俳句の季語「聖菓」とは、いったいどんなモノ!?
言葉は、時代と共に変化するものです。若者言葉や流行語のように、一般に広く使われることでいつしか日本語として定着するものもあれば、
言葉に造詣の深い人々が「これぞ」と生み出す表現もあるのです。
後者は、何のことを指しているかといえば…「現代俳句」です。五七五の十七文字で、心震わせる情景を詠む俳句の世界では、「より簡潔に」「美しく」「わかりやすく」を兼ね備えた「新たな季語」が登場し、定着していくことがあるようです。
…というわけで、クイズです。
【問題1】
俳句の季語「聖菓(せいか)」とは、何を指しているでしょうか?
ヒント:読んで字の如く…です。字から連想してください。
…さて、正解は? 画像の下に、正解があります。
正解は… 聖菓(せいか)=クリスマスケーキ です。
クリスマスが「聖夜」なら、クリスマス・ケーキは「聖菓」、というわけです。
「クリスマスケーキを切る」と書くと11文字も使ってしまいますが、「聖菓を切る」と書けばたったの5文字で、クリスマスの楽しい情景を描くことができますね。
ほかに、「聖樹(せいじゅ)」と書けば「クリスマス・ツリー」という解釈も定着しているようです。
…というわけで、2問目もクリスマスにちなんだクイズです。
【問題2】
次にあげる漢字表記の中から、「クリスマス」を表現しているものをすべて選んでください。
1:聖誕祭
2:降誕祭
3:基督弥撒
さて、いくつ正解が入っているでしょうか?
正解は… 1、2、3すべて です。
なんと、全部「クリスマス」を表現する漢字なのです。
1:聖誕祭 は「聖なるお方の誕生の祭」という意味で、キリストの誕生日であるクリスマスを表現していることは納得でしょう。
2:降誕祭 は、キリスト教では、キリストは俗世に「降誕」された「神の子」である、という考え方ですので、この表現を用います。
3:基督弥撒 は、まず、「基督(キリスト)」という漢字表記は皆さまご存知でしょう。ICU、国際基督教大学の名称にも使用されている漢字です。
「弥撒」は「ミサ」の当て字で、キリスト教の祭儀を指します。ミサは、キリスト教の歳時によって、さまざまな記念的なミサが存在しています。
たとえば、11月1日は「諸聖人の日」、つまり、「すべての聖人」を記念する日になり、欧米では「Hallowmas(ハロウマス)」とも呼ばれます。「ハロウィン」はこの前夜・10月31日ですね。
「西洋のお盆」とも解釈されるハロウィンですが、ハロウマスの前夜、聖霊が現世の家族の元にやってくる…という解釈もあり、「お化け」がアイコニックに使用されるのは、そうした意識と関係が大きいでしょう。
やや脱線しましたが、つまりキリスト教のミサは、すべてキリストを賛美している祭儀ではありますが、11月1日なら「諸聖人」のための祭儀。
「キリストのミサ」という意味の「基督弥撒」は、他のどの日でもなく「クリスマス」を指す、ということのようです。
今回は、クリスマスに関係する日本語表現
・聖菓(せいか)…クリスマス・ケーキ
・聖樹(せいじゅ)…クリスマス・ツリー
・聖誕祭(せいたんさい)…クリスマス
・降誕祭(こうたんさい)…クリスマス
・基督弥撒(キリストミサ)…クリスマス
のトリビアをお送りしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:NHK『NHK俳句』2010年12月5日
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