美術館で優れたアートに触れると、感動と同時に、心地よい疲労感も生まれます。そんな心と体を優しく受け止めてくれるのが美術館のカフェ&レストラン。今では多くの美術館にオシャレな飲食施設があり、おいしいメニューの数々が用意されています。
今回はその中から、関東のオシャレなカフェ&レストランがある美術館を5つご紹介します。
【秋のおでかけ】アートとグルメが楽しめる、関東のオシャレなカフェがある美術館5選
■1:創造・発見・出会い・語らい、1つのレストランと3つのカフェがある「国立新美術館」(東京・六本木)
国立新美術館は、一般的な美術館と違って、コレクションを持たない美術館。国内最大級の展示スペースを生かした多彩な展覧会の開催、美術に関する情報や資料の収集・公開・提供、教育普及など、アートセンターとしての役割を果たす新しいタイプの美術館です。東京メトロ「乃木坂」駅に直結「六本木」駅からも徒歩4分と、アクセスがしやすい立地もうれしいですね。
展覧会にあわせた講演会やシンポジウムも
「美術」を介して人々がさまざまな価値観に触れる機会を提供する国立新美術館。展覧会にあわせた講演会やシンポジウム、ギャラリートークなど、アートを楽しみ、アートについて語りあう場も提供しています。
開催中・開催予定の企画展
「話しているのは誰? 現代美術に潜む文学」(~11月11日(月))、「カルティエ、時の結晶」(~12月16日(月))などが開催中です。
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ムッシュ ポール・ボキューズのフィロソフィーを受け継いだレストラン「ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ」
国立新美術館には、創造・発見・出会い・語らいをテーマとしたレストランが1つ、カフェが3つあります。レギュラーメニューのほかにも、季節や展覧会にあわせた特別メニューを展開している時期もあるので、訪れる楽しみが増えますね。
まずは、3Fにある創造をテーマとしたレストラン「ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ」をご紹介します。こちらは、世紀の料理人ポール・ボキューズ氏のフランス料理を気軽なスタイルで提供するブラッスリー。
各種コースやアラカルトメニューのほか、展覧会とのコラボレーションメニューも人気。美術館の閉館後も利用できます。逆円錐型の建物の上に広がるアーティスティックな空間も美術館ならでは。
空中のロンドで新たな発見をお茶と会話で楽しむ「サロン・ド・テ ロンド」
2Fにある発見をテーマとした「サロン・ド・テ ロンド」は、巨大な逆円すいの最上部に広がる、円形(ロンド:仏語)の洗練された空間。館内の展示を観た後の語らいにもふさわしい、クオリティとセンスの高さを感じさせてくれます。心ゆくまで、優雅なお茶のひとときを過ごせそうです。
波打ち際のさざめきを感じる、さまざまな人々でにぎわう出会いの場「カフェ コキーユ」
1Fにある出会いをテーマとした「カフェ コキーユ」は、貝(コキーユ:仏語)のように、波打つガラスのカーテンウォールに隣接したエントランスカフェ。天井高約21mのアトリウムと、目の前に広がるテラスの開放感が心地よいスペースで、待ち合わせにも最適です。
友人や家族と一緒に、食事をしながらくつろぐ語らいの場「カフェテリア カレ」
B1Fにある語らいをテーマとした「カフェテリア カレ」は、時間を選ばず、気軽に利用できるカフェテリア。広々とした四角い(カレ:仏語)空間には、さまざまな年代の方が楽しめるメニューが多数用意されています。
問い合わせ先
- 国立新美術館
- 開館時間/10:00〜18:00 ※金・土曜は20:00まで(7~9月の金・土曜は21:00まで)、入場はいずれも閉館の30分前まで
- 休館日/毎週火曜日(火・祝の時は翌平日休館)
- TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
- 住所/東京都港区六本木7-22-2
- ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ(国立新美術館 3F)
- 営業時間/ランチ:11:00~16:00(L.O.)、ディナー:16:00~21:00(19:30 L.O.)※金曜日は22:00(20:30 L.O.)まで
- 定休日/火曜日(祝日の場合は翌日に振替)
- TEL:03-5770-8161
- サロン・ド・テ ロンド(国立新美術館 2F)
- 営業時間/11:00~18:00(17:30 L.O.)※金曜日は19:00(18:30 L.O.)まで
- 定休日/火曜日(祝日の場合は翌日に振替)
- TEL:03-5770-8162
- カフェ コキーユ(国立新美術館 1F)
- 営業時間/10:00~18:00(17:55 L.O.)※金・土曜日は20:00(19:55 L.O.)まで
- 定休日/火曜日(祝日の場合は翌日に振替)
- TEL:03-5770-8164
- カフェテリア カレ(国立新美術館 B1F)
- 営業時間/11:00~18:00(17:30L.O.)※金曜日は19:00(18:30 L.O.)まで
- 定休日/火曜日(祝日の場合は翌日に振替)
- TEL:03-5770-8163
※12月4日~2020年3月16日まで「ブダペスト―ヨーロッパとハンガリーの美術400年」展が開催予定。館内4店舗で展覧会特別メニューを展開します。
■2:世界で最初の絵本美術館「ちひろ美術館・東京」(東京都練馬区)
東京の練馬区下石神井にある「ちひろ美術館・東京」。絵本画家いわさきちひろさんが最後の22年間を過ごし、数々の作品を生み出した自宅兼アトリエ跡に建てられています。
子どもたちが人生で初めて訪れる美術館「ファーストミュージアム」として、多くの人に親しんでもらうことを心がけ、親子で楽しめる展覧会やイベントを随時開催。赤ちゃんや小さいお子さんと一緒に、安心して過ごせる館内設備が整えられているのが特徴です。
子どもたちが人生で初めて訪れる美術館「ファーストミュージアム」
館内は「ファーストミュージアム」として数々の工夫が施されています。その代表例が、子どもも見やすい展示です。作品の中心は床から135cm、大人と子どもがともに作品を楽しめるよう展示されています。
もちろん、全館バリアフリーで、授乳室(流し台付個室)を完備。男性用化粧室を含む、すべての化粧室にベビーキープとベビーシートを設置。国内外の絵本約3000冊をそろえた「図書室」や、あかちゃんや小さい子ども向けの絵本を楽しんだり、木や布のおもちゃで遊ぶことのできる「こどものへや」もあります。
開催中・開催予定の展示展
「「ちひろさんの子どもたち」谷川俊太郎×トラフ建築設計事務所」(~10月27日(日))、「石内都展 都とちひろ ふたりの女の物語」(2019年11月1日(金)~2020年1月31日(金))などが開催中、開催予定です。
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おいしくて体にもやさしいメニューと絵本のある「絵本カフェ」
絵本を楽しみながら、ゆったりとした時間を過ごすことができる絵本カフェ。季節のスイーツ、やさしい味わいのスープ、ノンカフェインのドリンクなど、心も体もほっとするメニューがそろえられています。
できるだけオーガニック・無添加の食材を取り入れて、安心安全なメニューづくりを心がけているのだそう。
いわさきちひろさんが大好きだったババロアを再現!
おすすめは、いわさきちひろさんが大好きだった「新宿 すずや」のいちごのババロアを、60年前のレシピをもとに「上井草カランドリエ」のパティシエ指田さんが再現した、ちひろさんゆかりのメニュー「いちごのババロア」。木曜日~週末限定のメニューです(曜日変更有)。また、スコーンやシフォンケーキも人気のスイーツです。
本場のおやき季節のスープも
スイーツのほかにも、ちひろさんの心のふるさと、信州・安曇野から取り寄せた本場のおやきもおすすめです。体にやさしいスープと併せて、心と体をほっこりと温めてみませんか?
