スタンダードながらも、上質な洋菓子を世に送り出してきた「銀座ウエスト」。昭和22年に銀座7丁目に誕生し、今も変わらず愛されています。「リーフパイ」などの焼き菓子が有名で、手土産として贈れば間違いなく喜ばれる、信頼のおける老舗です。

そんな銀座ウエストは、一体どのようなきっかけで誕生したのか? 銀座ウエスト広報担当の中島さんに聞きました。当時のエピソードを交えてお伝えします。

社会背景とシェフの退職、窮地から現在の形に

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レストランとして営業していた当時の銀座ウエスト

洋菓子のイメージが強い銀座ウエストの始まりは、レストランでした。創業者の依田友一(よだ・ともいち)氏の友人でコックの渡辺氏が料理を担当し、日本郵船でベーカーをしていた叔父の依田金秋氏がデザートとパンを担当。

当時の店名は「グリル・ウエスト銀座」といい、ビーフステーキをメインにしたフルコースメニューを提供していたそう。コースメニューの価格は¥1,000、当時はコーヒー1杯が¥10だったことを考えると、格式の高いレストランだったことが伺えます。

ところが、創業後間もなく”贅沢禁止”の都条例が施行され、1人前¥75以上のメニューの禁止が決定。グリル・ウエスト銀座もメニュー変更を余儀なくされましたが、渡辺氏は「俺には安物の料理はつくれない」と納得できず、店を去ることになったのです。

シェフがいなくなりレストランを続けられなくなったため、ウエストはやむなく洋菓子業と喫茶業として再出発したのでした。

昭和23年からは店内でクラシックを流し、解説付きのプログラムを組んだ「名曲の夕べ」を開始。文化人も集う店舗となったそうです。

しかし、昭和35年から始まった銀座の地下駐車場の工事により、生菓子の売上は激減。状況を打破しようと考えついたのが、缶入りのクッキーを料亭などに売り歩くことでした。このクッキーが銀座ウエストの「ドライケーキ」の前身となったのです。

長く続くものから新しいものまで、ウエストの企画にも注目

銀座ウエストを展開する洋菓子舗ウエストの社是は「真摯」。商品やお客さんに対して真摯に向き合うことを大切にしています。

ウエストの姿勢は取り組みにも現れており、そのひとつが創業当時から続く「風の詩」です。全国から寄せられた詩やエッセイを毎週紙面として発行したもので、最初の名前は「名曲の夕べ」だったそう。現在は公式HPでも更新されています。

Twitterの銀座ウエスト公式アカウントでは、商品の告知に加え、美しい言葉遣いと独自のセンスによって紡ぎ出される数々のエピソードにも魅了されます。これは、社長自ら発信しているものだそうです。

チャリティー活動にも力を入れています。例えば、「シュークリームプロジェクト」では、シュークリーム1個の販売につき50円を義援金として日本赤十字社に寄付。2018年の西日本豪雨災害や2019年の台風被害の際に行われ、「洋菓子を食べて被災地を支援する取り組み」として話題を呼びました。

こちらは「シュークリームプロジェクト」についてのツイートです。

銀座ウエストで長年愛される看板菓子「リーフパイ」の秘密

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リーフパイ5枚入袋¥600、8枚入箱¥1200、45枚入箱¥5700 個包装されているため、手土産にも重宝されている

サクッと軽いパイ生地と白ザラメ糖のガリッとした食感、そして、ふわりと香るバターの香り。創業の翌年に誕生した「リーフパイ」は名実ともに銀座ウエストの代表菓子であり、手土産としても長年愛されています。

銀座ウエストのリーフパイ
リーフパイ5枚入り

パイ生地には、東北地方の原乳を使用したフレッシュバターと小麦粉を使用。生地を256層に折りたたみ、職人の手作業により木の葉の形に成形されています。リーフパイに葉脈を入れる「筋入れ」と呼ばれる作業も、すべて職人によるものだそう。

この生地に入れられた筋は、パイを焼き上げた時に過度にふくらみすぎないようにするためのもの。その筋が葉の葉脈の様に見えることから「リーフパイ」と呼ばれるようになったのだとか。リーフパイは元々フランス菓子として存在していたもので、ウエストのオリジナル商品ではないそうです。

銀座ウエストの焼き菓子は、青山ガーデン、ベイカフェ ヨコハマなどの喫茶室のほか、首都圏の百貨店や通信販売でも購入可能。喫茶室では落ち着いた雰囲気の中で限定メニューを味わえるため、ウエストの魅力を存分に堪能できそうです。


創業から73年、長年親しまれてきた銀座ウエストの洋菓子は、手土産にも自宅用にもオススメです。上質な素材でつくられた洋菓子で、日々のティータイムを彩ってはみてはいかがでしょうか。

※価格はすべて税抜です。

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この記事の執筆者
フリーランスのライター。企業の採用サイトやパンフレット、女性向けの転職サイト、親向けの性教育サイトなどで取材記事を執筆。好きなもの:中村一義、津村記久子、小川洋子、マンガ、古いもの、靴下など
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WRITING :
畑菜穂子