千年の都・京都、咲き誇る花のようと歌われた古都・奈良。古くから都が置かれた関西には文化財が多く、さまざまな博物館があります。1000年以上の文化財を守る博物館から、「コーヒー」や「赤れんが」をテーマにした珍しい博物館まで、オシャレなカフェがある関西の博物館5つをピックアップしました。
【ミュージアムカフェ】文化財からコーヒーやレンガまで、グルメ&レストランが楽しめる関西の博物館5選
■1:京都に伝わる「宝物」の保護が起源「京都国立博物館」(京都府京都市)
京都国立博物館は1897年(明治30年)に開館。京都に伝わる美術作品や文化財、また日本・東洋の古美術品や埋蔵文化財などを収蔵しています。また、考古遺物、陶磁器、仏像を中心とする彫刻作品や、古代から近世にかけての絵画・書跡・染織・漆工・金工などの美術工芸品などの展示が行われています。
建物自体が重要文化財の明治古都館と、平成知新館のコントラスト
明治古都館は、博物館のシンボルともいえるレンガ造りの建物。国の重要文化財に指定していされています。また同じく正門も、重要文化財に指定されています。
一方、平成知新館はニューヨーク近代美術館・新館などを手がけた建築家・谷口吉生氏によるものです。
開催予定の特別展
特別展「流転100年 佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美」(2019年10月12日 ~ 2019年11月24日)が開催予定です。36人の優れた和歌の詠み人「歌仙」を描く、鎌倉時代の名品「佐竹本三十六歌仙絵」は、大正8年(1919)に一歌仙ずつ分割され、別々の所有者のもとに秘蔵されました。本展は、離ればなれとなった断簡が、展覧会としては過去最大となる規模で集められています。
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明治古都館やロダンの「考える人」がある庭園を眺められる「前田珈琲 京博店」
平成知新館の1階にあるカフェ「前田珈琲 京博店」からは、重要文化財の明治古都館ロダン作「考える人」がある庭園の眺めがよく、ゆっくりくつろぎながら、時間を過ごすことができます。
いただけるのは、こだわりの自家焙煎コーヒー、サンドイッチやパスタ、本店のケーキ工房で毎日手作りするケーキやパフェ・焼き菓子などのスイーツ、京博限定メニューなど。店舗利用に入館券は不要なので、気軽に立ち寄ることができます。
コーヒーからスイーツ、軽食まで楽しめる
前田珈琲 京博店では、おいしいコーヒーはもちろん、パフェやフレンチトースト、スパゲッティ、サンドイッチなどがいただけます。
問い合わせ先
- 京都国立博物館
- 開館時間/9:30〜17:00(入館時間は16:30まで)、庭園のみ開館期間は10月10日(木)まで
- 休館日/毎週月曜日、10月11日(2019年のみ)、年末年始 ※ただし、月曜日が祝日・休日となる場合は開館し、翌火曜日を休館とする
- TEL:075-525-2473(テレホンサービス)
- 住所/京都市東山区茶屋町527
- 前田珈琲 文博店
- 営業時間/10:00~19:30(LO19:00)
- 店休日/月曜日 ※月曜が祝日休日の場合、火曜日
- TEL:075-255-1221
■2:京都の歴史と文化を紹介する総合的な文化拠点「京都文化博物館」(京都府京都市)
昭和63年(1988)、京都の歴史と文化をわかりやすく紹介する、総合的な文化拠点として開館した「京都文化博物館」。代表的な近代洋風建築として、重要文化財の指定を受けた「旧日本銀行京都支店」という明治の名建築が別館としてランドマークとなり、京都に関わる文化芸術を楽しむことができます。
総合展示では「京の歴史」「京のまつり」「京の至宝と文化」を紹介
さまざまな特別展のほか、総合展として、有名な「祇園祭」の懸装品など貴重な品々を展示するなど、京都文化を多面的かつユニークな視点で紹介。フィルムシアターでは、京都府所蔵の名画を上映しています。
三条高倉という、まさに京都の中心地で京都文化に親しめる博物館です。ほかにも、江戸時代末期の京の町家の表構えを再現したろうじ店舗など、見どころが満載です。
開催予定の特別展
「みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ―線の魔術」(2019年10月12日(土)~2020年1月13日(月・祝))が開催予定。アール・ヌーヴォーを代表する芸術家アルフォンス・ミュシャ。時代を超えて愛される画家の秘密をひも解く、これまでにない展覧会です。
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カフェ「前田珈琲 文博店」は旧日本銀行京都支店の金庫の中!
