ハワイ諸島の主要8島の中で最も大きく、ビッグアイランドの愛称を持つハワイ島。2018年のキラウエア火山の噴火も記憶に新しいが、活発な火山活動により流出した溶岩が冷え固まり、島の面積が拡張し続けている。まさに生きている島だ。
火口も間近で確認できるのがヘリコプターツアーの醍醐味
ハワイ島は四国に相当する面積があるため、車で巡るとなれば、それだけで1日が潰れてしまう。時間を有意義に使うにはヘリコプターによる、遊覧ツアーがお勧めだ。
フアラライ山、マウナ・ロア山、キラウエア火山の火口、ワイピオ渓谷などのハワイ島の大自然を間近で感じられる約120分のコースは、コナ国際空港を飛び立つことから始まる。
まず眼下に広がるのが、ハワイの名産であるコナコーヒーの農園が立ち並ぶエリアだ。
そのまま1801年が最後の噴火であるフアラライ山に向かう。フアラライには雲を被った山という意味があり、午後には雲がかかっているが、午前中は頂上が見えることが多いという。
遠くから頂上を望んだあと、山肌を滑るように登りながらヘリコプターは山頂へ近づいていく。途中、クレーターのようなものと、小さな山が点在しているのがわかる。
どちらも噴火の影響によるものなのだが、クレーターは溶岩が溢れた部分、小山は火山性ガスが噴出した部分で、吹き出した物質によってその形状が異なるのだという。
かなり山肌に接近して飛ぶため、溶岩が流れた生々しい痕跡も間近で確認できる。
大迫力の絶景だけではない!歴史も感じさせられるのが醍醐味
そのまま雲の上まで上昇し、ハワイ島に2つある4000m級の火山のうち、マウナ・ロア山へ。2400mを超えたあたりで森林限界となるため、この一帯には植物が生えていない。
直径約5kmもある火口の上へ。通常、ここへは徒歩でしか行くことができず、火口を真上から観察できるのは貴重な経験だ。
最後の噴火は1984年だが、今にも噴火しそうな迫力が感じられる。
ヘリコプターでないと見ることのできない、第二次世界大戦時に墜落した米軍の爆撃機を眺めてからキラウエア火山の火口へ向かう。
ヘリコプターでしか見ることのできない米軍の墜落機
底知れない恐ろしさを感じさせる、キラウエア火山の火口
記憶にも新しい2018年のキラウエア火山噴火の噴火口は、最大直径が約5km。噴火は収まったとは言え、毒ガスは噴出し続けており、禍々しい雰囲気を放つ。ずっと眺めていると吸い込まれそうな錯覚に陥る。
溶岩流が通った部分は植物が溶岩に覆われ、草の1本も生えていない。上空から眺めるとその差異がよくわかる。
2018年の噴火で流出した溶岩が冷え固まり、世界で一番新しいビーチであるクロスナビーチも誕生している。
カメハメハ大王が育った、ハワイアンの聖地・ワイピオ渓谷へ
幅約1.6km、高さ約8kmのワイピオ渓谷はカメハメハ大王が育ったと言われる場所で、ハワイアンの聖地とされている。渓谷の中に入っていくと、いくつか滝がある。ハワイ島の土地は火山岩質のため、雨水が地中に染み込まず、降った雨がそのまま滝となる。
ワイピオ渓谷で小休憩し、コナの街を眺めながらコナ国際空港に戻ってきた。
ハワイはキャプテン・クックに発見された1778年以前には文字を持っていなかった。そのため、それ以前の正確な情報が残っていないのだが、雄大な自然を肌で感じると人々はその自然を畏怖しながら歴史を紡いできたのがよくわかるはずだ。
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Paradise Helicopters
「Kona:Volcano Kohala Landing」※プラン1人$659
- TEXT :
- 津島千佳 ライター・エディター