正解は… 2:上下を逆にしてはいけない です。
「天地無用」といえば、最も目にするのが、小包などの荷物を送る際の表示です。電子機器や液体、家具などの荷物に影響が出ないよう「上下を逆にしてはいけない」と表示しているのに、正しく理解していない人が4割以上も存在するとは、実害が出ないか、ちょっと心配になってしまいますね。
実は「天地無用」という言葉は、故事成語などでなく、運送業界用語から発生した言葉らしい、という説が有力です。もともとは「天地入替無用」や「天地傾倒無用」と表示していたものを、四字熟語的にすっきりさせるために、間の「入替」や「傾倒」を抜いたのではないか?と言われています。
「天地無用」だけにしたせいで、「天地は無用=上下を気にする必要は無用」というカン違いが誘発されてしまった? とすると、「仕事を円滑に運ぶための業界用語であるはずなのに、なぜわかりにくくしてまで四文字にまとめる必要があったのか?」と、疑問が出て参ります。この説が正しければ、省略時の配慮とセンスが欠けていた、と言わざるを得ません。
現在、日本郵便や宅配業者には「天地無用」だけの表示を廃止し「この面を上に 逆さま厳禁 ↑↑ 」や「この面を上に 天地無用 ↑↑」など、わかりやすい表現に変えたり、表示を補足するなどの工夫をする向きも出ています。
私たちが繊細な荷物を発送する際にも、「天地無用」と表記する以上の配慮が必要かもしれません。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
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- 参考資料:文化庁「国語に関する世論調査」(平成25年/平成27年)
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