライダル企業のコンサルタントとして活動する岡澤ひとみさんが、次の5つを挙げてくださいました。
■1:欲しいものや持参し忘れたものを借りる
「お好みのピロー(枕)や加湿器、アイロンや爪切り、ソーイングセット、充電器、ワイングラス、ワインオープナーや各種ナイフなど、もし持っていくのを忘れたとしたら、ぜひ頼んでみましょう。高級ホテルなら貸し出してくれることがほとんどです」(岡澤さん)
■2:レストランや観光の相談
「もちろん地元のレストランや観光の相談も可能で、タクシー、ハイヤーの手配から、人気のお店の予約までお願いすることもできます。意外に穴場のお店を知っているので、地元の方が行く、名店を教えてもらうのも楽しいと思います」(岡澤さん)
■3:体調が悪くなったときのクリニックの案内
「急に体調が悪くなった場合などは、ホテル内のクリニックで診察ができたり、近くのクリニックを紹介し予約をしてくれたりすることもあります」(岡澤さん)
■4:ドレスアップに関する相談
「高級ホテルで、パーティーなどに出席する際、髪型や服装、お肌の調子など気になります。そんなときも、エステサロンや美容室、ドレスショップなどがホテルに併設されていることがほとんどなので、気軽に着付け・髪のセット・エステ・ヘアサロンやゲストドレスのレンタルなどができます」(岡澤さん)
■5:名刺、プリント、FAXなど
「ホテルによっては、急ぎで名刺を作成してくれますし、FAX、コピー、プリンターなどが簡単に自由に使用できるビジネスラウンジのあるホテルも多くあります。出張などで困った際には、相談してみてください」(岡澤さん)
高級ホテルのフロントに頼めること~応用編、こんなお願いを聞いてくれることも!
ところで、高級ホテルでは、他にも変わったお願いを聞いてくれることもあるそう! そこで、岡澤さんと、ホテルルームライターの二松さんにこれまで体験したことのあるちょっとレアなエピソードを教えていただきました。
■6:プロポーズのお手伝い
岡澤さんによると、プロポーズのお手伝いも、お願いできる場合があるとか!
「『素敵なプロポーズを思い出のホテルで』と考える男性にとって使える、プロポーズコンシェルズがあるホテルがあります。例えば、カップルでホテルのレストランで食事をし、それとなくサービスマンがホテル内のチャペルを案内、そこでエンゲージリングを渡すなどのプロポーズのお手伝いなどは喜んで対応してくれます」(岡澤さん)
実際、岡澤さんはカップルの素敵なサプライズのお手伝いを目にしたことがあるそうです。
「ある男性から、彼女のお誕生日にサプライズをしたいとご相談がありました。彼がホテル内のフラワーショップで購入した花束をクロークに預け、彼氏が彼女に『自分がホテルに忘れ物をしたから誕生日に取ってきて』と頼みます。
誕生日当日、何も知らずに彼氏の忘れ物を取りにホテルへとやってきた彼女は、クロークで彼からの花束を受け取りました。花束の中には手紙が入っており、クローク係が『その場でお読みください』とご案内。手紙には『レストランで待っています』と彼からのメッセージが! その後、おふたりは、ホテルのレストランでお食事をしながらお誕生日のお祝いをされました。とても素晴らしいサプライズでした」(岡澤さん)
■7:客室往診の手配と保険手続きサポート
二松さんは、海外の1島1リゾート型高級ホテルで、こんな体験をしたそうです。
「体調が悪くなり、客室から出ることもできないくらい大変な状態になりました。その際、コンシェルジュ対応で、客室まで医師の先生の往診も手配してくれました。
また、海外の医療はとても高額になる場合が多いのですが、このときは海外保険をかけていたので、その旨を伝え、コンシェルジュの方が保険で必要な書類、そして書類の記入まですべてを手配してくれました。
その後、その書類をどのようにすればよいかまで教えてくれたので、自分では何もしなくても、帰国後に簡単な手続きだけで、すべての医療費が支払われました。その金額は8万円ほど。ホテルのサービスで、とても助かったことのひとつです」(二松さん)
■8:客室にB級グルメを準備
また二松さんは、国内のある地方都市で、こんなうれしいサービスを受けたことがあるとか。
「国内の地方都市に行ったとき、仕事で食事する時間もない状態のとき、チェックイン時に、コンシェルジュに『高級な食事ではなく、近くのおいしいB級グルメの食べ比べがしたい』と相談したところ、その夜までにいくつかの有名なものを準備してくれました。客室内の白いテーブルクロスが敷かれた大きなテーブルに、お皿に盛られたB級グルメが3つ。とても豪華に見えて、ゆっくり食べ比べができたときはさすがだなと思いました」(二松さん)
■9:海外でお金を盗まれたときのトラブル対応
二松さんは海外で起こったこんなトラブル時もホテルサービスに助けられたそう!
