「情報を制する者が、ビジネスを制する」といっても過言ではないこの時代。さまざまなツールを駆使して、情報収集に余念がないビジネス・パーソンは多いはず。

しかし、SNSやニュースアプリのチェックに日々忙殺されるばかりで、仕事にとってプラスになった試しがない、という心当たりはないでしょうか? 実は「情報収集のやり方が根本的にまちがっている」のが原因かもしれません。

ただやみくもに情報を集めるだけで、何も現状が変わらなければ、その情報収集にかけた時間や労力は、無駄同然。他方、情報をうまく活用して、ビジネスチャンス、キャリアアップにつなげたり、自分の収入・資産を増やすことに成功したりしている人は、どのような工夫をしているのでしょうか?

今回は、『億を稼ぐ勉強法』の著者でビジネス教育者の小林正弥さんに、仕事ができる人がやっている情報収集のコツについて教わりました。

知識メタボにならない!「仕事ができる人」がやっている情報収集のコツ4選

■1:専門フィルタを通して世界を見る

専門フィルタを通すと全てが学びに変わる
専門フィルタを通すと全てが学びに変わる

今は、スマホ1台あれば、誰もが簡単にあらゆる分野の知識を得ることが可能です。SNSやニュースアプリでは、情報が日々刻々と更新されています。

一見すると、便利な世の中になったようですが、小林さんによれば、情報にアクセスしやすい時代だからこそ、ただ知識を集めるだけで成果を出せない、「知識メタボ」な人は増えているとのことです。

では、単なる知識メタボな人と、情報から何かを生み出せる人とでは何が違うのか。小林さんは「仕事のできる人は専門フィルタを通して世界を見る」と主張します。

「たとえば、『マーケティング』という専門フィルタを持っていれば、プライベートで飲食店を利用した際にでも、そこのメニューから学びはあります。『松竹梅の3つのコースがあり、真ん中のコースが売れている→真ん中が売れやすいという価格のマジックがある→自分の営業でも、お客様に3つのコースを提案してみてはどうか』というような学びです。

専門フィルタがなければ、情報はすべて素通りしてしまいます。網を持たずに魚をとるようなもので、いくらSNSやニュースアプリをチェックしても、書物を読み漁っても、仕事に生かせる知識は一向に身につきません。他方で、専門フィルタをもてば、人生の全てが学びに変わるのです。

また、専門フィルタは1つではなく、複数持つことをおすすめします。というのも、1つの専門性しかないと、その分野での勝負が難しいからです。たとえば、マーケティングの専門家は世の中にたくさんいるので、いくらでも替えがききます。

他方、複数の専門フィルタがあると、『マーケティング×教育』、『教育×コミュニケーション』などの掛け算によって専門性の強化につながり、その人の希少価値が高まります」(小林さん)

情報収集のつもりで、ただ漫然とスマホを眺めているうちに、いつのまにか時間が経ってしまった、という経験はありませんか? 「何か面白い情報ないかな」という姿勢では、受け取った情報から何も価値を生み出すことはできません。まずは、自分の専門フィルタを設定しましょう。

■2:成功者に効果的な質問をする

自分のお手本に積極的に質問する
自分のお手本に積極的に質問する

ただ漠然と情報をかき集めることには、時間の無駄になるという以外に、もうひとつ弊害があります。それは、有害な情報に振り回されて、かえって成功が遠のいてしまうこと。

他方、仕事ができる人はどうやって有益な情報を集めているのかというと、小林さんによれば、成功者に効果的な質問をするのが最善だと主張します。

「知識やノウハウは豊富だけれど、結果が伴っていない人は世の中にたくさんいます。たとえば、やたらダイエット方法に詳しいけれど、太っている人。ビジネス書をたくさん読んでいるけれど、全く仕事ができない人などです。

そういう人に限って、リアルでもネット上でも、わけ知り顔でアドバイスを押し付けてくることはありますが、はっきり言って有害以外の何物でもありません。人は無意識のうちに結果の出ていない自分を正当化、擁護しようとして、『〇〇というダイエット方法は効果がない』とか、『起業なんて危ないよ』などと、成功にブレーキをかけるような呪いをかけてくるからです。

呪いをかけられそうになったら、心の中で『それはあなたにとっては、そうなんですね』と唱えて、相手の言葉を無力化してしまいましょう。

知識や情報は、誰が発しているのかが非常に重要です。ダイエットであれビジネスであれ、自分が何か目標を実現したいのであれば、既にその目標を達成している人からアドバイスをもらいましょう。

その際、おすすめの質問があります。それは、『〇〇さんが実現したことを、もしゼロから最速でやるとしたら何をどの順番でやればいいですか?』という質問です。

まぐれではなく、実力で成功した人であれば、成果を得るための正しい道筋を知っています。また、いい加減な気持ちではなく、本気で目標を達成したいという相手には、喜んで自分のノウハウをシェアしたいと考える成功者はたくさんいます。

自分の頭で考えられることは、過去の延長でしかありません。理想の未来にジャンプするためには、お手本となる人物(ロールモデル)から成功のルールを学びましょう」(小林さん)

