「ネイビー」を身につけたときの清々しさや凛とした雰囲気は、どこから生まれるのでしょうか。知れば知るほど惹きつけられる「ネイビー」に宿る神秘を紐解いていきましょう。
■1:ネイビーのイメージの起源は軍服にあった
ネイビーを英和辞典で引くと、「海軍」という単語が真っ先に出てきます。私たちが色の名前として認識している「ネイビー」は、「ネイビーブルー」の略。色の語源は、イギリス海軍の濃紺の制服から生まれたそうです。特に王立海軍(ロイヤルネイビー)として認められていた時代は、海軍の制服を着た軍人の威厳や品格は相当だったはず。今も警察や学校の制服に「ネイビー」が多いのは、この色が与える凛としたイメージに、ぴったりとはまるからなのです。
【プルシャンブルー】江戸末期に欧州から輸入され、浮世絵師、葛飾北斎や歌川広重らも愛用(上写真)。
【インディゴ】(=藍色)。私たち日本人になじみ深い「ネイビー」。天然の藍(タデ科の植物)で染めた色を指す。
【フタロシアニンブルー】印刷物のベースとなる青(=シアン)。
【ウルトラマリン】天然顔料では、半貴石のラピスラズリが主成分。アフガニスタンから欧州まで遥か海を渡ってきたことから、ウルトラ(越える)マリン(海)と名付けられた。現在は安価な合成顔料が大半を占める。
■2:ネイビーは表情豊かな女らしさを演出する
「その色はブルーじゃない。ターコイズでもラピスでもない、セルリアンよ!」と、ブルーの色を見事に言い分けたのは、映画『プラダを着た悪魔』のファッション誌の編集長。思わずこの微細なブルーの違いを、調べた人も多いのではないでしょうか。
それほど今世界中にはブルーだけでも数多の種類が存在します。色彩学的には、「ネイビー」は、濃いブルーの総称。パントーン(色見本帳)を見ても、黒に近いものから赤みや緑がかった「ネイビー」まで、実に豊か。
そんな心浮き立つネイビーは、今季のファッションにも登場。自分に似合うネイビーと、必ず出合えるはずです!
■3:なぜネイビーが今も昔も気品を象徴するのか
高貴な色の象徴といえば、英国王室の公式カラー「ロイヤルブルー」に代表されます。エリザベスⅡ世とキャサリン妃がたびたび公式行事で見せる「ロイヤルブルー」は、本来の鮮やかなブルーから濃い「ネイビー」まで、幅広く見ることができます。これらの色を高みにあげたのは、ルネッサンス期にラファエロも描いた聖母マリアのブルーの衣装に答えがありました。当時のブルーの主成分は、高価なラピスラズリ。一部の特権階級の人にしか許されなかった歴史的背景から、ブルー全般の価値は、特別になっていったのです。
■4:フェミニンマリンのお手本はフレンチシネマ
マリンルックの立役者は、ほかならぬマドモアゼル シャネルです。フランスの高級リゾートで見た、フランス海軍の制服から着想したというボーダーカットソーは、またたく間にファッション界を席巻しました。そんなマリンルックのアイコンといえば、フランス映画界のミューズ、ブリジット・バルドーと、ジーン・セバーグ。特に映画『軽蔑』でブリジット・バルドーが魅せた、ネイビーのカーディガンにカジュアルなボーダーカットソーを合わせた小粋なフレンチシックは、半世紀以上経った今見ても、新鮮です。
以上、ネイビーの由来からファッションに与えた影響までお伝えしました。詳しくは「Precious」6月号に記載されているので、ぜひネイビーアイテムを取り入れるヒントにしてみてください。
※掲載した商品の価格は、すべて税抜きです。
※この情報はPrecious2017年6月号(5月7日発売)を再構成したものです。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 『Precious6月号』小学館、2017年
- クレジット :
- 【Precious2017年6月号掲載時スタッフ】撮影/小池紀行(パイルドライバー) スタイリスト/犬走比佐乃 構成/兼信実加子、喜多容子(Precious)