■9:ペースト系は質感重視!

イスラエルは死海や嘆きの壁など、歴史と宗教の国と思いきや、実は料理がおいしい。写真は私が好きなエルサレムのペトラガーデンズレストランのフムス。ケバブやシュワルマ、シャクシューカなど、名物料理もぜひ試して。
イスラエルは死海や嘆きの壁など、歴史と宗教の国と思いきや、実は料理がおいしい。写真は私が好きなエルサレムのペトラガーデンズレストランのフムス。ケバブやシュワルマ、シャクシューカなど、名物料理もぜひ試して。

ペースト系の単調な料理を撮る場合は「質感」を重視。マイクロレンズの使用がオススメ。フムスのドロッとした質感を出すため、光が横から入る位置に置き、影は白いナプキンなどをレフ板にして薄くしましょう。

■10:飲茶は、手前をぼかす技でワイワイと!

一般的に女性の胃は男性より小さく、量が食べられなので、沢山の種類を食べられる飲茶は女性に人気。マカオの龍華茶樓は2階にあるお店で、窓から入る風も気持ちいい。
一般的に女性の胃は男性より小さく、量が食べられなので、沢山の種類を食べられる飲茶は女性に人気。マカオの龍華茶樓は2階にあるお店で、窓から入る風も気持ちいい。

飲茶のように小皿料理を撮影する場合は、数皿並べて、ワイワイと楽しい感じを出すといい。ピントは手前のセイロではなく中央のセイロにすることによって、奥行き感が出ます。

■11:湯気はシャッター速度に注意して

静岡県の浜松にある星野リゾート 界 遠州では、チェックインすると、部屋に熱々のお饅頭(時期により変更あり)が用意されていました! 空腹でも食べる前に撮る。この我慢も大切なり。
静岡県の浜松にある星野リゾート 界 遠州では、チェックインすると、部屋に熱々のお饅頭(時期により変更あり)が用意されていました! 空腹でも食べる前に撮る。この我慢も大切なり。

湯気はシャッター速度が大事。自然光での撮影は1/60~1/125ぐらいに設定します(目安)。問題は背景の色。湯気は白いので、背景が暗めのところで撮りましょう。

■12:家での撮影は、「アットホームな雰囲気」を大切に

レストランやカフェで撮るだけが料理写真ではありません。自宅でも自慢の手料理を撮りましょう! もちろん友人宅に招かれたホームパーティーの料理も絶好のシャッターチャンス。後日、料理写真をプレゼントすると意外と喜ばれるますよ。
レストランやカフェで撮るだけが料理写真ではありません。自宅でも自慢の手料理を撮りましょう! もちろん友人宅に招かれたホームパーティーの料理も絶好のシャッターチャンス。後日、料理写真をプレゼントすると意外と喜ばれるますよ。

気取らない自宅での料理写真は、アットホームな雰囲気を! きちんと水平を合わせて撮るより、少しカメラを斜めにして動きをもたせたり、出来立ての料理は鍋ごと撮影したり、取り分ける手元を入れ込んだり、楽しい感じで。

■13:素敵なバーでは、スパイのような「カメラ直置きテクニック」が有効

素敵なカクテルを出されたときの感動は、素敵なプレゼントをもらったときの感動に似ています。東京・銀座にあるスタア・バーは本物に出合える店。スパイのごとく静かにパシャリ!
素敵なカクテルを出されたときの感動は、素敵なプレゼントをもらったときの感動に似ています。東京・銀座にあるスタア・バーは本物に出合える店。スパイのごとく静かにパシャリ!

店の雰囲気を活かしてテーブルにカメラを置き、他人に迷惑をかけないように静かに撮影。広角レンズは四隅がびよんと伸びてしまうので、画面中央にカクテルを置くのがコツです。

■14:白い被写体は、ホワイトバランスに注意して

チョコレートも好きだけど、メレンゲも大好き。写真はイタリアのサルデーニャ島に住むカルメッラさんの手づくりビアンキーニ。「ちっちゃな白」という意味のお菓子でアーモンド入りです。
チョコレートも好きだけど、メレンゲも大好き。写真はイタリアのサルデーニャ島に住むカルメッラさんの手づくりビアンキーニ。「ちっちゃな白」という意味のお菓子でアーモンド入りです。

白いものを撮影するときは、ホワイトバランスの設定が大事。オートだけでなく「K(ケルビン=色温度)」を自分で設定してみましょう。

■15:レトロなカフェでは、並べ方を無造作に!

香港で都会の喧騒に疲れたら、フェリーに乗って近くの島へ日帰り旅。写真は坪洲島の祺森冰室で注文した、コーヒーと紅茶を混ぜた鴛鴦茶(えんおうちゃ)。癖になる味です。この島の他にもラマ島、長洲島、ランタオ島、塔門島、蒲苔島などがあります。
香港で都会の喧騒に疲れたら、フェリーに乗って近くの島へ日帰り旅。写真は坪洲島の祺森冰室で注文した、コーヒーと紅茶を混ぜた鴛鴦茶(えんおうちゃ)。癖になる味です。この島の他にもラマ島、長洲島、ランタオ島、塔門島、蒲苔島などがあります。

レトロなカフェでは、色を活かして優しい雰囲気とのんびり感を出す。その場合、並べ方はあまりそろえすぎないことが大事です。店員さんがポンと無造作に置いた位置が、意外と良かったりします。


「旅の写真はガチガチのまじめな撮影より、『感じる楽しさ』『発見する喜び』『つながる温かさ』がいい写真を生むと信じている」と山口さん。発売中の書籍『トルタビ 旅して、撮って、恋をして』には、料理以外にも、スナップ、風景、建築、人の素敵な写真&撮影テクニックが満載です。

ぜひ実際に手にとって、旅気分を満喫してみてください!

『トルタビ 旅して、撮って、恋をして』著=山口規子

『トルタビ 旅して、撮って、恋をして』著=山口規子 日本写真企画 ¥1,300(税抜)
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山口規子さん
写真家
(やまぐち のりこ)栃木県生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。文藝春秋写真部を経て独立。女性誌や旅行誌を中心に活動。透明感のある独特な画面構成に定評がある。「イスタンブールの男」で第2回東京国際写真ビエンナーレ入選、「路上の芸人たち」で第16回日本雑誌写真記者会賞受賞。料理や暮らしに関する撮影書籍は多数。旅好き。猫好き。チョコレート好き。公益社団法人日本写真家協会会員。
この記事の執筆者
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