雑誌『Precious』2010年4月号から7年間にわたって続いた長寿連載「グルメ探偵がゆく」では、名店の名皿を探し続けた「グルメ探偵」たち。
連載終了から早2年、「令和」という新しい時代を迎え、ついに再結集する運びに。すでに厳選された「平成」のアーカイブをさらに厳選。そして「令和」元年の今だからこそ行きたい新店も、もちろん追加で取材。大人が本当に楽しめるレストランだけ、ジャンルごとにご紹介します。
第3回目のジャンルは「進化系レストラン」。
そこに名店がある限り、食いしん坊たちの「グルメ道」探求は永遠に続くのです。
調理法もプレゼンテーションも! 最先端の「進化系レストラン」
I(レストランジャーナリスト) かつてレストランの分類は、フレンチやイタリアンなど国別が基本だったけれど、「進化系」を表明する店が現れて久しいわ。
T(食べすぎ系ライター) 泡や、液体窒素を使い化学的な表現を取り入れて、世界中のシェフに影響を与えたスペインの「エル・ブリ」が有名ですよね。
I 彼らは「進化系」の基礎をつくった人たち。ちなみに「進化系レストラン」の特徴としては、既成概念にとらわれない、少量多皿のコース編成。それから、レストランのほかにラボをもっていることも重要ね。
E(ミーハー編集者) 「茶禅華(さぜんか)」の川田シェフは、日本料理の炭火の使い方を中国料理と組み合わせ、中国人も驚く中国料理を創る、といわれていますよね。
T 「INUA(イヌア)」のフレベルシェフは全国の野菜や魚の産地をまわり、さまざまな素材のデータを管理。日本人より日本の食材に詳しいの。
I 「進化系」はデータを基に、冷静に料理し、そこに確実な美味があることを証明してみせる。ただ同時に、技術はもちろん直感やセンスも重要。彼らは料理人でありながら同時に科学者、そして芸術家のようでもあるのよ!
■1:日本の素材を使い、中国料理の伝統技法と現代的な調理技術を駆使した唯一無二の料理「茶禅華(さぜんか)」
2017年2月にオープン、同年秋には2018年版「ミシュラン東京」でいきなり2ツ星を獲得した。華やかな話題でデビューを飾ったのは川田智也シェフ。西麻布の中国料理店で10年修業後、有名日本料理店で5年修業した。
「茶禅華」では「和魂漢才」のコンセプトを掲げ、見事に新しい料理の世界を創り出しました。特筆すべきは、2種の調理法で表現した鳩料理。胸肉は炭火で焼き、藁で香りをつける日本料理の技法を用い、モモ肉は、食べる直前に表面をパリパリに揚げて出す。その提供のタイミングも秒単位で計算され、まさにジャンルを超えたこだわりの集大成です。
問い合わせ先
- 茶禅華
- 営業時間/17:00~21:00(L.O.)
- 定休日/日曜・月曜を中心に不定休
- 料金/季節の食材のおまかせのコース¥23,000~。
TEL:050-3188-8819 - 住所/東京都港区南麻布4-7-5
■2:日本人になじみ深い、日本の素材への探求心が編み出した独自の世界「INUA(イヌア)」
世界のレストランランキングで4度もナンバー1を獲得したデンマーク「ノマ」と出版・メディア事業会社「KADOKAWA」がコラボする新世代レストラン「INUA」。シェフのトーマス・フレベル氏は、まるで生物学者、科学者のような多彩な顔をもつ料理人。
2018年6月オープン以来、国内はもちろん、世界中から訪れる美食家たちから絶賛されました。その発想と技術に世界的なレストランアワードで「今年の新店賞」を受賞。当初は野菜と魚が中心でしたが、季節によっては肉料理も加わって、さらに表現が深まりました。皿数を減らしたコースは、少しだけ体験したいというゲストもウェルカム。
問い合わせ先
- INUA
- 営業時間/17:30~、コース最終スタート20:45~
- 定休日/日曜・月曜
- 料金/INUAの四季¥29,000(約13品)、INUAの節気¥23,500(約7品)
- TEL:03-6683-7570(火~土10:00~15:00)
- 住所/東京都千代田区富士見2-13-12 KADOKAWA富士見ビル9F
※掲載した商品はすべて税抜です。
- PHOTO :
- 田中 雅、馬場敬子、ハリー中西、福地彰子
- EDIT&WRITING :
- 寺尾妙子、遠藤智子(Precious)
- 監修 :
- 犬養裕美子