市街地や高速道路はクルマで快適移動、爽快なロケーションのもとに着いたらバイクにまたがり駆けぬける。そんな魅力的なシーンを肩肘張らず、いっぺんに演出できるクルマとバイクが揃うとしたら……。これからの季節にもぴったりな、贅沢な2台のオモチャをガレージから持ち出してみた。

原付2種を積んで遊びに行こう!

バイクを積み込んだ状態。サイドはスライドドアで大きく開き、リアゲートとフロントドアは90度まで開くため、乗降性や荷物の積み卸しでも不便は特に感じない。
リアシートだけでなく助手席にもダイブダウン機構を採用し、フラットで広い床が出現。さらに助手席側がセンターピラーレスで、横からの荷物の出し入れはもちろん、バイクの固定作業などでも楽に行える。助手席側の床の最大スペース長は2,635㎜あり、ビッグバイクの搭載も可能だ。
室内には荷物の固定用タイダウンベルトを引っかけるためのフックが8カ所にあり、バイクの固定にも重宝する。

 爽やかに晴れ上がった朝など、時々頭をもたげる「バイクに乗りたい」欲求。だからといっていきなりビッグバイクでリターンライダーを気取るほどの気概もないし、もっと気軽にできる手立てはないかと考えている皆さん。おすすめしたいのが、昨年の発売以来大人気の、ホンダ・N-VANの活用法。積載することが使命の商用バンだけあって、小さめのバイクなら運べてしまうのだ。正確には原付2種、つまり一般道での速度制限が普通車と同じく時速60km/hで、2人乗りも可能なバイクまでは確実に搭載できる。実際には試していないが、インターネットで検索すると、750ccクラスまで積載しているという実例もある。とにかく、頼りになる軽自動車なのだ。

 もちろん同等の積載能力はほかの軽バンにも備わっている。だが、そのうえでN-VANを推す理由は、「ホンダ独自の実用性を、遊び感覚一杯のデザインに詰め込んだ」という点にある。ホンダのNシリーズといえば、多彩なシートアレンジと低くフラットな床、高い天井など、すみずみまで使える実用アイデアを愛らしく、かといって子供っぽくないデザインに落とし込むことで高い支持を得てきた。その流れの中にあるN-VANは、当然、期待を裏切らない仕上がりだった。

バイクが苦手な市街地をワープ!

クロスカブを積み込んだうえで、運転席の後方の席が使用できる。商用のリアシートなので背もたれのリクライニングがないため快適とはいえないが、合法的に2名乗車は可能になる。
長さ180センチのラダーを掛け、クロスカブの積み卸しに使用する。N-VANは床の地上高525㎜と低いため、エンジンを掛けながらではあるが一人でもバイクの積み込みは可能だった。
LEDを採用した丸目のヘッドライト。クロスカブ専用のヘッドライトガードに囲われ、無骨でタフな印象を際立たせている。

 とくに商用というより、趣味のツール的キャラクターを強調した「+STYLE FUN」は、丸目のヘッドライトとポップなカラーリングなど、働くクルマにありがちな素っ気なさとは無縁の佇まいがうれしい。ハイルーフ仕様の運転席以外すべてのシートを折りたたむと助手席側には最大スペース長2,635㎜、荷室高1,365㎜、荷室幅1,390㎜もの空間が確保できる。これだけの実用空間があるなら、夏冬のボード系スポーツから釣り、車中泊やキャンプなど、様々なリクエストに難なく応えてくれる。

 そんなN-VANでバイクを積んで出かけようというのが、今回の提案。実はバイク、市街地では空気の悪さやクルマとの軋轢などがあり、ストレスがつきものというか、どちらかといえば苦手なのだ。この部分を4輪で一気にワープして、澄み切った空気の中、その手軽さと機動力の高さを生かした「バイク版ポタリング」とか、ワインディングを爽快にプチツーリングとか、バイクに乗りたい欲求を満足させることは十分可能。

