人生を重ねた大人の女性だからこそ見えてくる、豊かな暮らしとは?を、Precious編集部が総力取材。計7名のお宅を取材した中のふたりめは、モデル、歌手、デザイナーとして多方面で活躍する弥生さんの、東京とL.A.のご自宅をご紹介します。
モデル・歌手・デザイナー弥生さんの、東京⇔L.A.の2拠点ライフを拝見
「もともと、インテリアやデザイン、建築が大好きで、本や映画、旅先などで、独学で学んでいました」という弥生さん。3年ほど前から、東京とL.A.を行き来する2拠点ライフを送っています。
「今は、L.A.での暮らしがメイン。日本には仕事で帰ってくることが多いので、東京の家は"働く場所"として、機能性を重視したホテルライクな部屋にしました」(弥生さん)
弥生さんのHouse DATA
間取り…1LDK(東京)、4LDK+スタジオ(L.A.) 家族構成 …夫とふたり 住み始めて何年? …7か月(東京)、2年(L.A.)
「東京は働く場所だから、機能性重視でホテルライクに。」
閑静な住宅街のヴィンテージマンションを、フルリノベーション。自ら簡単な図面を引き、全体デザインやインテリアイメージ、建材サンプルの取り寄せ、工務店との細かなやりとりなどゼロからつくり上げました。
「仕事も食事も団らんも睡眠も、ひとつのスペースでのびやかに、でも機能的に暮らせる動線を考えました。家具は、使いやすくて美しい、デンマーク製が中心。こだわったのは、全体の色調と素材の組み合わせ。
壁や天井、床など、グレー×ベージュトーンに統一しました。モダンでありながら、温もりのある空間にしたかったんです」(弥生さん)
■1:壁をなくし、3LDKから1LDKに
壁を取り去り、3LDKから1LDKに。キッチン、ベンチコーナー、ベッドとゾーニングすることで機能的な空間が完成。
■2:部屋の中心のキッチンカウンターを置くことで人が集まりやすい場所に
大きなキッチンカウンターを部屋の中心に配置し、人が集まりやすい場所に。ハイチェアは、2脚をくっつけるとソファになる仕様。座りやすくどっしりとしたハイチェアを求めて、「キッチンハウス」で特注。
■3:椅子は使いやすくて美しいデンマーク製で統一
南向きの大きな窓沿いにしつらえたヘリンボーン柄の木製ベンチは、ゲストにも人気の場所。アンティークショップで見つけた黒いソファは、60年前のもの。椅子は「フリッツ・ハンセン」で統一。
「L.A.は、趣味を追求したミッドセンチュリースタイルで」
L.A.の邸宅は、ミッドセンチュリースタイル。「建築好き、インテリア好きにはたまらない歴史あるこの家で、大自然を満喫しています」(弥生さん)
■1:20世紀半ばのアメリカ近代建築の重要建築物に住まう
なんとこちら、建築好き垂涎の"ケーススタディハウス"の1軒、著名建築家・ロドニー・ウォーカーが1949年に手がけた家! 20世紀半ばのアメリカ近代建築の重要建築物です。
「ただ、70年前の建物ですから、メンテナンスは必須。夫と一緒に少しずつ直して使っていますが、その時間も楽しく愛しい時間です」(弥生さん)
■2:住むことで建築を身体で学ぶ
デザインも家具もきりりと直線的なのは、ミッドセンチュリー建築の特徴のひとつ。色調は、鮮やかなオレンジや青がよく合うそうです。
大きな木の絵画は、メキシコの若手アーティストの作品。力強さと生命力に惹かれ、購入されたんだとか。
「夫も私もミッドセンチュリースタイルが大好きで、家を見て回る"ハウスハンティング"が趣味。
実際に住んでみると、当時の建築家の思考や大胆さ、デザインの美しさなどを実感できます。家具の配置や配色も勉強になることばかり。建築の教科書をそのまま体験しています」(弥生さん)
■3:その土地の気候がインテリアを決める
「L.A.の明るい日差しは、濃いめのダークブラウンがよく合います。同じ木材でも、日本の優しい日差しだと、濃い色は部屋全体が少し暗めな印象に。
土地の気候によってインテリアも違ってきます。たくさん旅をして実際に家やインテリア、人々の暮らしを見ると実感できます」(弥生さん)
■4:L.A.の自然とともに暮らす
「まだまだ理想のものはできない。暮らしながら、自分が心地よいと思う感覚と向き合い、家と一緒に進化していけば」
家は3回建てると理想のものができる、とよくいわれますが、これまで5、6軒デザインを手がけている弥生さんをもってしても「まだまだ理想のものはできない」とのこと。
「家は実際に住んでみないとわからないもの。いいと思った家具でも、光の具合などで見え方が変わってきます。完璧にやろうと思わないで、暮らしながら、自分が心地よいと思う感覚と向き合い、家と一緒に進化していけばいいと思います」(弥生さん)
弥生流、今すぐ取り入れられる暮らしのヒント
バスルームはタイル幅と色にこだわって
「広さや理想のイメージによって、ぴったりくるタイルの幅は違ってきます」と弥生さん。
日本のタイルは小さめのものが多く、実際に敷き詰めると目地(タイルとタイルの間をつなぐ素材)の細かさが際立つ場合も。
「バスルームではゆっくりくつろぎたいから、60cm幅の大きめなイタリアのタイルを使いました。また、色も日本のバスルームでは珍しい、シックなグレーを選択。家のトーンに合わせました」(弥生さん)
- PHOTO :
- 篠原宏明
- HAIR MAKE :
- 小田切ヒロ(ラ・ドンナ)
- EDIT&WRITING :
- 田中美保、古里典子(Precious)