かつて机上の必需品でありながら、今は使う人がめっきり減ったインクブロッター。万年筆のためだけにつくられた机上の文房具は、その昔、必需品であった。万年筆をきちんと使いたいなら、かならず押さえておきたいものである。
このインクブロッターを使ってみると、太字の万年筆を好む人には必需品だと実感できる。
書いた直後、インクブロッターを筆跡の上でコロンと転がせば、余分なインクが吸い取られ、文字が綺麗に定着。指を汚したり、重ねた紙にインクが移ることもない。
また単に実用的なだけでなく、万年筆で書き、ブロッターを使う、という一連の所作は、実に古典的で密かな満足感を与えてくれもする。
万年筆の名門、モンブランにも、このインクブロッターがある。全面がイタリア産フルグレインカーフスキン張りで仕上げられ、雰囲気は重厚そのもの。実際にも重いのだが、これがプラスに作用し、軽い力で確実に仕事をこなしてくれる。
机上にあっては、決して目立つ存在ではないインクブロッター。だが、そこにあるだけで威厳と伝統を感じさせる、希有な名品である。
威厳と伝統を感じさせる、希有な名品
革製品の品質の高さでも認められているモンブラン。このインクブロッターは、イタリアの革製品産業の中心地、フィレンツェにある自社のレザーセンターで、丹念につくられている。
インクブロッターについて、知っていただけただろうか。クラシックな文房具良さが見直されている今、インクブロッターにも熱い注目が集まっている。現代においても、万年筆はギフトの定番。せっかくプレゼントするのであれば、このインクブロッターも合わせてみてはいかがだろう?
※価格は2016年春号掲載時の情報です。
- TEXT :
- 名畑政治 時計ジャーナリスト
- BY :
- MEN'S Precious 2016年春号 静謐なる「書斎の名品」より
- クレジット :
- 撮影/戸田嘉昭、唐澤光也(パイルドライバー)スタイリスト/石川英治(tablerockstudio)レイアウト/大塚將生 構成/堀 けいこ 文/名畑政治