メンズプレシャスが提唱してきたジェントルマンのスタイルは、いたずらに華美を追求せず、クラシックの流儀に忠実な人物像。つまりはアンダーステートメントな振る舞いと目立ちすぎない服装術が基本である。よって、派手なリングや、ブレスレット、ネックレスなど、昨今流行の「強め」なアクセサリーは紹介していない。地味ではあるけれど、結婚指輪もまた、どんなに服装に気を使っても画竜点睛を欠くが如くに、完璧なる服装を凡庸なスタイルに変貌させてしまう、男の頸城(くびき)ともいえるもの。そもそも、細君への愛情はリングの有無で量られるものだったろうか?

いっぽう、ジェントルマンの伝統的な装身具も、確かに存在する。それは懐中時計、カフリンクス、タイバーの3つ。これらはすでにオースドスタイルな装身具として、ファッションの世界ではそれほど顧みられていない。だが、これらのクラシックなアクセサリーこそ、紳士を紳士たらしめる、アンダーステートメントな魅力を備えているのだ。

だから、カフリンクスやブレイシーズ、タイバーに時計といった小物にこそ、繊細な美意識を生かすべきだ。「神は細部に宿る」と言ったのは、ドイツの有名建築家。大人の男は、小物にまで自身の哲学を投影しなければ、スタイルのある男らしさは表現できない。

ジャケットのそで口からわずかにのぞくカフリンクス、ベストからそっと取り出す懐中時計などから、一瞬にして持つ者の嗜好が露わになるもの。ここでは持てば好感度がアップするメンズアクセサリーを紹介する。

小さなパーツに気を配り好感度アップ!

カフリンクス¥800,000(伊勢丹新宿店〈タテオシアン〉) ブレイシーズ¥10,000(ビームスF 新宿〈アルバート サーストン〉) タイ¥15,000(ビームスF新宿〈ジエレ〉) 時計¥3,900,000(パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター) シャツ¥36,000(ヴァルカナイズ・ロンドン〈ターンブル&アッサー〉

ベストに忍ばせる知的で美意識の高い男のアクセサリー

エドワード7世しかり、ウィンストン・チャーチルしかり、知的な男らしさとは、ベストから懐中時計を取り出す仕草にもある。チェーンに付けた時計は、1887年製の「エルジン」。繊細な針の形状などから、職人技がにじみ出る。

フォブ¥13,000・チェーン¥43,000・時計¥88,000(オールド&ニュー)

そで口に驚きを与える唯一無二の素材とデザイン

稀少なカフリンクスのデザイン展開で世界から注目を集める「タテオシアン」。18金のブリッジでラピスラズリを固定した逸品だ。丸く削り出したラピスラズリの表面に、繊細なブルーのグラデーションが見られ、実に幻想的な表情を湛えている。

¥600,000(伊勢丹新宿店〈タテオシアン〉)

より華麗にタイを魅せる太幅の強烈なタイバー

デュポンライターのアイコン的なデザイン、「ダイヤモンド・ヘッド」と呼ばれる、立体的なジオメトリックパターンをタイバーに施す。真鍮にパラジウム加工を施し、堅牢かつ煌びやかに仕上げた。胸元のアクセサリーもこれで万全だ。

¥30,000(エス・テー・デュポン 銀座ブティック)

ハードボイルドを構成するに必要なアイテムは、ここで紹介した時計、カフリンクス、タイバーの3つ。好感度をあげたいなら是非とも手に入れていただきたい。

※価格はすべて税抜です。※価格は2016年秋号掲載時の情報です。

この記事の執筆者
TEXT :
矢部克已 エグゼクティブファッションエディター
BY :
MEN'S Precious2016年秋号〝ハードボイルド〞アイテムに回帰せよより
ヴィットリオ矢部こと本誌エグゼクティブファッションエディター矢部克已。ファション、グルメ、アートなどすべてに精通する当代きってのイタリア快楽主義者。イタリア在住の経験を生かし、現地の工房やテーラー取材をはじめ、大学でイタリアファッションの講師を勤めるなど活躍は多岐にわたる。 “ヴィスコンティ”のペンを愛用。Twitterでは毎年開催されるピッティ・ウォモのレポートを配信。合わせてチェックされたし!
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クレジット :
撮影/熊澤 透(人物)、唐澤光也(パイルドライバー/静物) スタイリスト/村上忠正 ヘア&メーク/MASAYUKI (the VOICE) モデル/Yaron 構成・文/矢部克已(UFFIZI MEDIA)