 原付2種を選ぶ場合、幸いにもホンダにはクロスカブ110という恰好のアイテムがある。「街にも自然にもフィットする、軽快でアクティブなスタイルをうたうだけあって、アウトドア感満載のスタイリングだ。その人気は高く、ビッグバイクに乗るライダーからも、「セカンドバイクとして欲しい」という需要がかなりあると聞く。

クロスカブを積んでもまだ乗れる

フロントブレキーレバーにはブレーキがかかった状態でロックできる装備があり、ちょうどクルマのサイドブレーキの役割だが、車内にバイクを積み込んでより確実に固定するときにも重宝する。
ラダーを折りたたんでクロスカブの前輪と後輪の間に入れ込めばストッパー役として使える。タイダウンベルトだけでは不十分と感じたら、このような使い方もある。
ギアチェンジは踏み込むタイプのため、靴の甲の部分が汚れることもなく、スニーカーでも気軽に乗れる。

 クロスカブの操作は簡単で、クラッチ操作は不要。ホンダが世界に誇る名車、スーパーカブをベースとし、高度なライディング技術を必要とせず、ビッグバイクほどの気遣いも要らない。そして何より、N-VANにピタリと搭載できるのだ。さらにいいのはクロスカブを搭載しても、運転席の後方のリアシートに人が座れること。そう、お一人様専用とはならないところも、うれしいポイントなのだ。原付2種であれば、現地に到着してからタンデムで行動することも可能となり、楽しさはさらに広がるというわけだ。

 ただ、リアシートは商用とうこともあって、背もたれが固定式で、乗用車ほど快適でないことは覚悟して欲しい。また、静粛性という点でも商用のレベルを出ない。もっとも、高速巡航に入ると風切り音やロードノイズが高まっていくが、一方でクルマとしての走りは予想以上に快適だった。たっぷりとしたストローク感のある足のセッティングは、路面のつなぎ目や路肩の段差といった突き上げをやんわりといなしてくれるし、ロードノイズを感じつつも、タイヤが転がる安っぽいザラザラとした感覚が気になることはなかった。

 走りのゆとりではノンターボエンジンでも十分だと思うが、今回はターボモデルをチョイス。2,600回転から最大トルクを発生するので、高速での合流でもパワー不足を感じることはなく、必死さなどとは無縁の走りで、不満を感じることは少なかった。CVTのセッティングが、実用域での使い勝手を十分に考えて決定してあるためだろうか、終日クロスカブを搭載して走っていても、加速やクルージングでストレスを感じることがなかった。

 そして何度となくバイクの積み卸しを繰り返すうちに、1回の作業時間も10分以内と慣れてくる。この気軽さと楽しさ、そして独特のオモチャ感が2台のツールで楽しめるのであれば、消費税込みで「+STYLE FUN・ターボHonda SENSING」のFFモデルが¥1,668,600、「クロスカブ110」が¥334,800、合計¥2,003,400(税込合計額)は、十分に安い出費といえる。

<SPECIFICATIONS>
N-VAN+STYLE FUN・ターボHonda SENSING
ボディサイズ全長×全幅×全高:3,395×1,475×1,945mm
車重:970kg
駆動方式:FF
エンジン:658cc  直列3気筒DOHCターボ
トランスミッション:CVT
最高出力:47kW(64PS)/6,000rpm
最大トルク:104Nm/2,600rpm
価格:¥1,545,000

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<SPECIFICATIONS>
クロスカブ110
ボディサイズ全長×全幅×全高:1,935×795×1,090mm
車重:106kg
エンジン:109cc  空冷単気筒OHC
トランスミッション:常時噛合式4段リターン
最高出力:5.9kW(8PS)/7,500rpm
最大トルク:8.5Nm/5,500rpm価格:¥310,000

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この記事の執筆者
男性週刊誌、ライフスタイル誌、夕刊紙など一般誌を中心に、2輪から4輪まで「いかに乗り物のある生活を楽しむか」をテーマに、多くの情報を発信・提案を行う自動車ライター。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。
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