メンズプレシャスが提唱してきたジェントルマンのスタイルは、いたずらに華美を追求せず、クラシックの流儀に忠実な人物像。つまりはアンダーステートメントな振る舞いと目立ちすぎない服装術が基本である。よって、派手なリングや、ブレスレット、ネックレスなど、昨今流行の「強め」なアクセサリーは紹介していない。地味ではあるけれど、結婚指輪もまた、どんなに服装に気を使っても画竜点睛を欠くが如くに、完璧なる服装を凡庸なスタイルに変貌させてしまう、男の頸城(くびき)ともいえるもの。そもそも、細君への愛情はリングの有無で量られるものだったろうか?
いっぽう、ジェントルマンの伝統的な装身具も、確かに存在する。それは懐中時計、カフリンクス、タイバーの3つ。これらはすでにオースドスタイルな装身具として、ファッションの世界ではそれほど顧みられていない。だが、これらのクラシックなアクセサリーこそ、紳士を紳士たらしめる、アンダーステートメントな魅力を備えているのだ。
だから、カフリンクスやブレイシーズ、タイバーに時計といった小物にこそ、繊細な美意識を生かすべきだ。「神は細部に宿る」と言ったのは、ドイツの有名建築家。大人の男は、小物にまで自身の哲学を投影しなければ、スタイルのある男らしさは表現できない。
ジャケットのそで口からわずかにのぞくカフリンクス、ベストからそっと取り出す懐中時計などから、一瞬にして持つ者の嗜好が露わになるもの。ここでは持てば好感度がアップするメンズアクセサリーを紹介する。
小さなパーツに気を配り好感度アップ!
ベストに忍ばせる知的で美意識の高い男のアクセサリー
エドワード7世しかり、ウィンストン・チャーチルしかり、知的な男らしさとは、ベストから懐中時計を取り出す仕草にもある。チェーンに付けた時計は、1887年製の「エルジン」。繊細な針の形状などから、職人技がにじみ出る。
そで口に驚きを与える唯一無二の素材とデザイン
稀少なカフリンクスのデザイン展開で世界から注目を集める「タテオシアン」。18金のブリッジでラピスラズリを固定した逸品だ。丸く削り出したラピスラズリの表面に、繊細なブルーのグラデーションが見られ、実に幻想的な表情を湛えている。
より華麗にタイを魅せる太幅の強烈なタイバー
デュポンライターのアイコン的なデザイン、「ダイヤモンド・ヘッド」と呼ばれる、立体的なジオメトリックパターンをタイバーに施す。真鍮にパラジウム加工を施し、堅牢かつ煌びやかに仕上げた。胸元のアクセサリーもこれで万全だ。
ハードボイルドを構成するに必要なアイテムは、ここで紹介した時計、カフリンクス、タイバーの3つ。好感度をあげたいなら是非とも手に入れていただきたい。
※価格はすべて税抜です。※価格は2016年秋号掲載時の情報です。
- TEXT :
- 矢部克已 エグゼクティブファッションエディター
- BY :
- MEN'S Precious2016年秋号〝ハードボイルド〞アイテムに回帰せよより
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- クレジット :
- 撮影/熊澤 透(人物)、唐澤光也(パイルドライバー/静物) スタイリスト/村上忠正 ヘア&メーク/MASAYUKI (the VOICE) モデル/Yaron 構成・文/矢部克已(UFFIZI MEDIA)