たとえば、プロ野球・読売巨人軍の坂本勇人選手は、日本を代表する一流プレーヤーですが、自分の野球技術を向上させるためには、敵チームの選手や指導者にまで教えを乞うほどの「質問魔」として知られています。

「断られたらどうしよう」などと尻込みせず、自分から積極的に情報を取りにいきましょう。

■3:価値ある情報のためには、タダ働きも辞さない

本当に価値ある情報はタダ働きしてでも取りに行く
本当に価値ある情報はタダ働きしてでも取りに行く

自分にとって有益な情報を得るには、成功者に質問するのがベスト。とはいえ、「身近にそんなお手本となるような人物がいない」とか「質問したところで、気前よく教えてもらえるわけがない」と思った人も多いのでは?

そこで、思考停止し、無料で簡単に手に入る情報だけに甘んじていては、永久に凡人から抜け出せません。仕事のできる情報強者は、自分にとって必要な情報を得るための労力を惜しまないのです。

「ビジネスの基本は、価値と価値の交換です。自分にとっておいしい情報を何でもタダでもらおうとするのは、虫のよすぎる話かもしれません。ロールモデルからお金を生む知恵を得たいのであれば、相手にもメリットを提供する必要があります。

お金を払うのもひとつの手ですが、僕がイチ押ししている方法は、労働力の提供、つまりタダ働きです。たとえば、僕の場合、“本の売り方”について学びたい時期には、第一線で長く活躍している作家のもとで、彼のメルマガの代筆を行っていました。僕自身、もともと国語の成績が悪くて理系に進んだほどの人間ですが、そのタダ働きの経験が資産となり、ベストセラー本の出版という目標を実現するに至っています」(小林さん)

無料で簡単に手に入る情報には、それなりの価値しかありません。自分にとって本当に必要な情報は、タダ働きも辞さず主体的に取りに行きましょう。そのタダ働きから得た情報は、あなたに莫大な価値をもたらしてくれるはずです。

■4:インプット中心に行うのではなく、顧客のためのアウトプットを前提とする

アウトプットするほど情報が集まる
アウトプットするほど情報が集まる

「これはためになる!」という情報に出会った際、あなたはどのように処理していますか? 多くの人がやりがちなのは、書籍に付箋を貼ったりマーカーを引いたり、ウェブの情報であればブックマークしたりするという方法ですよね。

ところが、このように情報を自分のなかにためこもうとするばかりでは、知識メタボ一直線。有益な情報は、アウトプットしてこそ価値があると小林さんは主張します。

「いくら線を引いたり、ブックマークしたりしても、それを見返すことはほとんどないのではないでしょうか。

それよりも、ビジネスマンにとって、最強のインプット術は、顧客のための知的コンシェルジュを目指すこと。知的コンシェルジュとは僕の造語で、『お客様のあらゆる悩み、質問に答えられるような存在』です。

ためになる情報は出し惜しみせず、あなたの顧客に話したり、ブログやSNSで発信したりなど、どんどんアウトプットしましょう。『お客様と会うときは、役立つ情報を最低1つは提案する』などアウトプットを義務化すると、情報収集は必然になり、その質も量も飛躍的に向上します。

その理由は次の2つ。まず、ただ情報を受け取るだけでなく、それを自分の言葉に変えて発信することによって、知識が血肉化します。

また、人は誰かからプレゼントをもらうと、お返しをしたくなるもの。もし、あなたの身近に会うたびに耳寄りな情報を提供してくれる人がいれば、自分も何か情報をキャッチした際『そうだ、あの人に教えてあげよう』となりませんか? こうした返報性の法則が働くことにより、価値ある情報を発信すればするほど、その人のもとにますます情報が集まってくるのです」(小林さん)

インプットの精度を高めるために、アウトプットを前提にするというのは目からウロコの視点ですね。まずは、SNSでほんの一言つぶやくだけでもいいので、顧客のためのアウトプットの習慣を始めましょう。

情報が氾濫する時代だからこそ、それとどう向き合い、いかに活用していくかが、あなたのキャリアを大きく左右します。ただ時間と労力を浪費するだけの無駄な方法からは脱却し、真の情報強者を目指しましょう。

億を稼ぐ勉強法
小林正弥さん
ビジネス教育者
(こばやし まさや)(株)教育スクールビジネス研究所代表取締役。1983年埼玉県生まれ。2006年早稲田大学理工学部卒。25歳で独立したものの全く稼げず、時給900円の日雇いバイトを経験。家族の治療費のため、自分を最高値で売ることを決意し、1ヶ月後に毎月210万円の報酬が得られるようになる。その後、自分を商品にして1億円プレイヤーとなる。「本業で結果を出して稼ぎ、結果の出し方を人に教えて稼ぐ」、ダブルインカムの手法を実践する「新・講座型ビジネス実践会」を主宰。「才能をお金に換える専門家」と呼ばれ、年間3,000万円、1億円稼ぐクライアントもいる。著書に『自分を最高値で売る方法』、『億を稼ぐ勉強法』がある。
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
WRITING :
中田綾美