「この家に住んで3年半くらい経ちますが、『もっとこうすればよかった』と思うところがひとつもないんです。住めば住むほど愛おしくなるといいますか…。本当に居心地がよくて、家から一歩も出たくなくなってしまうのが欠点といえば欠点でしょうか」

そう微笑むのは、ファッション誌やウェブなどで編集や執筆を担当、広告のディレクションなど、幅広く活躍する白澤貴子さん。結婚後、9年ほど住んでいたメゾネット式の新築分譲マンションを手放し、築40年のヴィンテージマンションを購入、フルリノベーションしました。

執筆家&エディター・白澤貴子さんの「家族と過ごす家」に訪問

白澤貴子さん
執筆家、エディター
(しらさわ たかこ)10代のころからファッション雑誌の編集に携わる。雑誌やウェブの編集や執筆のほか、広告のディレクション、人気ブランドのブランディングやアドバイスなども。パリ在住時に培われた独自のセンスに定評あり。趣味は乗馬。

白澤貴子さんのHouse DATA

間取り…3LDK、WIC、SIC、パントリー 家族構成 …3人(夫と息子) 住み始めて何年?…3年半

「白、グレー、大好きな馬、パリのアパルトマン。好きなものだけに囲まれた『作品』のような家です」(白澤さん)

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白を基調としたキッチンはアニーズキッチン。天板は白い大理石。やっと見つけた真っ白のCATTELAN ITALIAのスツールは、座面も脚もイタリアで白に塗り替えてもらったそう。真鍮カラーの水栓はタッチタイプのDelta Faucet。洗剤は、ビルトイン式のディスペンサーに入れてすっきりと。

「以前の家も気に入っていたんですが、ふとしたときに収納や動線などが気になって。そんなとき、骨折をしてしまったんです。メゾネットなので、2階と1階を行ったり来たりするのが大変で、思いきって買い換えることにしました」

100軒以上の物件を回り、出合ったのが現在の物件。利便性のよさや広さはもちろん、真っ白でクラシカルな外観を見た瞬間、運命を感じたとか。

「母や祖母の影響もあってか、白やグレー、シルバーやガラスがミックスした清潔感、クラシカルとモダンが調和した雰囲気が昔から好きなんです」

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家族が集う電気式暖炉の上には、お母様からのプレゼント、バカラのグラスがずらり。アンティークの子供用ロッキングチェアは、息子さんの1歳の誕生日に「ジェオグラフィカ」で購入。オーク材の床は、肌触りがよく、長時間裸足で立っていても疲れないという、うづくり仕上げ。

「本当に自分が居心地がよいと感じるもの、好きなものだけに囲まれて過ごすことの豊かさや大切さは、パリの友人たちから学びました」

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真っ白いレザーのソファはイタリアの輸入物。シャンデリアは散歩中、偶然見つけたジャンク品。「高級ブランドを探し回っても見つからなかったのに、思い描いていたとおりのデザインで即購入! 直して取り付けました」。

「また、本当に自分が居心地がよいと感じるもの、好きなものだけに囲まれて過ごすことの豊かさや大切さは、パリで暮らしていたころ、友人たちから学びました。当時訪れた素敵なアパルトマンも、家づくりやインテリアの参考になっています」

そんな美的感覚をベースに、リノベーションにあたってまずしたことは、以前の家で気になったことをすべて紙に書き出すという作業。

「要望や問題点を洗い出した結果、優先したい条件は次の3つでした。家族みんなが集まるリビング・ダイニングが家の中心。なるべく広く、居心地よくすること。忙しくなるとつい散らかってしまう私の洋服や小物類がきちんと収まる広さのクローゼットはマスト。夫からの要望は、台所が雑然としないよう、十分な収納力のあるパントリーをつくること」

間取りはもちろん、壁の色やデザインなど、理想の形が明確だったため、デザイナーや設計士に依頼せず、直接施工会社とやりとりをスタート。

「ただ、私の要望が細かすぎたせいか、最初の施工会社さんは途中で降りてしまって(笑)。次に出合った施工会社『秀健』さんは、最後まで一緒に走りきってくださり、感謝しかないです」

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ファッション関係の仕事が多い白澤さんのワードローブは8割がヴィンテージ。年に5、6回はパリを訪れるためフレンチブランドも多数。「収納力にこだわった私のクローゼットが、息子の部屋よりほんの少し広くなってしまったのは、男の子だし、早くひとり立ちしてもらうための策でもあります(笑)」。

まさに編集者魂。スツールや照明、鏡などの大きな家具から、取っ手やタグなど細部にいたるまで足繁くショップに通い、インターネットで検索し、理想のものを探し出すまであきらめなかったという白澤さん。家族が愛する場所は、そんなこだわりが詰まったいわば『作品』。そこで過ごす至福の時を、日々楽しんでいます。

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玄関の特大ミラーは150年前のアンティーク。正面の絵は、なんと息子さんの作品!
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施工会社に希望を伝え、探してもらったスイッチカバー。
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自らアンティーク店を歩き回って発見した、キッチンの収納棚の取っ手。
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クローゼットの引き出しのラベルは、ネットで探し回って見つけ、自らフランス語で記入。写真は、「水着」の引き出し。
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ドアはすべてペインティングパーティーを開催し、友人やその子どもたちと一緒に塗ったもの。「オーガニックペイントで匂いもなく、みんなでワイワイ食べたり飲んだりしながらの作業。よい思い出です」
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すべての部屋の扉に、家族の記念日や影響を受けた偉人の誕生日など、意味をもつ数字が打ち付けられている。211はエジソンの誕生日。
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廊下の床はヘリンボーン貼り。馬のオブジェがお出迎え。  
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欲しかった、エルメスの馬具のヴィンテージポスターは、旦那様がプレゼントしてくれたもの。
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玄関横の趣味部屋には、パリのエルメスで購入した鞍や、毎年招待されているエルメス主催の乗馬の祭典「SAUT HERMÈS」のポスターが。
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息子さんとペイントしたパープルの壁には旅の思い出をコラージュ。いずれは訪れた人が一杯を楽しむ、アペリティフルームとして活用したいとか。
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白澤さんのお母様から記念日ごとに1本ずつ贈られてくるクリストフルのカトラリー。最近は息子さんと一緒に磨くのが日課。
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お母様から譲り受けたものに加え、あえて1客ずつ集めているティーカップ&ソーサー。最近は10歳になる息子さんがおいしい紅茶を入れてくれるそう。

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PHOTO :
川上輝明
EDIT&WRITING :
田中美保、古里典子(Precious)