問い合わせ先
- ちひろ美術館・東京
- 開館時間/10:00~17:00(最終入館16:30)
- 休館日/月曜日(祝休日は開館、翌平日休館)、年末年始、冬期休館(2月1日~2月末日)、展示替えのための臨時休館あり ※GW・8月10日~20日は無休
- TEL:03-3995-0612/テレフォンガイド:03-3995-3001
- 住所/東京都練馬区下石神井4-7-2
- ※カフェ、ショップの利用は来館者に限る
■3:現代美術と展覧会のイメージケーキを堪能できる
「ハラ ミュージアム アーク」(群馬県渋川市)
ハラ ミュージアム アークは、東京・品川にある原美術館の別館として1988年、榛名山麓の高原にある群馬県渋川市に開館した美術館。著名な建築家・磯崎 新氏の設計による、黒い色調で統一されたシャープなフォルムのミュージアムは、周囲の豊かな緑の中で際立っています。
また、ハラ ミュージアム アークには、豊かな緑が美しい広い敷地を生かして、アンディ ウォーホル、オラファー エリアソン、ジャン=ミシェル オトニエルなど内外のアーティストによる屋外常設展示作品が設置されています。
ギャラリー内にも、草間彌生と束芋の大型インスタレーションを、ほぼ常設作品として長期展示しています。
開催中の展覧会
「加藤泉 – LIKE A ROLLING SNOWBALL」(~2020年1月13日(月・祝))、「磯崎新 觀海庵 縁起」(~2019年10月23日(水))などが開催中です。
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美術館の前庭と赤城山を望むテラスでくつろげる「カフェ ダール」
自然のゆったりした景色が楽しめることで人気の「カフェ ダール」。こちらでは、特製サンドイッチや地元の食材を使ったランチメニューなどがいただけます。人気メニューのアイスクリームには、榛名山麓の農家で大切に育てられた牛から絞った新鮮な牛乳が使われているのもうれしいですね。
展覧会のイメージに合わせて作られる「イメージケーキ」
展覧会のイメージにあわせて制作する期間限定のイメージケーキ。味覚と視覚でアートを楽しめるデザートは、展覧会鑑賞後のもうひとつの楽しみになります。草間彌生さんの作品をモチーフにしたケーキ「ミラールーム(かぼちゃ)」はなんともフォトジェニック!
※ カフェ ダールの利用は、ハラ ミュージアム アークへの入館料が必要です。(一般1,100円)
問い合わせ先
- ハラ ミュージアム アーク
- 開館時間/9:30-16:30(入館は閉館時刻の30分前まで) 毎週日曜日には開架式収蔵庫ツアーを実施(14:30より約1時間/要予約、中学生以上対象)
- 休館日/木曜日(祝日と8月を除く)、展示替え期間、1月1日、冬季(1月中旬~3月中旬)
- TEL:0279-24-6585
- 入館料/一般 ¥1,100、大高生 ¥700、小中生 ¥500
- 住所/群馬県渋川市金井 2855-1
■4:美術館ならではのデザートが楽しめる「ポーラ美術館」(神奈川県足柄下郡箱根町)
ポーラ美術館は、ポーラ創業家2代目の鈴木常司氏が40数年間にわたって収集した西洋絵画、日本の洋画、日本画、版画、東洋陶磁、ガラス工芸、古今東西の化粧道具など、総数1万点にのぼるコレクションを収蔵しています。
「箱根の自然と美術の共生」をコンセプトに掲げた建物は、箱根の自然と景観に配慮し、高さを地上8mにおさえて建物の多くを地下に置き、森に溶け込むような形になっています。
心が再生する場所・箱根で、画家と感動を共有する
東京から約1時間半。都会からのエスケープを楽しめる箱根にあるポーラ美術館は、画家たちの思いを体感できる場所です。優れた作品と、美しい緑の自然、そして光に満ちあふれた建築空間が織りなす、美の世界を楽しむことができます。
開催中・開催予定の展示会
「「シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート」」(~2019年12月1日(日))、「シュルレアリスムと絵画 ―ダリ、エルンストと日本の「シュール」」(2019年12月15日(日)~2020年4月5日(日))などが開催中、開催予定です。
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白で統一されたインテリアが印象的な「レストラン アレイ」
窓の外には小塚山の眺望が広がる中、ゆったりとした空間で季節感あふれる欧風料理が楽しめます。選べるランチコースメニューやカレー、パスタなどの一品料理などのほか、開催中の企画展にリンクした限定メニューもおすすめです。
デザートは、モネの代表作「睡蓮」に見立てたジュレがおすすめ
「レストラン アレイ」では、まるで印象派の作品のようなデザートもおすすめ。「睡蓮」はクロード・モネの代表作「睡蓮」に見立てた、フルーツとエディブルフラワーを浮かべたライチのジュレ。「パレット」は美術館ならではのパレットに見立てた器に、リンゴのタルトとアイスクリームを盛り込み、数種のソースとフルーツで仕上げた、デザートプレートです。
