創業当初、ル・マン24時間レースをはじめとするモータースポーツに力を入れていたベントレーの歴代ラインアップは、どれも伝統的にパーソナルでスポーティなGTの印象が強い。1957年にはじめて登場した4ドア・セダンのフライングスパーは、2ドア・クーペから派生したモデルだ。そして2019年12月に日本で披露される最新のフライングスパーも、やはりコンチネンタルGTをベースにしている。日本デビューに先がけて、モナコでテストドライブを行なったモータージャーナリスト・大谷達也氏のリポートをお届けしよう。

華やかさと個性を増した3代目

モナコでテストドライブをした大谷達也氏。新型フライングスパーは5.3mを超える巨体。肉感的なスタイリングだ。
モナコでテストドライブをした大谷達也氏。新型フライングスパーは5.3mを超える巨体。肉感的なスタイリングだ。
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ベントレーのBが浮かび上がるテールランプは、もはやおなじみ。
ベントレーのBが浮かび上がるテールランプは、もはやおなじみ。

宿泊先はモンテカルロ市街の中心に建つ名門のオテル・ド・パリ。しかもニース空港からの送迎では、翌日試乗する新型フライングスパーの後席を堪能できるという粋な計らいに、このモデルにかけるベントレーの強い意気込みを見たような気がした。

ベントレーといえばグランドツアラー。ベントレーを代表するグランドツアラーといえば2ドア・クーペのコンチネンタルGTである。このコンチネンタルGTのホイールベースを伸ばして4ドア・セダンに仕立て直したのがフライングスパーで、今回フルモデルチェンジを受けた新型が3代目にあたる。

初代と2代目についていえば、ベントレーはコンチネンタルGTとフライングスパーに同等の熱量をかけて開発していたように思う。でも、セダンよりクーペのほうが華やかに映るのが世の常。だから、これまではコンチネンタルGTに比べるとフライングスパーのほうがちょっとだけ地味に見える傾向は否定できなかった。

けれども、3代目フライングスパーは違う。デザイン面ではコンチネンタルGTと異なるモチーフをいくつも追加。しかも、それらはいずれも華やかで若々しく、新型にこれまでにないフレッシュなイメージをもたらすことに成功している。たとえば、従来のメッシュ状からクロームの縦格子状に改められたフロントグリルのデザインは、その象徴だろう。

若々しいドライブフィールを身につけた

コンチネンタルGTと同様のインテリア。フルレザーのインテリアに身を包まれる気持ちよさは、何物にも代え難い。
コンチネンタルGTと同様のインテリア。フルレザーのインテリアに身を包まれる気持ちよさは、何物にも代え難い。
後席はひときわリッチな気分に浸れる。
後席はひときわリッチな気分に浸れる。
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ステアリングを握ってもフライングスパーは新鮮な味わいに満ちていた。

高速道路をおとなしく流していれば静かでこのうえなく快適な乗り心地を楽しめるのだけれど、ワインディングロードでは巨大なサルーンとは思えないほど軽快なハンドリングを披露。しかも、スポーツカー並みのペースで走ってもまるで破綻することなく、ドライバーの意思に正確に反応してみせたのだ。

最新のコンチネンタルGTとフライングスパーはポルシェが中心になって開発したプラットフォーム(クルマの土台)を採用。ここにベントレー独自のアレンジを施すことで、快適でありながらもスポーティな走りを実現したのである。とりわけ、ベントレーとしては初装備の4WS(前輪だけでなく後輪でも操舵する電子デバイス)を得たことで、低速域での小回り性と高速域での安定感の両方を手に入れたような気がする。

デザイン面でも走りの面でもクーペとサルーンの“いいとこ取り”をした3代目フライングスパーは、「まだベントレーは早い」と思っていた40代のオーナーにも似合いそうな新世代のラグジュアリーカーといえるだろう。

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この記事の執筆者
自動車専門誌で長らく編集業務に携わったのち、独立。ハイパフォーマンスカーを始め、国内外の注目モデルのステアリングをいち早く握り、わかりやすい言葉で解説する。
写真提供 :
ベントレーモーターズジャパン
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