お土産の「みやげ」の語源は、神道の「宮笥(みやげ・みやけこ)」という神への供物を入れる器からきている、という説があります。
参拝の際、供物を持参し、神前にお供えする。参拝が終わったら、「神様からの授かりもの」として持ち帰って家族で分ける。諸説ありますが、これが「みやげ」という概念の大元のようです。
また江戸時代、「お伊勢参り」に代表される神社仏閣への参詣が庶民の旅として流行し、その記念に、門前の茶屋で売られていた団子や饅頭を持ち帰るようになった、という説も納得です。
昔は「一生に一度」だった旅も、今や「思い立ったらすぐに行ける」ものとなりました。夏休み、帰省はもちろん、行きたかったあの土地へ向かうチャンス。そんな旅先で、お世話になった人たちに買って帰りたい、センスあふれる、かわいらしいおみやげをご紹介します。
ケースまでとっておきたくなる、おみやげスイーツ5選
■1:切り分けるたびに喜びが!会津 長門屋の「Fly Me to The Moon羊羹ファンタジア」(福島県)
福島県会津若松市にある老舗菓子店の「会津 長門屋」の「Fly Me to The Moon羊羹ファンタジア」は、しばらく眺めていたい美しい羊羹です。羊羹の中に月と鳥が表現され、切り分けるたびに、三日月は満月に、鳥はだんだんと羽ばたいていく、という変化が楽しめます。
1848年創業の会津 長門屋は、「伝統的な和菓子に新しいシーンを」というコンセプトで新商品の開発を行い、羊羹に着目。スタンダードな和菓子であるにも関わらず、「見た目が地味」「切り分けるのが面倒」と、少々食べる機会が乏しい現状から、逆転の発想で新商品を開発しました。
こんな羊羹をお茶請けに出したら、きっと会話が弾みますよね。そうした新たなコミュニケーションツールを目指し、およそ1年かけて開発されたそうです。
職人が作り上げた羊羹の層は6層。下から小豆羊羹をベースに、辛口シャンパンの錦玉羹で空を表現、月と鳥はレモン羊羹で作ってあるそうです。トッピングにあしらわれたのは会津産の鬼クルミ、クランベリー、レーズン。
切り分ける度に絵柄が変わり、物語が現れるという仕掛けもおしゃれですよね。ちなみにタイトルは、世界的に有名なジャズの名ラブソングから。パッケージは同じ福島県出身の日本画家・舛田玲香さんの描き下ろした絵を採用しています。
問い合わせ先
- 会津 長門屋本店
- 営業時間/9:00~17:00
- 定休日/年末年始
- TEL:0242-27-1358
- 住所/福島県会津若松市川原町2‐10
■2: まるでキラキラ輝く宝石のようなMARIEBELLE(マリベル)の「 Chocolat Jewelry」(京都府)
ブルーの鮮やかな缶を開けて出てくるのは、大小のかわいらしいチョコレートの粒。まさに宝石の原石を詰め込んだような雰囲気です。パッケージもおしゃれで、食べ終わった後、この缶をとっておきたくなりそうですよね。
ショコラティエのマリベル・リーバマンは、ホンジュラス出身ということもあり、カカオに強いこだわりがあるそう。故郷はもちろん、世界各国の産地から厳選したカカオを使用しているそうです。
お店があるのは、アメリカのニューヨークと京都。京都本店は京都市営地下鉄烏丸線の烏丸御池駅から、徒歩6分の場所にある京町家の一角です。
ニューヨークの雰囲気を京町家と見事にコラボレーションさせた店内には、マリベルのかわいらしく繊細なチョコレートが多数。「Chocolat Jewelry」はもちろんですが、他のチョコレートもステキなおみやげとなりますよ。
「Chocolat Jewelry」のチョコレートの味は、グリーンはピスタチオとダークチョコレート、ピンクはゴジベリー(クコの実)とラズベリーチョコレートの味わいです。
問い合わせ先
- MARIEBELLE京都本店
- 営業時間/10:00~19:00 ※「Chocolat Jewelry」はなくなり次第終了
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TEL:075-221-2202 - 住所/京都府京都市中京区柳馬場通三条下ル槌屋町83
■3・4:見た目のインパクト大!大塚国際美術館「ヒマワリ和三盆」「ムンク阿波和三盆糖」(徳島県)