京都文化博物館別館 旧日本銀行京都支店の金庫室にある「前田珈琲 文博店」。重たげな照明や分厚い扉が金庫室の面影を物語ります。歴史ある由緒正しいレトロな雰囲気の建物で、至福の一時を過ごすことができます。
京都人に愛されてきた定番メニューを味わう
京都の中心部・烏丸にある本店をはじめ、京都文化博物館、二条城内、高台寺など、現在京都市内に8店舗を構える前田珈琲。「前田珈琲 文博店」でも、京都人に愛されてきた数々のメニューが楽しめます。開店以来、前田珈琲の顔とも言える「龍之助(スペシャルブレンド)」はもちろん、エスプレッソやカフェラテなどのドリンクや各種スイーツ、カレーやサンドイッチなどのフードがいただけます。中でも、「クロワッサンサンド」は根強い人気を誇っているのだとか。
問い合わせ先
- 京都文化博物館
- 開館時間/総合展示10:00〜19:30(入場は19:00まで)、特別展10:00〜18:00(毎週金曜日は19時30分まで延長。入場は30分前まで)、別館10:00〜19:30(各種イベント時は別)
- 休館日/月曜日(祝日は開館、翌日休館)、12月28日~1月3日
- TEL:075-222-0888
- 住所/京都市中京区三条高倉
- 京都文化博物館
- 開館時間/総合展示10:00〜19:30(入場は19:00まで)、特別展10:00〜18:00(毎週金曜日は19時30分まで延長。入場は30分前まで)、別館10:00〜19:30(各種イベント時は別)
- 休館日/月曜日(祝日は開館、翌日休館)、12月28日~1月3日
- TEL:075-222-0888
- 住所/京都市中京区三条高倉
■3:仏教との関わりの深い品々を収集した「奈良国立博物館」(奈良県奈良市)
特に仏教と関わりの深い古美術品や、考古遺品などを収集している「奈良国立博物館」。中心となる「なら仏像館」のほか、「青銅器館」「東新館・西新館」「地下回廊」「仏教美術資料研究センター」などの施設が東大寺、興福寺、春日大社などに囲まれた奈良公園の一角にあります。
仏像の展示は国内の博物館では、もっとも充実!
シルクロードの終着点と言われる奈良にある奈良国立博物館は、仏教美術の殿堂。また毎年「正倉院展」が開催されることでも知られています。
中心施設である「なら仏像館」には、飛鳥時代から鎌倉時代にいたる日本の仏像が常時100体近く展示されています。中庭にある八窓庵は、もとは興福寺にあった茶室を移設したものです。
開催予定の特別展・特別陳列
特別展「御即位記念 第71回 正倉院展」(2019年10月26日(土)~11月14日(木))、特別陳列「おん祭と春日信仰の美術〔特集〕春日大社にまつわる絵師たち」と「重要文化財 法隆寺金堂壁画写真ガラス原板―文化財写真の軌跡―」(ともに、2019年12月7日(土)~2020年1月13日(月・祝))などが開催予定です。
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全長150mの地下回廊にあるカフェ「葉風泰夢(ハーフタイム)」
「なら仏像館」と「東新館・西新館」を結ぶ全長150mの連絡通路は、観覧者でなくても自由に入ることができる無料ゾーン。カフェ「葉風泰夢(ハーフタイム)」はこの地下回廊にあります。
古都・奈良で愛され続ける老舗中国料理店「桃谷樓(とうこくろう)」が運営する同カフェでは、ドリンクやフードはもちろん、各種スイーツも楽しめます。
問い合わせ先
- 奈良国立博物館
- 開館時間/9:30〜17:00(金・土9:30〜20:00)
- 休館日/毎週月曜日(休日の場合はその翌日。連休の場合は終了後の翌日)、1月1日、臨時に休館日の変更あり
- TEL:050-5542-8600(ハローダイヤル)
- 住所/奈良市登大路町50番地
- 葉風泰夢(ハーフタイム)
- 営業時間/10:00~17:00(ラストオーダー16:30) ※博物館の開館時間に応じて異なる
- 定休日/月曜日(休日の場合はその翌日、連休の場合は終了後の翌日) ※博物館の休館日に応じて異なる