「海外のある国の路上でお金を盗まれるということがありました。まだホテルに到着する前で、財布には高額の日本円が入っていましたが、それがすべて抜き取られていました。気付いてしょんぼりしながら、ホテルに到着、すぐにホテルのコンシェルジュに事情を相談。コンシェルジュスタッフは、最寄りの警察署の所在を教えてくれ、日本大使館の場所も教えてくれました。
そこでの手配を何とか終えて、ホテルに戻ると、ディナーを手配してくれていました。もちろん無料でのサービス。しょんぼりの状態から一気に気分も上向きになり、またこのホテルに泊まりに来ようと思いました」(二松さん)
高級ホテルのフロントに頼めること~依頼時のコツ編
遠慮しがちな日本人。実際、ホテルに滞在中「こんなこと頼んでいいのかな?」と思ってしまいがちです。ホテルに何かを頼むときのコツを、二松さんは次のようにアドバイスします。
■1:ホテル内のことはバトラーかフロントに。ホテル外のことはコンシェルジュにお願いする
「ホテルに何かリクエストしたいときは、それがホテル内で済ませられることか、ホテル内では済ませられないことかを考えます。
高級ホテルでは部屋専属のバトラー(執事)が就くこともありますが、バトラーは雑務をこなすという役割があるので、身の回りのどんなことでもお願いできます。こうしたホテル内のお願いや雑務のお願いはバトラーがいる場合はすべてバトラーに、バトラーがいない場合はフロントスタッフにお願いします。バトラーは雑務を引き受けてくれますが、フロントスタッフだけの場合は、お願いできない内容もあります。
一方、ホテル内で済ませられないことはコンシェルジュにお願いします。高級ホテルではコンシェルジュデスクでお願いしましょう。もし誰に頼めばいいのか分からない場合、フロントスタッフまたはコンシェルジュに相談すると内容によって振り分けてくれます」(二松さん)
■2:丁寧にお願いする
「こちらが高額の宿泊費を支払っているからと横柄な態度は御法度。相手も人、紳士淑女の態度で応対すると、しっかりしたサービスにつながります。
低姿勢になることはありませんが、丁寧にお願いすると、ホテル側も気持ちよく引き受けられますし、こちらの要求の意図をくみ取ってくれる確率も高くなり、思っている以上のサービス提供をしてもらえます」(二松さん)
■3:何をお願いしたいかをはっきり伝える
「お願いする内容をしっかり伝えることも大切です。自分が意図したサービス提供を受けるにはコミュニケーションが大事だということです」(二松さん)
■4:早めに相談する
「お願いする内容によっては時間がかかることもあるので、こうして欲しいと明確になったら早めに相談することもポイントです」(二松さん)
いかがでしたでしょうか? ホテルのなかでも高級ホテルともなれば、思いがけない手厚いサービスが受けられることもあるようですね。
頼むコツを会得して、旅や宿泊を存分にサポートしてもらいましょう!
http://fastmanner.com/form-okazawa.html
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 石原亜香利