新宿の閑静な住宅街に突如現れる石造りの重厚な建物。現代アートギャラリー「アートコンプレックス センター」の1Fにあるのがスリランカ料理と紅茶の店「バンダラランカ」です。ヨーロッパのお屋敷を訪れたような非現実を感じられ、入店前から期待が高まります。
店主のLKMJ バンダラさんと奥様が2018年10月にオープン。平日の昼間にも関わらず予約席が多く、オープン直後から続々とお客さんが来店していました。
開店から1年とちょっとで人気店へと成長した「バンダラランカ」の魅力を詳しくレポートします。
30種類〜40種類のスパイスを贅沢に使用したスリランカ料理を堪能できる「バンダラランカ」の魅力
■1:スリランカの家庭料理をブッフェ形式で味わえる
「様々なスリランカ料理を味わってほしい」というバンダラさんの意向から、ランチはブッフェスタイルに。カレーをはじめとする12品の中から好きなだけいただけます。メニューには30種類〜40種類のスパイスが使われているそうです。
スリランカカレーの特徴は、ココナッツミルクを使っていて、油が少なくさらりとしていること。野菜を多く使用しているため、とてもヘルシーです。
メニューは日替わりですが、ハラルフードのチキンカレーは必ず入っています。チキンカレーは特にスパイシーなため、辛いものが好きな方にはぜひ食べてほしいとのことです。
入荷状況によっては、スリランカの野菜を使ったメニューも食べられます。この日はタピオカの元となるマンニョッカ(キャッサバ芋)と葉物のムクヌウェンナが入荷。マンニョッカはカレーに、ムクヌウェンナはココナッツ和えとしてメニューに加わりました。
早速、バンダラさんに盛り付け方を教えてもらうことに。ランチタイムには、バンダラさんと奥様がお客さんひとりひとりにレクチャーしていました。これなら、スリランカ料理に馴染みのない人でも安心です。
まずはライスをよそいます。赤米は日本でいう玄米のようなイメージで、スリランカでは高級なお米とのこと。続いて、ライスの上と周りに具材をのせます。
きれいに盛り付けるコツは、色の組み合わせを考えながら具材をのせること。同系色の「レンズ豆のカレー」と「マンニョッカカレー」の間に挟まれた鮮やかな「ビーツのココナツ炒め」が色のアクセントになっています。12品をバランスよく取り、最後にパパダム(豆のせんべい)をのせたら完成!
見た目の美しさとスパイスのいい香りが食欲をそそります。スリランカ流に具材を少しずつごはんに混ぜながらいただきます。
絶妙に組み合わされたスパイスの風味をじっくり感じながら味わう、至福のひととき。喉がひりつくような激しい辛さではなく、食べているうちにじんわり汗をかくような奥行きのある辛さです。
スパイシーな料理でお腹がびっくりしないように、との配慮から考えられたのが「大根のスパイシー煮込み」。胃腸に優しい食材として、スリランカにはない大根が使われています。ベースには、かつお節に似たモルディブフィッシュを使用。出汁をしみじみ感じられるため、和食を食べ慣れた舌には親しみやすいメニューです。
食後には、デザートと紅茶が運ばれてきます。デザートはセモリナ粉とココナッツミルクを使った「ココナツケーキ」とヤシの花の蜜をベースにしたプリンの2種類。ココナツケーキはモチモチとした食感と程よい甘さが特徴です。カルダモンとシナモンが効いたプリンは、紅茶との相性◎。
紅茶はスリランカの高品質な「JAF TEA」の茶葉を使用。この日はルイボスティーにバニラの香りを加えたものでした。ブッフェを食べたはずが、コース料理のような満足感を得られるから不思議です。
ディナータイムには、アラカルトやコースメニューを味わえます。オススメは「スパイシーな海老カレー(¥1,100)」と見た目は酢豚に似ているけどコショウがピリリと効いた「デビルチキン(¥1,300)」、金〜日曜日限定で「ビリヤニ(¥2,200〜※具材は日によって異なる)」とのこと。
ランチブッフェでスリランカ料理に興味を持ったら、ディナータイムも訪れてみてはいかがでしょうか。
■2:テラス席では錦鯉鑑賞も。多様な文化が混ざった空間が非日常を演出
料理のおいしさをさらに引き立てるのが、店のインテリアです。テラス席の奥には、大きな錦鯉の水槽を配しています。建物のオーナーからの要望でつくられたそうで、側面から錦鯉を眺められます。
錦鯉は購入も可能。こちらの水槽にいるのは10万円〜30万円ほどしますが、業者には3,000円くらいから買える鯉もいるそう。希望の色や大きさを伝えたら、後日業者が自宅まで届けてくれる仕組みです。
テラス席はスリランカのインテリアデザイナー、ジェフリー・バワの要素を加えているとのこと。スリランカと和の文化が絶妙なバランスで融合しています。
店内には「アートコンプレックス」のオーナーとその先生が描いた大きな絵画が飾られています。外観に続き、店内からも漂うヨーロッパの香り。柱や階段には木が使われており、温かみが感じられます。
建物の屋上には養蜂場があり、紅茶によく合うハチミツが採れるそう。次から次へと出てくるエピソードにすっかり魅了されてしまいました。
■3:ホテル仕込みのおもてなしが心地いい
「バンダラランカ」の魅力のひとつとして挙げられるのが、バンダラさんの接客です。各テーブルに気を配りながら、笑顔でお客さんと会話を交わします。決して押し付けがましくない、さりげない心遣いが感じられます。
バンダラさんは、祖国・スリランカのホテルに勤務していた頃に日本人のマナーを知り興味をもったそうです。日本のホテルスクールに2年通ったのちに「ザ・ペニンシュラ東京」など複数のホテルに勤務。その後、東京・青山にある「INTERSECT BY LEXUS(インターセクトバイレクサス) 」のシニアマネージャーを経験し、日本のホスピタリティを学びました。
そして、「スリランカの料理や文化を知ってほしい」との想いから店を構えることに。背景には、現在7歳になる娘さんの存在もあったといいます。
「娘を誰かに任せるのではなく、自分たちで育てたかったんです。娘が学校帰りに寄れる場所として、店があるといいと思いました」(バンダラさん)
午後になると、娘さんが店舗で過ごすことも多いそう。バンダラさんの言葉の端々から感じられる温かみが、そのままスリランカへの親しみへとつながります。
丁寧につくられた料理とアーティスティックな空間、そしてバンダラさんの接客。「バンダラランカ」の居心地のよさは、すべてが合わさって実現していました。人気店のため、土日祝日とディナータイムに訪れる際は予約をオススメします。
問い合わせ先
- バンダラランカ
- 営業時間/11:00〜 14:00、17:00〜21:30(LO.21:00)
- 定休日/月
- TEL:03-6883-9607
- 住所/東京都新宿区大京町12-9 アートコンプレックスセンター1F
- TEXT :
- 畑菜穂子さん ライター
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- WRITING :
- 畑菜穂子