- TEL:0742-22-1673
■4:日本で唯一のコーヒー専門の博物館「UCCコーヒー博物館」(兵庫県神戸市)
「コーヒーの素晴らしさを一人でも多くの人に伝えたい」。創業者・上島忠雄氏の熱い想いを実現するために、1987年10月1日(コーヒーの日)に創業の地である神戸に誕生したのが、世にも珍しいコーヒー専門の博物館「UCCコーヒー博物館」。
コーヒーの本格的な博物館は、日本でこちらだけ。館内に置かれた植物はすべてコーヒーの木。椅子や壁、床などにもコーヒー豆やコーヒーの木のモチーフが隠されています。
2017年に開館30周年を迎えた「UCCコーヒー博物館」
UCCコーヒー博物館の前身は、1981年神戸ポートピア博覧会に出展したパビリオン「UCCコーヒー館」にまでさかのぼります。そして、去る2017年10月1日「国際コーヒーの日」に開館30周年を迎えました。
UCCコーヒー博物館では、コーヒーの歴史や文化をはじめ、コーヒーのいれ方、楽しみ方など、コーヒーが生み出す心豊かなくらしのヒントに繋がる情報が紹介されています。
開催中・開催予定のイベント・体験
UCCコーヒー博物館では、さらなるコーヒーの世界に触れてもらうために、「ブレンドコーヒーをつくってみよう」、「コーヒーとチョコレートの合わせ方」など、子どもやコーヒー初心者、さらにコーヒー通まで楽しめる、さまざまなプログラムも実施しています。
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喫茶室「UCCコーヒーロード」で、選りすぐりのスペシャルティコーヒーと出合う
「UCCコーヒーロード」は、博物館の中にある喫茶室。選び抜かれた豆の数々を、コーヒーを知り尽くしたプロが自ら焙煎、さらにスペシャリストがコーヒーの豊かな味わいを、余すところなく抽出しています。
またペーパードリップ、サイフォン、カフェプレスの3つの中から、好きな抽出器具を選ぶことも可能。20種類のアレンジコーヒーも楽しめる、コーヒー好きには堪らないカフェです。ちなみに、コーヒー豆は100g単位で購入可能。また、入館せず喫茶室のみでも利用できます。
3種スペシャルティコーヒー 飲み比べセットや、およそ20種類のアレンジコーヒー
直営農園のブルーマウンテンNo.1やハワイコナといったハイグレードなコーヒー、アフリカ、中南米などの生産地に出向いて厳選したスペシャルティコーヒー、さらにひしゃく型の器具で抽出するトルコ式コーヒーをはじめ、およそ20種類のアレンジコーヒーが楽しめます。
UCCのスペシャリストが監修した、絶妙なバランスのブレンドコーヒーも提供されています。
問い合わせ先
- UCCコーヒー博物館
- 開館時間/10:00~17:00(入館は16:30まで)
- 休館日/毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日)・年末年始
- TEL:078-302-8880
- 住所/神戸市中央区港島中町6-6-2
■5:日本最古級の本格的なれんが建造物が博物館に!「赤れんが博物館」(京都府舞鶴市「舞鶴赤れんがパーク」内)
舞鶴市は、海軍が建設した多くのれんが建造物が残る、街並みが美しい街。「舞鶴赤れんがパーク」内にある「赤れんが博物館」の建物は、明治36年(1903)に旧舞鶴海軍の魚雷の倉庫として建設されたもの。鉄骨とれんがを組み合わせた建築物としては、日本に今もある建物として最も古いものの中に入るといわれています。1993年、「れんが」をテーマにしたユニークな「赤れんが博物館」として生まれ変わりました。
世界のさまざまなれんが、れんが建造物がテーマのユニークな博物館
今も数多くの赤れんがの建造物が残る、舞鶴市内。そんなれんが建造物が持つ魅力と、その歴史を知ることができるのが「赤れんが博物館」です。ひとつひとつ集められた世界のれんが、れんがのつくり方、日本のれんがの歩みなどが展示されています。
あたたかさと、なつかしさがあふれる「舞鶴赤れんがパーク」
