人生を重ねた大人の女性だからこそ見えてくる、豊かな暮らしとは?を、Precious編集部が総力取材。計7名のお宅を取材した中の、3人目。料理家・行正り香さんのご自宅をご紹介します。
料理家・行正り香さんが欧米を巡り、インテリアの手法を観察しては、取り入れる。そんな試行錯誤の末、たどり着いたご自宅を拝見
「世界中でいちばん心地よいと感じる場所は、自分の家」と言いきるのは、料理家の行正り香さん。
高校時代のアメリカ留学を機に、イギリスやイタリア、デンマークなどを巡り、友人宅を訪ねてはインテリア、暮らしを観察するようになったとか。
「間取りはもちろん、家具の色や配置、絵画のセレクトやライティングなど、いいなと思ったことは徹底的に観察して、家に帰ったら、雰囲気だけでいいので実際に真似をしてみました。
それを繰り返して、ようやく自分の理想とする空間が明確になってきたと思います。20年以上かかって、やっとです(笑)」(行正さん)
行正り香(ゆきまさ りか)さんのHouse DATA
間取り…1LDK 家族構成 …4人(夫と子供2人) 住み始めて何年? …20年
「家は、自分がいちばん落ち着く場所。それは好きなものや人生、歴史が反映された唯一無二の場所だから」
ローマは1日してならず、という言葉どおり、理想の部屋づくりも時間をかけて、自分の好みや感覚と向き合うことが大切、と行正さん。
「とりあえず、が失敗のもと。本当に気に入ったものに出合うまでは、じっと待ち続けていいと思います。このキッチンスツールなんて、気に入ったものに出合うまで6年かかりました」(行正さん)
■1:キッチン、リビング、ダイニングは壁で仕切らず、ラグで分ける
壁を取り去り3つに分かれていた部屋をひとつに。奥のリビングスペースは、あえて大きなソファをなくし個々のチェアに。円卓で互いの顔を見ながら会話できるのもポイント。
キッチン、リビング、ダイニングは、ラグを敷くことでコーナー分けを。グレーを中心に赤と青の差し色を、キッチンのカウンタートップとスツールはテーブル同様、茶色系を配して統一しています。
■2:ピンときたダイニングテーブルを軸に、それ以外は時間をかけて選定
「逆に、『これは!』と思うものに出合えたら即行動。私は、ローズウッドのダイニングテーブルに出合い、そこから部屋のトーンや、ほかの家具を決めました。時間はかかって当然」(行正さん)
■3:好きの先にある、オリジナリティあふれる空間
「自分の『好き』を追求して、唯一無二の空間をつくりましょう。それは大人の女性の特権だとも思うんです」(行正さん)
行正流、今すぐ取り入れられるインテリアのヒント
絵画とライティングで空間に陰影をつける
部屋中に美しい絵が飾られていた行正さんの部屋。
「絵を飾ると飾らないとでは、空間の雰囲気はまったく変わります。小さくても大きくても、壁や柱にまるで美術館のように絵を飾ることで、部屋全体にメリハリが生まれます。また、ライティングも大切。部分的に絵にスポットライトを当て陰影をつけることで、目線がはっきりします」(行正さん)
また、自分にとってどんな絵が心地よいのか、明確な目的意識をもって美術館へ足を運び、絵を楽しむのもおすすめとか。
- PHOTO :
- 川上輝明
- EDIT&WRITING :
- 田中美保、古里典子(Precious)