現代のプリンセスでは、民間出身というシンデレラストーリーはもう驚くものではなくなった。ニュースキャスターやバンカーなどキャリアウーマンからプリンセスへ。またレティシア王妃やメーガン妃のような離婚経験者にも、抵抗がなくなってきたようだ。

今回は、まさに現代のシンデレラといえるノルウェーのメッテ=マリット王太子妃(Kronprinsesse Mette-Marit)に注目してみよう。

現代のシンデレラ「メッテ=マリット王太子妃」って?

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平民出身の奇跡のプリンセス、メッテ=マリット王太子妃

ノルウェーのメッテ=マリット王太子妃のような、シングルマザーからプリンセスへという転身は、現代でも驚きだ。しかも子供の父親からは妊娠を知って捨てられ、その後、男性は麻薬常習で服役、メッテ=マリット王太子妃自身にも麻薬疑惑がかけられていたというドラマのような展開があった。

なんという高いハードルを乗り越えたシンデレラストーリーであろうか!

王太子との出会いは、実は “ロックフェスティバル”!

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自然を愛し、アクティブなホーコン王太子とメッテ=マリット王太子妃

ホーコン王太子との出会いも、ロックフェスティバルである。メッテ=マリット・ヒュエセム・ホイビー(旧姓)の生まれ故郷クリスチャンサンで開催されるノルウェー最大のロックフェスティバル中のガーデンパーティーというので、驚きだ。

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きっかけは、数年後の再開。王太子を射止め幸せな日々を過ごすふたり

王太子は、その場で一目惚れしたというわけではなかったようだが、数年後の再会で恋に落ちた。彼女はすでにシングルマザーであったが、息子のマリウスとともに、ホーコン王太子の住むマンションへと引っ越し、なんと同棲を始めたのだ。

英国やスペインと異なり、国民の80%強が王政支持派であるノルウェーだけに、次期国王の同棲は国民に驚きを持って迎えられ、当然メディアはメッテ=マリット王太子妃の過去を掘り起こす。次々と暴かれる前代未聞のスキャンダラスな過去の経歴に、国民は仰天し、王室への支持率も急降下した。

波乱万丈な、メッテ=マリット王太子妃の生い立ち

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王太子妃らしい、清楚な装いへと変化した現在のメッテ=マリット王太子妃

メッテ=マリット王太子妃は、ジャーナリストの父親スヴェン・ホイビーと母親マリット・ヒェッセムとの間に生まれ、11歳のとき両親が離婚。母に育てられた。

中流の生まれだが、高校生の頃から生活が荒れ始め、交際していた男性とともに、麻薬パーティーに参加したという報道もあった。

だが、長男マリウスをシングルマザーとして出産後、乱れた生活を断ち切り、育児をしながら、ウエイトレスや農家で季節労働者としていちご摘みをしたりと働きながら、猛勉強し、名門オスロ大学に入学した。ホーコン王太子と出会ったときには、オスロ大学の生徒であった。

結婚への、長い道のり

最も結婚に反対したのが同じ民間出身のソニア王妃といわれる。ソニア王妃の時代は、平民出身という考え自体が王室の想像を超えたものであり、現ハラル国王と結婚する承諾を得るのに、9年もの歳月が必要であった。内閣や首相までも巻き込んで争議したほどの大問題を乗り越え、王室に新しい歴史を切り開いたソニア王妃だからこそ感じる不安だったのだろう。

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愛の力で、いろんな壁を乗り越えたふたり

だがホーコン王太子の愛は強く、同じく平民から苦難を乗り越え、ソニア妃を迎えたハラル国王の支援もあって、2000年11月に正式な婚約を発表。会見時には涙ながらに、自らの過去を国民に謝罪「残念ながら過去は変えられません。どんなに変えたいと願っても……。しかし未来は変えられます」と語り、その誠実で率直な姿に、国民は強く共感を覚え、国王夫妻も認める婚約となった。この会見で王室の支持率も83%まで回復したという。

国民の支持を得て、ついに結婚へ!

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子連れで、見事ゴールイン!

翌年2001年8月にオスロ大聖堂で執り行われた結婚は息子マリウスを連れての子連れ結婚式となった。

放蕩を繰り返した過去を一蹴し、自力で勝ち取った大学入学、独力での子育て、そこにはどれほどの地道で孤独な作業と厳しい覚悟があったことだろう。そして手に入れた、愛する人との穏やかな生活。プリンセスストーリーというよりも、一人の女性として、なんという山あり、谷ありの人生だろう。谷に落ちたときこそ、真価が問われる。

努力を重ねて勝ち取ったメッテ=マリット王太子妃のストーリーは、シングルマザー率が50%を超えるノルウェーだからこそ、受け入れられた背景があるかもしれない。だが、それは、自分を叱咤激励して前向きに進む志の強さがあったからこそ呼んだ共感に違いない。

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女性らしいドレスをきこなすようになった、メッテ=マリット王太子妃

生きるために必死で、あまり構わなかったファッションも、プリンセスになってからは、華やかなパステルカラーやフューシャピンクのドレスを上手に着こなすようになった。

すごい美人というわけではないが、プラチナブロンドでグェネス・パルトローとケイト・モスを足したような顔立ちは、ちょっと魔性系の雰囲気もあり、なかなか魅力的だ。

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こんな北欧らしい衣装に身をつつむ姿も新鮮!

公式の席では民族衣装に身を包むことも多く、いかにも北欧らしい衣装でそろえた一家の仲睦まじい写真も多い。養子に迎えたマリウスに加え、王太子との間にも一男一女にも恵まれ、現在は、幸せな五人家族だ。

幸せな家庭を手に入れた現代のシンデレラ、メッテ=マリット王太子妃

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家族で過ごす姿も度々キャッチされている

カジュアルな白いレースのコットンドレスで過ごすリゾートや、白いスウェットにブラックジーンズといった、メッテ=マリット王太子妃が好む何気ない質素な佇まいも、王族に普通の人々と同じ感覚でいて欲しいという、ノルウェー国民の心情に寄り添った装いのようだ。


今回は、波乱万丈な人生を乗り越え、見事ホーコン王太子の愛を手に入れたメッテ=マリット王太子妃に注目した。まさに現代のシンデレラともいえる彼女の人生には、ファンが多くいるのもうなづける。

この記事の執筆者
1987年、ザ・ウールマーク・カンパニー婦人服ディレクターとしてジャパンウールコレクションをプロデュース。退任後パリ、ミラノ、ロンドン、マドリードなど世界のコレクションを取材開始。朝日、毎日、日経など新聞でコレクション情報を掲載。女性誌にもソーシャライツやブランドストーリーなどを連載。毎シーズン2回開催するコレクショントレンドセミナーは、日本最大の来場者数を誇る。好きなもの:ワンピースドレス、タイトスカート、映画『男と女』のアナーク・エーメ、映画『ワイルドバンチ』のウォーレン・オーツ、村上春樹、須賀敦子、山田詠美、トム・フォード、沢木耕太郎の映画評論、アーネスト・ヘミングウエイの『エデンの園』、フランソワーズ ・サガン、キース・リチャーズ、ミウッチャ・プラダ、シャンパン、ワインは“ジンファンデル”、福島屋、自転車、海沿いの家、犬、パリ、ロンドンのウェイトローズ(スーパー)
PHOTO :
AFLO
WRITING :
藤岡篤子
EDIT :
石原あや乃