舞鶴市の北吸地区の赤れんが倉庫群は、全12棟のうち8棟が国の重要文化財に指定されるなど、日本でも有数の歴史的価値の高い、赤れんがの建築群です。これらの建物を利用し、平成2012年に舞鶴市の観光交流施設としてオープンしたのが、「舞鶴赤れんがパーク」です。
舞鶴市では、このような貴重な歴史的遺産を活用し、市民と行政が協働した「赤れんがを活かしたまちづくり」を長年育んできました。 あたたかさと、なつかしさがあふれるこれらの景観は、各方面から高い評価を受け、映画やドラマのロケ地としても頻繁に活用されています。
独自のレシピ帖「海軍割烹術参考書」を再現したグルメが楽しめる
舞鶴は海軍のまちとして急速に発展しましたが、旧海軍には独自のレシピ帖が幾つかありましたが、そのひとつに「海軍割烹術参考書」があります。これは、旧日本海軍が調理の担当隊員を育成するために編さんされた教科書であり、日本食から洋食・洋菓子まで、およそ200種類もの調理法が紹介されています。
ここ赤れんがパークでは、この参考書をもとに再現された料理など、海軍ゆかりのグルメが楽しめます。
2号棟(市政記念館)1階「Café Jazz(カフェ・ジャズ)」
総合受付前にある「Café Jazz(カフェ・ジャズ)」では、「海軍カレー」や、肉じゃが発祥の地と言われる舞鶴ならではの「肉じゃが丼」、文明開化と共に広まった牛肉メニューに因んだ「海軍ビーフカツレツ」が人気。ほかにも、「海軍ロール」や「れんがパウンドケーキ」といったカフェメニューも充実しています。
5号棟(赤れんがイベントホール)1階「5号棟カフェ」
赤れんがパークの中でも最も大きな施設である、5号棟のスケール感を肌で感じながら、食事や喫茶が楽しむことができます。海上自衛隊の護衛艦艦内で供出されるカレーを再現した「舞鶴海自カレー」のうち、「ふゆづき」のレシピを完全再現したカレーがNo.1人気です。
海側芝生広場「ブリックハウス Hungry」
リニューアルオープンした海側芝生広場にある「ブリックハウス」では、新鮮な魚の生のすり身を揚げた、ヘルシーな舞鶴名物 「舞鶴天ぷら」や「舞鶴天バーガー」に加えて、新たなランチメニュー「海軍チキンライス」が販売されています。
問い合わせ先
- 赤れんが博物館
- 開館時間/9:00~17:00(入館は16:30まで)
- 休館日/年末年始(12月29日〜1月1日)
- TEL:0773-66-1095
- 住所/京都府舞鶴市字浜2011番地
- 舞鶴赤れんがパーク
- 営業時間/9:00〜17:00 (ただし、夜間に賃館利用のある場合は最長22:00まで)、「Café Jazz(カフェ・ジャズ)」10:00~19:00、「5号棟カフェ」11:00~15:00、「ブリックハウス Hungry」10:00~15:00(土日祝日は16:00まで)
- 休館日/12月29日 〜 翌年の1月1日 (設備の保守点検整備又は施設工事により休館の可能性あり)、「Café Jazz(カフェ・ジャズ)」不定期、「5号棟カフェ」毎週火曜日、水曜日、「ブリックハウス Hungry」不定期
- TEL:0773-66-1096、「Café Jazz(カフェ・ジャズ)」0773-63-7177
- 住所/京都府舞鶴市字北吸1039番地の2
歴史と個性がたっぷり!関西のミュージアムカフェは楽しくておいしい
今回は、「京都国立博物館」(京都府京都市)の「前田珈琲 京博店」、「京都文化博物館」(京都府京都市)の「前田珈琲 文博店」、「奈良国立博物館」(奈良県奈良市)のカフェ「葉風泰夢(ハーフタイム)」、「UCCコーヒー博物館」(兵庫県神戸市)の喫茶室「UCCコーヒーロード」、「赤れんが博物館」(京都府舞鶴市「舞鶴赤れんがパーク」内)の「Café Jazz(カフェ・ジャズ)」、「5号棟カフェ」、「ブリックハウス Hungry」をご紹介しました。
京都、奈良、神戸と、関西の博物館には個性豊かなミュージアムカフェ&レストランがあります。この秋は、ぜひ関西の博物館にまで足を伸ばしてみてはいかがでしょうか?
- TEXT :
- Precious.jp編集部