自然の光がふりそそぐ、明るくすがすがしい「カフェ チューン」
展覧会鑑賞の合間に気軽に立ち寄れる「カフェ チューン」では、ドリンクやケーキ、軽食などが提供されています。箱根の爽やかな緑が素敵なひとときをより引き立ててくれる、くつろぎの場所です。
問い合わせ先
- ポーラ美術館
- 開館時間/9:00〜17:00(入館は16:30まで)
- 休館日/年中無休(ただし展示替のための臨時休館あり)
- TEL:0460-84-2111
- 住所/神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285
■5:日本有数の美術品を江戸の中心地で楽しむ「三井記念美術館」(東京都中央区)
三井記念美術館は、多数の日本・東洋の優れた美術品を収蔵していた三井文庫別館(東京都中野区)が、三井家および三井グループに縁の深い日本橋に移転し、平成17年(2005年)10月に開設された新しい美術館です。
収蔵されている美術品は、江戸時代以来約350年におよぶ三井家の歴史のなかで収集され、今日まで伝えられた、日本でも有数の貴重な文化遺産たちばかり。
交通至便な日本橋、超高層ビル日本橋三井タワーに隣接
江戸東京の中心地であり、交通の便も良い日本橋にあることも、「三井記念美術館」の大きな特徴。2005年7月に竣工した日本橋三井タワーの1階アトリウムが美術館の入口となり、美術館自体は国の重要文化財・三井本館(昭和4年竣工)の7Fに設置されています。
入る前に三井本館の重厚な建築様式を見て、超高層ビルの入口から展示室に導かれるという体験が楽しめます。
所蔵されている美術品は、約4000点。茶道具を中心に、絵画、書跡、刀剣、能面、能装束、調度品など多岐にわたり、国宝が6点、重要文化財が75点あります。絵画は、円山応挙の代表作 国宝「雪松図屏風」を筆頭に、円山・四条派の作品が比較的多く、三井家が積極的に応挙を庇護していた関係性も伺えます。
開催中・開催予定の展覧会
「特別展 茶の湯の名碗「高麗茶碗」」(~2019年12月1日(日))が開催中、次回展は「国宝 雪松図と明治天皇への献茶」(2019年12月14日(土)~2020年1月30日(木))などが開催予定です。
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シンプルで落ち着いたミュージアムカフェで、鑑賞の余韻を深める
エントランスホールから展示前室、そして7つある展示室を見て回った後は、ミュージアムカフェで鑑賞の余韻を深めましょう。心地よい興奮が上品な味とともに全身に染みわたっていきます。ミュージアムカフェのみの利用も可能です。
日本の美を楽しんだ後は、日本が生んだデザートを
日本有数の美術品を楽しんだあとは、ミュージアムカフェで日本が誇る和のデザートを。他にも、季節の御膳、麺類なども楽しめます。
問い合わせ先
- 三井記念美術館
- 開館時間/10:00〜17:00(入館は16:30まで。カフェのL.O.は16:40)
- 休館日/月曜日 ※その他臨時休業あり
- TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
- 入場料/一般 ¥1,000、大学・高校生 ¥500、中学生以下無料(特別展は別途)
- 住所/東京都中央区日本橋室町2-1-1 三井本館7F(入り口は日本橋三井タワー1Fアトリウム)
- アクセス/メトロリンク日本橋(無料巡回バス)乗降所「三井記念美術館」徒歩1分、東京メトロ銀座線 三越前駅【A7出口】より徒歩1分、東京メトロ半蔵門線 三越前駅徒歩3分【A7出口】より徒歩1分、東京メトロ銀座線・東西線 日本橋駅【B9出口】より徒歩4分、都営浅草線 日本橋駅徒歩6分【B9出口】より徒歩4分、JR東京駅【日本橋口】より徒歩7分、JR神田駅より徒歩6分、JR総武快速線 新日本橋駅より徒歩4分
目と舌と、アートとグルメを両方で味わう、カフェのある美術館の楽しみ
今回は、「国立新美術館」(東京・六本木)の「ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ」、「サロン・ド・テ ロンド」、「カフェ コキーユ」、「カフェテリア カレ」、「ちひろ美術館・東京」(東京都練馬区)の「絵本カフェ」、「ハラ ミュージアム アーク」(群馬県渋川市)の「カフェ ダール」、「ポーラ美術館」(神奈川県足柄下郡箱根町)の「レストラン アレイ」、「カフェ チューン」、「三井記念美術館」(東京都中央区)のミュージアムカフェをご紹介しました。
この記事を参考に、ぜひ秋のおでかけに足を運んでみてください。目で美術品を味わい、舌でおいしいグルメを味わう。そんな豊かなひとときをどうぞ。
- TEXT :
- Precious.jp編集部