誰もが知るような西洋名画を、陶板で原寸大に再現した世界初の陶板名画美術館である「大塚国際美術館」。ピカソの「ゲルニカ」や、ミケランジェロの「システィーナ礼拝堂天井画及び壁画」など、1000点以上の名画を本場さながらの迫力で鑑賞することができます。
また2018年末の「NHK紅白歌合戦」で、米津玄師さんの歌唱の中継会場となったことでも注目されましたね。
こちらの美術館のミュージアムショップには、ゴッホの「ヒマワリ」とムンクの「叫び」を象ったオリジナル商品の和三盆糖があります。
和三盆糖とは、「竹糖」と呼ばれるサトウキビを原料に、徳島県・香川県等で現在も作られている数少ない国内産の砂糖のこと。
ヒマワリは、香川県産和三盆を100%使用。直径約2.5cmもの大きさです。
紅白のムンクは、1つ直径約2㎝。特徴的な表情をしていて、贈られた人は笑顔になること間違いなし! ちなみにこちらの商品は1日50個の限定、店頭のみの販売です。
和三盆はやさしい甘さなので、お茶やコーヒーのお供にぴったり! 怪しくてかわいいムンクと、ヒマワリに囲まれるゴッホに心癒される、アーティスティックなお菓子です。
問い合わせ先
- 大塚国際美術館 ミュージアムショップ
- 営業時間/9:30~17:00 ※2019年8月10日(土)~8/月17日(土)は8:30~18:00、8月18日(日)は8:30~17:00、入館券の販売は、閉館の1時間前まで
- 定休日/月曜日 (祝日の場合は翌日) ※1月は連続休館あり、その他特別休館あり、8月は無休
- 入館料/一般¥3,240、大学生¥2,160、小中高生¥540 ※20人以上の団体は10%割引、消費税の値上げに伴い料金変更の可能性あり
- TEL:088-687-3737
- 住所/徳島県鳴門市鳴門町 鳴門公園内土佐泊浦字福池65-1
■5:レトロなシスターのイラストがかわいい、長崎銘菓クルス 浜町店「長崎銘菓クルス復刻缶」(長崎県)
「クルス」を製造する小浜食糧は、長崎県雲仙市小浜町という温泉町にあります。古くから湯治客が多く訪れていて、客向けに「湯せんぺい(温泉水で生地を練り上げ焼いたもの)」を作ったことが「クルス」の始まりだそう。
創業者は戦後、一時違う事業に乗り出しましたが、「今後観光ブームが来る、小浜温泉にもまた人が来る」と信じ、みやげ菓子の開発を始めたのだとか。
そんなとき長崎在住の画家・鈴木信太郎氏の絵を使い「クルスせんぺい」という名称の菓子を作っていた同町の菓子店が廃業の危機に。小浜食糧が鈴木信太郎画伯の絵と、商標登録を買収しました。
そして、新生「クルス」(現在の商品)が誕生。
生地は湯せんぺいの製造方法を活用し、鉄板で挟み圧縮して、ふかして焼く製法を採用しています。中のホワイトチョコレートには、島原半島の特産であるショウガの微粉末を入れて風味に個性を出すことに成功しました。
鈴木信太郎画伯の原画には長崎らしい絵が多く、「クルス」の名称にふさわしい、シスターの絵を採用しています。なんでも、一時はふたりのシスターのデザインで販売していたこともあったとか。
発売40周年を機にデザインを一新。あまりにも大々的に変更したため、「クルスがなくなった!」と多くの人々が勘違いしたこともあり、50周年を迎えたときにこのレトロな復刻缶を現在のクルス1枚の大きさに合わせて再現したそうです。
なんだかちょっと温かくなる、手元に残しておきたくなる缶ですよね。
問い合わせ先
- 長崎銘菓クルス 浜町店
- 営業時間/10:00~20:00
- 定休日/元日
- TEL:095-893-5117
- 住所/長崎県長崎市浜町4-6
美しかったり、かわいらしかったり、懐かしかったり。旅という非日常の中で出会うおみやげは、とても印象に残るものです。
特定の誰かを思い浮かべて選ぶのも楽しいですが、本当に気に入ったものは、自分へのおみやげとして買ってしまうのも、また旅の楽しみ。
ぜひ旅先では、おみやげにももっと注目してみてくださいね。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- WRITING :
- 別役ちひろ